
パキスタンが仮想通貨分野に本腰
パキスタン政府は7日、パキスタン暗号資産(仮想通貨)規制庁(PVARA)の設立を発表した。連邦内閣が正式に承認した格好だ。地元メディア「DAWN」などが報じた。
PVARAは、仮想通貨サービスプロバイダーのライセンス発行、監視、監督を行う独立規制機関となる。金融活動作業部会(FATF)のガイドラインおよび国際的なベストプラクティスへの準拠を確保することも役割としている。
仮想通貨取引における消費者保護、マネーロンダリング対策、サイバーリスク軽減についても監督を行っていく。
パキスタン財務省は「急速に成長するパキスタンの仮想通貨エコシステムを監督するための包括的な法的・制度的枠組み構築に向けた画期的な一歩」だと述べた。
また、外国投資の誘致やブロックチェーン分野におけるイノベーションの促進などを通じて、安全で包摂的、そして未来を見据えたデジタル経済の基盤を築いていくとも続けている。
「DAWN」によると、パキスタンは4,000万人を超える仮想通貨ユーザーが存在し年間推定3,000億ドル(約44兆円)にのぼる取引を行っている。そうした中、南アジアの「仮想通貨の中心地」となることを目指して動き始めているところだ。
3月には、明確な規制枠組みの構築とブロックチェーン技術の促進などを行う「仮想通貨評議会」を設立している。
ムハンマド・アウラングゼブ財務大臣が議長を務めており、バイナンスの前CEOである、チャンポン・ジャオ(CZ)氏を顧問に起用した。
その後5月、仮想通貨評議会のビラル・ビン・サキブCEOは大型カンファレンス「ビットコイン2025」に出席し、政府主導の戦略的ビットコイン(BTC)準備金を設置する予定だと表明した。
「パキスタン政府はビットコインを保有し、決して売却しない」ともコメントしている。
6月には、ビットコイン財務戦略で知られる米ストラテジー社のマイケル・セイラー会長が、ブロックチェーン・仮想通貨担当国務大臣ビラール・ビン・サキブ氏、アウラングゼブ財務大臣と会談。準備金などビットコインについての助言を行った。
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その他に、仮想通貨評議会は4月、ドナルド・トランプ一族が運営に携わるWeb3プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)」と、ブロックチェーン導入の加速で協定書を締結している。
現実資産(RWA)トークン化、ステーブルコイン開発、DeFi(分散型金融)規制の枠組みについて協力して検討する内容だ。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
また、パキスタン政府は仮想通貨のマイニングや金属業界に電気代を補助する計画だったが、同国に融資する国際通貨基金(IMF)がこの提案を却下している。
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