- 中央銀行の動きがビットコインをマクロリスクのヘッジ手段へ
- Financial Timesの国際金融担当が「中央銀行の行動がBTCを投機的な手段から大きなマクロリスクをヘッジするのに役立つ堅実な投資へと変えつつある」と主張した。マクロ要因と仮想通貨の相関性も指摘されている。
中央銀行の動きがビットコインをマクロリスクのヘッジ手段へ
直近では、投機的な手段としか見られなかったビットコインが、投資的な手段へと変化しようとしているという論調も強まっている。これは、世界各国の中央銀行の金融政策である利下げなどの景気後退懸念によって引き起こされているとされる。
ビットコインとゴールド、高まる相関性と背景
Financial Timesの国際金融担当は、「先日までのビットコインの価格上昇に火をつけたのは、皮肉にも中央銀行」だと主張しており、2019年8月21日にHenny Sender氏はNikkei Asian Reviewのコラムで、銀行のハト派的な金融緩和政策が、仮想通貨が安全資産として認識されることを促したと述べている。
また、多くのアナリストらは、2019年8月23日にワイオミング州ジャクソンホールで開催される中央銀行総裁会議で、米連邦準備制度理事会(FRB)が、これまでよりハト派的な発言をすると予想しており、各国中央銀行の動向は、株価や為替など既存金融市場のみならず、仮想通貨市場にも影響を及ぼす可能性があると考えられる。
2019年7月にはパウエル議長が10年ぶりに利下げに踏み切り、欧州中央銀行のハト派的な姿勢が続いた。中国では、人民元が2019年8月5日に「1ドル=7元」の分岐点を割り込んでおり、国債の安定性が脅かされている。
さらに、米トランプ大統領は2019年8月20日に景気刺激のための新たな減税策を検討していることを明らかにしており、米連邦準備制度理事会(FRB)に対し「FRBの心理的効果は非常に大きい。一定期間に少なくとも1%幅の利下げをすべきだ」とさらなる利下げを促している。
このような状況を背景に、Sender氏は、中央銀行の行動がビットコインを投機的な手段から、大きなマクロリスクをヘッジするのに役立つ堅実な投資へと変えつつあると主張している。
Sender氏は、米グレースケールのリサーチ部門からの報告を引用して、以下のように述べている。
ビットコインは、経済サイクルの流動性危機、特に通貨の利下げなどに対して、ゴールドのような希少性と価値の蓄積特性を伴うお金として、十分に機能する可能性がある。
マクロ要因と仮想通貨
実際、ビットコインとゴールドの相関性が一時高まっていたことも注目されている。
中国では、資金流出の急増を懸念する政府が、ビットコインを資金流出経路の1つと考えている。これに伴い、中央銀行が固有の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を開発する動きを加速させたと、関係者は主張している。
中国で非公式に存在しているビットコイン協会の専門家によると、仮想通貨の購入はここ数カ月で50%増加していると述べている。
仮想通貨調査専門会社デルファイ・デジタルは、中央銀行のフィアットの利下げがビットコインと金現物価格の両方を触媒する可能性が高いと主張するレポートを発表した。マクロ要因が仮想通貨の価格上昇に火をつける絶好の機会を作り出していると報告書で結論づけている。