HSBCが私募にブロックチェーン
英大手銀行HSBCは、ブロックチェーン技術を応用したカストディ・プラットフォーム「Digital Valut」を利用し、これまで書類管理されていた約2兆円分の資産記録を2020年3月までにデジタル化する計画を進めている。ロイター通信が報じた。
HSBCは、同プラットフォームを導入することで、主に書類ベースで管理されていた私募債などのデジタル化を進め、業務の効率化やコスト削減を図る。これにより投資家は素早く簡単に持ち株などを確認することが可能になるという。
HSBCの予測によれば、同システムの導入により私募債の取引高の上昇を見込んでおり、2017年から60%増となる約840兆円まで取引高が増加するとしている。
私募債とは、新たに発行する有価証券を50人以下の投資家、あるいは適格機関投資家を対象に勧誘を行うことで、不特定多数の投資家に勧誘を行う公募に比べ、一般的に手続きが容易でコストも削減される。ただ、それでも私募を行う際に要する書類作業は多く、多大な時間が必要となっている。
ブロックチェーン技術を使い、デジタル化を進めることで、そうした煩雑な作業を省くことが同行の狙いだ。
一方で懐疑的な意見もある。仮想通貨・ブロックチェーン技術を専門にコンサルタントを行うWindsor Holden氏がロイターに語った内容によれば、少なくとも導入から18ヵ月間は効率化によるコスト削減を達成することは厳しいだろうとのことだ。
HSBCとブロックチェーン
以前よりHSBCはブロックチェーン技術の採用に積極的な姿勢を見せている。直近では今年の9月にCorda上のVoltronを利用してブロックチェーン上で、初の人民元(中国の法定通貨)建ての信用状取引を実施している。
2018年5月にはCordaを利用して大豆の貿易取引を成功させ、11月にはHSBCやスタンダードチャータードを含む10銀行以上の共同開発による貿易金融プラットフォームであるeTrade Connectの供用を開始。貿易以外にも、ブロックチェーン上で27兆円を超える外国為替取引を実施したとの報告も行っている。
参考:報じた