麻薬カルテルの資金洗浄に仮想通貨を使用
米国当局は今週、麻薬取引に関連する資金の出所を追跡不可能にするため、仮想通貨(暗号資産)と小切手を利用したとの罪状で、マネロン関与の業者を逮捕した。
逮捕された、Pedro Antonio Aquino-Eufracia容疑者は、麻薬カルテルと共謀し、キャッシャー小切手(口座から引き出した資金に基づく小切手)と仮想通貨を組み合わせて利用し、資金洗浄を行った容疑がかけられている。
立件に伴い、米国麻薬取締局(DEA)の捜査員Gizzi氏は、容疑者は「大規模で世界的な資金洗浄グループ」の一部だと申し立てている。グループ構成員は主にフロリダやニュージャージー、ドミニカ共和国やその他の場所に拠点を置いているという。
Gizzi氏によると、当局は合法的に取得したモバイル通信履歴やその他電子的な証拠を含む捜査結果により、容疑者は2018年4月と5月に少なくとも2回、麻薬取引に関わる現金を共謀者から受け取り、その現金を仮想通貨に変換したことを突き止めた。
資金洗浄組織の幹部は、Aquino-Eufracia容疑者に、現金の出所を不明確にすることを望み、仮想通貨をとあるウォレットに預けるよう伝えたとされる。
続けて、法執行当局が2018年7月に共謀者から20万ドル(2200万円)近くを押収していたと説明。全体として、数百万ドル(数億円)にのぼる麻薬の売上金が資金洗浄されたと主張している。
申立書は、仮想通貨の一例としてビットコインに言及しているものの、今回容疑者が、資金洗浄に使用したと考えられる仮想通貨の種類や、具体的な米ドル相当額については明かしていない。
また申立書は、仮想通貨を、マネーロンダリング組織が利用する様々な手段の一つとして挙げており、ビットコインについては「分散型のP2Pネットワークを介して動作するコンピューターソフトウェアによって生成および制御され」、主に「インターネットベースの通貨単位」であると説明している。
米国省庁は仮想通貨監視のために予算増額を希望
近年、各国で犯罪捜査当局も仮想通貨の追跡技術を発達させており、仮想通貨を悪用した犯罪を摘発することに成功する事例も増えている。
また仮想通貨の登場や国際金融市場の相互接続など、近年の技術的進歩により金融犯罪やインターネット上の犯罪がテロリストの資金調達と密接に関わることも捜査において新たな課題となっている。
米国では2021年の会計年度において、様々な省庁が仮想通貨関連の監視や業務を行うために予算増額を求めている。
特に、財務省内の主要機関が仮想通貨関連の取り組みを強化するために資金を求めており、内国歳入庁(IRS)とOFAC(対外資産管理局)は、暗号関連の業務を大幅に拡大する意向を示していた。