CBDC発行のリスク
米フィラデルフィア連邦準備銀行が、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に関するレポートを発表。CBDCを個人や企業が利用する場合(リテール決済)のリスクを提示した。
同連銀は「CBDC:Central Banking for All?」というタイトルで 、個人や企業が中央銀行に口座を所有した上でCBDCを流通させる場合の影響を考察。特に、商業銀行が持つ満期変換の役割に潜むリスクについて説明している。
満期変換とは、商業銀行が預金等で得た短期資金を、中長期の資金運用(融資など)に回すことにより、実体経済に資金供給を行うことだ。
満期変換にはリスクもある。預金者が一斉に預金を引き出す取り付け騒ぎが起きたり、貸し手が短期の貸出を行わなくなって金融市場が枯渇する可能性だ。こういったリスクを回避するために、CBDCを発行することによって中央銀行が金融市場を独占せず、商業銀行と競合する必要があると述べている。
そうすれば、商業銀行が行っていた満期変換の役割を、CBDCが妨げることないと主張。商業銀行から預金を取り上げ、個人や企業が中央銀行だけにお金を預けるような事態は避けなくてはならないと述べている。
また中央銀行が長期投資を投資銀行に頼っている現状にも言及し、預金を独占しないようにするためにも、両者の関係を今後も強固にしておく必要があると説明。そうすれば、取り付け騒ぎも抑止でき、満期変換も適切に機能すると主張している。