2000ドル大台に
金の価格が2000ドルを突破して、過去最高値を更新した。ニューヨーク金先物は先日およそ9年ぶりに過去最高値を更新、その後も勢いを保ち、中心限月の12月物が2000ドルの大台にのった。
背景にはドル相場の下落と、米中の対立が深刻化したことによる世界経済への不安がある。逃避資産である金に需要が集まった。
今年3月の新型コロナショックでは、安全資産とされる金も現金化のニーズにより売られ急落したが、各国中銀による大規模な金融緩和で資金が流れ込み、リスク資産と金がともに回復する展開に。足元では、リスクオン資産に分類される株式市場で、米NASDAQ総合指数が史上最高値を更新する一方で、リスクオフ資産とされる金も同時に過去最高値を更新した。
新型コロナウイルスについては、各地域や国で感染再拡大、終息への目途が立たないなど、世界中の市場や経済に未曾有の打撃を与え続けている。
多くの国や地域で、積極的な金融緩和と景気対策が打ち出され、足元では落ち着きを取り戻しつつある市場であるが、前例のない状況(異例の世界的な金融緩和政策)の中で、従来の“投資のセオリー”が通用しない環境を作り出したと言える。
金と共に年初から高値を更新するビットコインもまたデジタルゴールドとメディアで取り上げられるなど、好調な市場が続く。7月末にかけて価格は一時11000ドルを突破、急騰した。11000ドルを超えて取引されたのは、昨年の8月以来だ。
金とビットコインは共にその供給量(採掘量)に上限が存在している点、特定の発行国を持たない無国籍の特性が、法定通貨への不信感の中で注目される。
大規模な金融緩和で法定通貨への不信感が高まれば、更なる金・ビットコイン価格上昇も視野に入る可能性がある。