アジア取引が独走
スイスにあるブロックチェーンベンチャーキャピタル「Blockchain Valley Ventures(BVV)」は最新の調査レポートで、仮想通貨(暗号資産)市場の先物出来高の95%以上はアジア系取引所に由来すると報告した。
レポートによると、2020年Q1からQ2にかけて、現物の出来高は約-18%減の5.44兆ドルに減少したのに対し、全デリバティブ取引所の合計出来高は600億ドル増の2.16兆ドルと活況だった。
2019年上半期から2020年の下半期(現時点)までで、グローバルのデリバティブ出来高は300%近く成長し、主にCMEやBakktなどを利用する機関投資家による取引も増加率を一部で牽引した。
一方、BVVはレポートで、アジア系取引所でのデリバティブの出来高は、依然として圧倒的なシェアを占めていると指摘。アジア発の8つの取引所が全体の80%以上の出来高(デリバティブ+現物)を占め、デリバティブ出来高に限れば、95%以上がアジア圏で記録されているとした。特にアジア圏で人気な取引所Binance、Huobi、OKExの出来高はBitMEXを抜くまでに、出来高が増加している。
この様な取引所は、会社の拠点をアジアに置いていないケース(規制逃れの指摘も)もあるが、アジア圏発の取引所として広く認知されている。グローバルに展開される取引と柔軟なサービス設計から世界の顧客を獲得し、世界で取引される仮想通貨市場に多大な影響力を及ぼす規模に発展している。
BVVは、デリバティブの出来高がアジアに集中している理由として、多くの仮想通貨デリバティブ取引所はアジアを拠点としており、デリバティブ取引所に対する規制が整備されていない点を挙げている。
また、アジア以外の地域では機関投資家が利用できる流動性の高いデリバティブ取引所は限定されており、CMEやBakkt以外では規制された取引所は基本現物取引しか取り扱っていない点も、アジアの取引所に集中する1つの要因になるとしている。
業者買収の予測も
上述したように、デリバティブに対する需要は年々増加傾向にあるり、BVVは今後、仮想通貨取引所間で企業買収の動きが活発になる可能性があると予測している。
買収を行いさらに規模を拡大すると想定される主要プレイヤーには、コインベース、CMEグループ、bitFlyer、OKEx、Huobi、BitMEX、Binance、およびBitstampの名があがった。
ノウハウのあるデリバティブ取引所を買収することで、技術を統合する。また、グローバル取引所が規制された業者を買収することで、それぞれの地域に進出できるメリットもあるとした。さらに、デリバティブ取引サービスがレッドオーシャン化するアジア圏からグローバル市場に進出することが可能になる点も今後買収が増える1つの要素だとBVVは説明している。