「禁止ではなく、正しい規制を」仮想通貨巡る議論高まるインドで

「仮想通貨は禁止ではなく規制すべき」

仮想通貨についての規制方針がなかなか定まらないインドで、地元メディアが二人の識者にインタビューを行った。両者ともに、仮想通貨を禁止するのではなく規制すべきだという点で意見が一致している。

シンクタンクBegin Indiaの創設者Deepak Kapoor氏は、ビットコインを株式と同様に規制下で正しい市場への発展を推奨している。

Begin Indiaはインドで仮想通貨のあり方に関心を寄せる企業の一つであり、昨年12月には国連インド本部で非公開の会議を開催。仮想通貨の技術面や分配メカニズム、それが法執行機関にもたらす課題などを議題としていた。

Kapoor氏はまず、ビットコインをプライベートな「通貨」として扱うことは、国の経済を逆に危険にさらすかもしれないと述べ、ビットコインが法的地位を認められるとすれば、それは株式のように位置付けられ、規制下で取引されるべきだと主張。

ビットコインなど仮想通貨は他の法定通貨と同じ様に投資されるものであるためにSEBI(インド証券取引委員会)も、それをデジタル形式の資産として認定するべきだとした。

また、現地ジャーナリストRatan Sharda氏は、新しいテクノロジーと戦うよりも、むしろそれを最大限に活用する必要があり、仮想通貨を合法的なものとして管理し、すべてが追跡できる高速なトランザクションを社会にもたらすことに可能性を見出していると発言。

政府への提言として、仮想通貨を制御・管理するための草案の作成を開始すること、またインドが独自の仮想通貨を作り、その動きを追う恒久的な監視機関を構築するべきかどうかを検討することも挙げた。

11月に関連法案が提出される見込み

今年3月にインドの最高裁判所が、インド中央銀行(RBI)が仮想通貨取引所へ銀行口座サービスを禁止していたことについて「違憲」だという判決を下した。これ受けて、RBIも禁止令を公式に否定し、業界の気運も一時高まった。

しかしその後も、インド政府が、仮想通貨を禁止する法律を導入する方向に動くのではないかとの報道がたびたびなされている。

現在のところ、政府は11月に関連法案を国会に提出することを目指しているとみられ、この法案次第で、仮想通貨がインドで規制されつつ合法的な地位を得るのか、禁止されるのかが明らかになる見込みだ。

インドでは大手企業も仮想通貨分野に進出中

先行きが不透明な状況であるものの、インドの仮想通貨業界は好調で、積極的な業務拡大も見られる。

世界最大手の仮想通貨取引所バイナンスは、昨年11月にインドの取引所WazirXを買収、両方の取引所システムを相互接続し、それぞれのユーザーがもう一方のプラットフォームにログインして取引することを可能にしている。

また、インドの巨大企業グループであるタタ財閥傘下のIT企業タタ・コンサルタンシーサービスは、金融機関向けに仮想通貨関連サービスを発表。銀行や投資会社が、その顧客へ仮想通貨投資サービスを提供する上で便利なパッケージであり、仮想通貨とステーブルコイン、ブロックチェーン、取引所など一連の取引環境を整える。

関連:「銀行顧客へ仮想通貨の投資機会を」インドの巨大市場でタタ財閥がサービス設計

また、イギリスを拠点とする仮想通貨を取り扱う金融機関Cashaaも、インドでのサービス開始を発表。ビットコイン、イーサリアム、テザー、独自の仮想通貨Cashaaコインのサービスを提供、XRPやライトコインなども追加する予定を発表している。

同社CEOのKumar Gauravは「インドの金融セクターは大きな可能性を秘めている。バンキングと仮想通貨の次の大きな進化はインドから起こると信じている」とコメントしている。

こうした企業の動きが、インドで仮想通貨が禁止されないことを予測してなのか、見切り発車なのかは不明である。いずれにしても今年中に提出される予定の関連法案は、業界に大きなインパクトを与えそうだ。


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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します