世界経済と仮想通貨市場
21日のニューヨーク株式市場で、NYダウが一時940ドル安の下げ幅となったことを受け、連休中の仮想通貨(暗号資産)市場は全面安に。相関を強めつつあるゴールド(金)相場の急落にも連れ安した。金や銀価格の急落には、逆相関を示す「米ドルインデックス」急騰も背景にある。
22日は、ハイテク株を中心に買い戻しが入り、140ドル反発するなど落ち着きを取り戻している。
英国を中心に新型コロナ感染拡大によるロックダウン懸念が高まったことによる欧州株の大幅下落が発端となったほか、FinCEN(米国金融犯罪取締ネットワーク)文書流出で、ドイツ銀行やJPモルガンなど最大手銀行で約2兆ドルに及ぶマネロンに関わる「不正取引疑惑」の対応の甘さが露呈したことも、センチメント急悪化に拍車をかけたものと見られる。
今年3月以降の金余り官製相場では、NASDAQを中心にプチバブルの様相を呈していたが、先行き不透明な米大統領選を控え”手仕舞い”の様相が強まりつつある。
22日の米国市場反発を見て23日の暗号資産(仮想通貨)市場はやや持ち直している。ビットコイン(BTC)価格は、前日比+1.44%の110万円(10,500ドル)台を回復した。
今年3月に発生した「コロナショック」以来の仮想通貨市場は、極度のリスクオフ局面に伴う現金化フェーズでは、まとまった売りが出やすくなる傾向にある。
Hedgedinterestは、ビットコイン相場について、現在は弱気だが、9900〜10,000ドルの主要支持線で揉み合った後の再上昇を見込む。
イーサリアムのテクニカル分析では、19年のレジスタンスライン300ドルがサポートとして機能するかどうかが重要だとした。
MicroStrategyの動向
MicroStrategy Inc.の最高経営責任者Michael Saylorは、「保有するビットコインは、いつでも売却可能」と述べた。
Michael Saylorは22日、ブルームバーグのインタビューで、「新型コロナ感染拡大に伴う米連邦準備理事会(FRB)による大規模金融緩和により、手持ち資金をビットコインに投入することを確信できた。実質利回りが-10%を超えてくると、損益の大半が無意味になりかねないからだ。」と語った。
MicroStrategyは、5億ドルを米債権などに投資してきたが、現金価値低下などの影響による「資産インフレ」の年間20%急増を想定し、購買力を損なうとの結論に至った。
代替資産として仮想通貨に白羽の矢を立てた同社は、8月中旬までに2億5000万ドル相当のビットコインを購入。9月15日までに1億7500万ドルを買い増しており、保有量は38,250BTCに達したとされる。
ビジネス・インテリジェンス(BI)分野をリードする同社の筆頭株主は、世界最大手の資産運用会社BlackRockであり、世界第2位のVanguard Group、そして政府系ファンドで世界最大のノルウェー政府年金基金も同社の株式を所有していることから、これらの主流投資機関とビットコインとの接点が生まれたことも好感されている。
一方、「債券利回りが急上昇した場合、ヘッジとして保有していた仮想通貨の売却を躊躇わない」としている。
イーサリアムマイナーが活性化
昨今のDeFi(分散型金融)投資ブームや分散型取引所のUniswapのガバナンストークン「UNI」ローンチに伴う、Gas代高騰などの影響で、イーサリアムマイナーが多額の利益を享受している。
イーサリアムやERC20トークンの取引履歴を蓄積する「Etherscan」のデータによれば、イーサリアムのハッシュレート(採掘速度)は、過去2年で最高の秒間255テラハッシュに達した。
NVIDIAの最新グラフィックカード「GeForce RTX 3090」の導入で採掘能力が上昇しているという。一方、採掘難度は7.8%増の3,306 THに。仮想通貨バブルの3,600THに迫る勢いを見せている。