はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「金のインフレヘッジ効果が低下」ブラックロック担当者の分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ゴールドのヘッジ効果が低下

資産運用最大手ブラックロック(BlackRock)のポートフォリオ・マネージャー(グローバル割当ファンド)を務めるRuss Koesterich氏は、他の資産に対するヘッジ手段として、金(ゴールド)の有効性が低下していると公式ブログで警鐘を鳴らした。中でも株式ヘッジとしては失敗していると指摘した。

投資ポートフォリオを構築する際に、他の資産、特に株式変動とのバランスを取るのに効果的であるという理由から、金を保有するのが典型的なケースだと言われている。

しかし、週次データを見ると金価格は、S&P500株価が1%上昇するごとに0.2%上昇するというと正の相関があるため、Koesterich氏はポートフォリオ構築という観点から、株に対する金のヘッジ効果が低いと主張。特にハイテク株に限定した場合、金との相関は約0.5となり、金とハイテク株の連動性が高まっていると指摘した。

インフレヘッジとしての有効性は

また、インフレヘッジ(物価上昇による通貨価値減少に対するリスク回避)という面でも、金の優位性は「やや誇張されている」とKoesterich氏は主張し、次のように述べた。

何世紀にもわたるような長期的なスパンでは、金は妥当な価値の貯蔵庫かもしれないが、直近の期間を含む、ほとんどの投資範囲においての信頼性は低下している。

一方、米ドルとは依然として強い負の相関を示していることから、ドルに対するヘッジとしては有効と考えられると同氏は述べている。その上で、ドルが下落するという強い見通しが立たない場合は、自分としては金の保有量を減らすとした。最後に、ヘッジとなる資産を求めている投資家に対しては、一言、「現金」という言葉で自身の見解を締めくくった。

ビットコイン投資を検討

Koesterich氏は株式や債券の利回り、また米ドルとの関係という側面から金投資について語ったが、デジタルゴールドとしての仮想通貨ビットコイン(BTC)については言及していない。

しかし、昨年12月末の時点における運用資産残高8.68兆ドル(約942兆円)という、世界最大の資産運用会社ブラックロックはビットコイン市場への参入に向けて触手を動かし始めている。

昨年末からCEOやCTO(最高投資責任者)のビットコインに対する前向きな発言が報道されていたが、今年に入り、二つのファンドを通じてビットコイン先物の運用を許可したことが、米証券取引委員会(SEC)に提出した目論見書から明らかになった。

関連:資産運用最大手のブラックロック、ビットコイン先物の運用を許可

先月半ばには、Rick Rieder CTOが米CNBCの金融番組に出演し、ブラックロックがビットコイン投資を検討していることを明言。Rieder氏は、昨年11月、ビットコイン強気派ではないとしながらも、現物の金に比べ、機能性の面で多くの利点を有するビットコインは、かなりの割合で金の代わりになる可能性があるとコメントしている。

関連:資産運用最大手ブラックロック、ビットコイン投資を検討へ

なお、ブラックロックは、企業の準備資産としてビットコイン購入に先鞭をつけ、現在、約9万1064BTCを保有する米MicroStrategy社の筆頭株主でもある。先月SECに提出された書類によると、その保有割合は16.3%に上る。

ビットコインがゴールドに置き換わる?

ビットコイン投資に関心を示すゴールド支持派も増えているようだ。

米投資企業DoubleLine CapitalのJeffrey Gundlach最高経営責任者は、ビットコインに否定的な考えを一転させ、「魅力的な資産」になる可能性があるとして、ビットコイン投資の有用性を認める発言をした。

関連:ゴールド支持派の米投資企業CEO、ビットコイン市場の見方に変化

また、米ブルームバーグのアナリストMike McGlone氏は、3月8日、投資ポートフォリオにおける価値の保存手段として、ビットコインがゴールドに置き換わるペースが加速してきたと指摘した。

関連:「ビットコインがゴールドに置き換わるペース加速」ブルームバーグのアナリストがデータ考察

さらに、直近では、テクニカル的な見通しとして金市場は短期的には回復する可能性が高いが、長期的には「休息期間」に入ると予測。金の上げ幅はレジスタンスラインと「新参者ビットコイン」によって制限されている、とツイートした。

反対意見

なお、Koesterich氏の金に対する見解についてはブルームバーグも報道しているが、「金価格を抑制するための、協調的な政治努力のようにみえる」と批判する声も上がっている。「なぜ、S&P500が最低でも50%過大評価されていることについて、誰も話そうとしないのだろうか」などの反論が見られた。

デジタルゴールドとしてビットコインが、長い歴史を持つ金市場を圧倒していくのか、前代未聞の大規模な金融緩和が継続する中で、共存共栄していくのかについては、活発な議論が交わされているようだ。私たちは、今、まさに金融の歴史が動く大きな転換点を目の当たりにしているのではないだろうか。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/31 水曜日
14:00
ブラックロックの2026年投資展望 AI投資が米株式市場を牽引、ステーブルコインは金融の架け橋に
ブラックロックの2026年投資展望レポートでは、AI関連投資が米国株式市場を牽引し、生産性向上で171兆円の経済効果が見込まれると分析した。また、38兆円規模に成長したステーブルコイン市場について決済システムへの統合が進み、トークン化された金融システムへの第一歩となると見ている。
12:00
2026年末のビットコイン価格はどうなる?有識者7人に予想を聞いた
ビットコイン2026年末価格予想を暗号資産(仮想通貨)業界の著名人7人が回答した。平均は12.3万ドルで約40%の上昇見込み。FRB政策、機関投資家参入、半減期アノマリー崩壊など注目ポイントを分析。強気派と慎重派の見解を比較し、相場の行方を占う。
11:00
仮想通貨TOP20と国内発トークン、25年の騰落率は
ドナルド・トランプ氏の米大統領就任やビットコインの最高値更新があった2025年。本記事では同年の時価総額上位銘柄と国内発プロジェクトのトークンの年間騰落率をまとめている。
10:00
激動の2025年 仮想通貨の時価総額トップ20、過去8年間における順位変動は
2025年はビットコインが12万ドルを突破した。仮想通貨に肯定的な米トランプ政権が始動した1年を終えるにあたり過去8年間において仮想通貨の時価総額の順位がどのように変動してきたかを振り返る。
12/30 火曜日
14:00
米カリフォルニア州の超富裕層への「5%資産税」に業界猛反発 仮想通貨起業家流出の懸念も
米カリフォルニア州で純資産10億ドル超の富裕層に5%課税する提案が行われ、Kraken創業者やBitwise CEOをはじめとする仮想通貨・テック業界リーダーが強く反発し、警告を発した。株式、不動産、仮想通貨などを対象とし、未実現の含み益にも課税される点が問題視されている。
14:00
コインベース・ベンチャーズが注目する2026年の仮想通貨4大トレンドとは
米最大手コインベースの投資部門コインベース・ベンチャーズが2026年に積極投資する4分野を発表した。RWA永久先物、専門取引所、次世代DeFi、AIとロボット技術など、次のブレイクアウトが期待される仮想通貨領域について紹介。
12:32
ビットマイン、イーサリアム買い増し 独自のステーキング・インフラも準備中 
ビットマインの仮想通貨イーサリアム保有量が411万枚に到達した。年末の価格下落を好機と捉え買い増しを行っている。2026年には独自ステーキング基盤も公開予定だ。
10:00
2025年の仮想通貨市場を重要ニュースから振り返る
2025年は仮想通貨を支持するドナルド・トランプ氏が米大統領に就任し、相場は米国の動向から大きな影響を受けた。本記事では、ビットコインの最高値更新など1年間の重要ニュースを振り返る。
09:50
仮想通貨投資商品、先週700億円超の純流出 XRP・ソラナは好調維持=CoinShares
仮想通貨投資商品から先週700億円超が流出した。CoinSharesは投資家心理がまだ完全に回復していないと分析した。一方で資産別ではXRPとソラナへの流入は好調だった。
12/29 月曜日
14:23
ビットコインは持続的上昇局面に?4年サイクル論争と機関投資家の影響力
Bitwise CIOマット・ホーガン氏が「ビットコインの4年サイクルは終焉し、持続的上昇局面に入った」と主張した。ハーバード大学など大手機関がBTCを保有し、個人投資家から機関への資産移転が進行。ボラティリティ低下の理由と、「階段を上りエレベーターで降りる」値動きパターンを専門家2人が詳しく解説。
13:35
AIや仮想通貨のショッピング活用進む Z世代が牽引か=Visaレポート
決済大手ビザの調査で、ショッピングにAIツールや仮想通貨を利用する消費者が増加していることが判明。特にZ世代が牽引していた。ステーブルコイン送金への関心も高まっている。
09:44
スベルバンク銀、ロシア初の仮想通貨担保ローン発行
ロシア最大の銀行スベルバンクが同国初の仮想通貨担保ローンを発行した。ビットコインマイニング企業に融資し、デジタル資産担保の仕組みを検証している。
12/28 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、MTGOXハッキング容疑者関連のBTC送金やearnXRPローンチなど
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン年末相場、値頃感から買い戻し期待も|bitbankアナリスト寄稿
今週のビットコインは方向感に欠け1400万円周辺で推移。26日のオプションカット通過後の動向が注目される。底入れには12月高値9.4万ドルの回復が条件だが、割安感から買い戻されやすいとbitbankアナリストが分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|Bybitの日本居住者向けサービス終了発表に高い関心
今週は、大手仮想通貨取引所Bybitの日本居住者向けサービス終了の発表、仮想通貨市場の調整局面、日銀の植田和男総裁の講演に関する記事が関心を集めた。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧