はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米中央情報局(CIA)の元長官代理「ビットコインの不正使用説は誇張されている」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインの不正使用の実態を検証

「金融犯罪におけるビットコイン使用の分析」と題した、新たな調査報告書が発表された。

執筆したのは、米中央情報局(CIA)で33年のキャリアを持ち、副長官ならびに長官代理を務めたMichael Morell氏で共著者は元国務次官(軍縮・国際安全保障)特別補佐官Josh Kirshner氏。

この報告書は先週設立が発表された、暗号資産(仮想通貨)推進のロビー団体The Crypto Council for Innovation(CCI、イノベーションのための仮想通貨評議会)の最初のプロジェクトで、「ビットコイン(BTC)市場には不正行為がはびこっている」という通念を検証するものだ。

関連:コインベースやフィデリティなど米国の4企業、仮想通貨業界団体設立

調査書が導き出した結論は次の2点に集約される。

1. ビットコインが不正な金融活動に使用されているという一般的な概念は、かなり誇張されたものである。

2. ビットコインの基盤であるブロックチェーンの分析は、法執行機関ならびに情報機関が不正な活動を特定・阻止するために利用できる、非常に効果的な犯罪科学ツールである。

ビットコインの不正利用は限定的

報告書では、ブロックチェーン分析企業Chainalysis社やCipherTrace社の調査に言及し、実際に行われている違法行為は、仮想通貨の活動全体に占める割合は0.5%から1%未満だという数字を示した。

一方、経済活動全体における違法行為は世界のGDPの2%~4%と推定されているが、圧倒的に「伝統的な金融機関を通じ、法定通貨を用いて行われる」と指摘。「ほとんどの不正行為は依然として従来の銀行システムで行われており、仮想通貨を介したものではない」という元CIA分析官の言葉を引用した。

また、多くの政府や規制当局が強い懸念を表明している資金洗浄やテロ資金供与での利用については、SWIFTの委託を受けたBAE Systems社の2020年の調査結果や、RAND Corporationによる研究に言及し、非常に限定的だと結論づけた。また、元CIAのテロ専門家は、仮想通貨の犯罪利用は現実よりも誇大に喧伝されており、仮想通貨はテロ組織にとって依然として重要な利用手段とはなっていないと証言したという。

「ブロックチェーンは捜査のゲームチェンジャー」

報告書は、ブロックチェーン技術がいかに不正活動の摘発に有益であるかについて、様々な専門家の意見を引用している。

CFTC(商品先物取引員会)職員:「法執行機関にとって、ビットコインを利用した違法行為の追跡は、従来の銀行取引を使った国境をまたいだ違法行為の追跡よりも容易であり、現金による取引よりは、はるかに簡単だ」

Daniel Glaser 元財務次官補(テロリスト資金調達・金融犯罪担当):「国際及び国内金融システムの透明性において、仮想通貨は、法執行機関が取引を追跡できる機会を強化する。」さらに、 Glaser氏は米国政府が仮想通貨を適切な方法で規制し、システムに導入するべきだと付け加えている。

また、ある専門家は「すべての犯罪者がブロックチェーンを利用すれば、不正な金融活動を一掃することができる」とまで、言い切ったという。

「犯罪者はビットコインを敬遠するようになる」

報告書を執筆したMorell氏は、国家安全保障問題関連のニュースメディア、The Cipher Briefのインタビューで、「テロリストなどの犯罪者はブロックチェーンの法執行力と情報力を知れば知るほど、仮想通貨を不正な方法で使うことはなくなる」と主張した。そのため、テロ対策としてのビットコインの有用性は、「オサマ・ビンラディンが米国政府に通話を盗聴されていることを知った後、二度と電話を使わなかった」ような効力があり、犯罪者は仮想通貨を敬遠するようになると述べた。

通説を疑うことの重要性

Morell氏は、今回の調査に取り掛かる前、「ビットコインは主に不法行為に利用されている」という通説を裏付けるような事実を発見するだろうと考えていたという。特にジャネット・イエレン米財務長官やクリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行総裁など、国内外の政府高官が公式声明でビットコインへの懸念を表明していたことも、その通念を強化していたと述べた。

しかし、実際に業界関係者をはじめ、多くの法執行機関や規制当局の専門家に意見を求め、米司法省、金融犯罪執行ネットワーク(FinCEN)、金融活動作業部会(FATF)、主要なブロックチェーン分析企業、米国や日本の金融機関などの研究を参考にして分析を進めた結果、Morell氏は前述したような結論に達したという。

Morell氏はこれまでの諜報活動で学んだことのひとつは、従来の常識を疑ってみることの重要性だと強調。報告書をきっかけに、イエレン財務長官をはじめ、多くの関係者ならびに一般の人々が、通説はどれほど正しいのか、または間違っているのかについて議論を始めることを望んでいると結んだ。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/11 土曜日
14:30
13:20
ビットコインの年間の実現純利益が継続的上昇、今後の動向は=CryptoQuant
CryptoQuantが週間レポートで仮想通貨ビットコインの利確の動きは低調であるとして今後も上昇継続の可能性を予想した。一方、市場はトランプ関税発言で急落したところだ。
12:00
ケニア最大級のスラム街でビットコインが広がる理由|Afribit創業者インタビュー
ケニアの貧困地域で広がるビットコイン活用。なぜ使われ、どんな課題があるのか。現地取材による5つの質問と回答で、仮想通貨の実態をわかりやすく紹介。
10:45
「トランプ・ショック」でアルト市場に異常値 ATOMが一時0.001ドルまで暴落
トランプ大統領の対中関税警告で一部アルトコインがバイナンスなどで異常急落。ATOMは0.001ドルまで暴落しSUIは85%下落。過去24時間の清算総額は約3兆円に達した。
10:00
ノーベル平和賞めぐる情報漏洩か、ノルウェー当局が米賭けサイトのトレーダーに関する調査=報道
ノルウェー当局が2025年ノーベル平和賞の結果についてポリマーケットでの情報漏洩を調査している。受賞者マチャド氏は仮想通貨ビットコインの支持者として知られている。
09:45
米賭けサイト「カルシ」、3億ドル調達で評価額50億ドルに 140カ国展開へ
米予測市場カルシが3億ドルの資金調達を完了し評価額50億ドルに到達。セコイアやアンドリーセン・ホロウィッツが参加し事業を140カ国に拡大する計画を発表した。
08:10
世界大手銀行10行、G7通貨のステーブルコイン発行を共同検討
バンカメやゴールドマン・サックスなど世界大手銀行10行がG7通貨連動ステーブルコイン発行の共同検討を開始とBNPパリバが発表した。
07:30
32億円相当の仮想通貨を盗難か Hyperliquidのユーザーが被害者に
Peckshieldは、Hyperliquidのユーザーが32億円相当の仮想通貨を盗難されたことを報告。原因は秘密鍵の漏洩であると分析している。
07:00
キャナリー、XRPとソラナETFの申請を更新も長引く政府閉鎖が影響
米キャナリー・キャピタルがXRPとソラナETFの登録届出書を更新し手数料を0.50%に設定。SEC承認に向け前進するも政府閉鎖で承認プロセスが不透明な状況にとどまる。
06:30
モルガン・スタンレー、仮想通貨ファンドの顧客制限を撤廃=報道
モルガン・スタンレーが仮想通貨ファンドへのアクセス制限を撤廃し全顧客が投資可能にとCNBCが報道。10月15日から退職金口座を含むあらゆる口座で利用可能になる。
06:13
バイナンス創設者CZ氏への恩赦検討が進展 ホワイトハウス内で協議=報道
バイナンス創設者CZ氏への恩赦に関するホワイトハウス内の協議が進展していると報道された。トランプ大統領は恩赦に前向きだが体裁を懸念する声も。
05:45
ビットコイン暴落、1.3兆円規模のロスカット発生 トランプの対中100%関税追加を受け
トランプ大統領が中国製品への関税大幅引き上げを警告し仮想通貨市場が大幅安に。ビットコインは10%下落し市場全体で1250億ドル超の時価総額が消失した。
10/10 金曜日
16:47
ジャック・ドーシーのブロック社、ビットコイン決済・ウォレットソリューション「Square Bitcoin」提供開始へ
ジャック・ドーシー氏率いる米ブロック社が、Squareで仮想通貨ビットコイン決済・変換サービスを開始する。初年度手数料無料で、売上の一部をBTCに自動変換可能だ。
16:09
ビットコイン、2030年までに金と並ぶ中央銀行準備資産に ドイツ銀行が予測
ドイツ銀行のアナリストらが、ビットコインが2030年までに中央銀行の準備資産となると予測した。ボラティリティ低下や規制整備が進む中、ビットコインは、金と共に中央銀行のバランスシートに共存する可能性があると見ている。
15:23
カルビー×SNPIT「じゃがりこ」NFTコラボ発表 10月15日から販売開始へ
ブロックチェーンゲームSNPITとカルビーが「じゃがりこ」NFTコラボを開始。10月15日から段階的に販売。ミントスクロールを使って新カメラBOXを生成可能。価格や販売スケジュールの詳細を解説。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧