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アジアを中心に広まるサステナブルファイナンスとトークン化の関係とは Forkast寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

サステナブルファイナンスの中心地、アジア

グリーンボンドへの関心が世界中で高まっていますが、持続可能な経済を支える金融である「サステナブルファイナンス」の中心地としてアジアが台頭してきています。この記事では、中国がその先頭に立つ理由を紹介します。

グリーンボンドに力を入れる中国

アジアではサステナブルファイナンスを重要視する動きが強まっていますが、特に中国は、2021年以降の5年間における国家的な優先事項として、グリーンファイナンスを掲げています。グリーンファイナンスとは、環境問題の解決を目指すプロジェクトが資金調達する際に選択する手段の一つで、主に「グリーンボンド」を通じて調達します。

グリーンボンドとは、気候変動の緩和など、環境に配慮した新規および既存のプロジェクトに対する資金調達や投資を可能にする債券で、世界中で関心が高まっています。

中国は「30/60目標」を掲げ、大規模なグリーン投資とグリーンボンドなどの幅広いグリーンファイナンス商品の開発を奨励しています。この目標では、二酸化炭素の排出量がピークになる年を2030年と設定し、2060年までにカーボンニュートラルを達成するという数値目標を設定しています。

中国人民銀行行長の易綱氏は、先日開催された中国開発フォーラムのラウンドテーブルで「中国の金融政策を最大限に活用し、グリーンファイナンスを推進する」と題したスピーチを行いました。その中で、「30/60目標」について以下のように発言しました。

30/60目標を達成することは、政府だけでなく中国の民間セクターにとっても高いハードルであるだけではなく、数百兆元もの資金が必要です。しかし、公的資金でカバーできるのは、そのごく一部にすぎません。

そのためには、健全な公共政策のインセンティブを導入し、市場の力でそのギャップを埋めることが必要です。

定義不在の「サステナブル」

英国を拠点とし、100兆ドル(約1京円)規模の債券市場を気候変動の解決策に動員することに取り組む非営利団体Climate Bonds Initiativeによると、2020年の世界のグリーンボンド市場の発行額は、2019年の2,665億ドル(約27兆円)から増加し、過去最高の2,695億ドル(約27兆円)に達しました。これまでに累積で1兆ドル(約100兆円)以上のグリーンボンドが発行されています。

しかし、国際決済銀行(BIS)の調査によると、世界の債券発行額に占めるグリーンボンド市場の割合はまだ小さく、約3.5%となっています。

ブラックロック社の「2020 Global Sustainable Investing Survey」によると、27カ国の425人の投資家を対象とした調査では、世界の投資家は2025年までにサステナブル資産の運用額を2倍にすることを計画しており、サステナブル債券の資産クラスへのアロケーションも増加するとしています。

しかし、環境・社会・ガバナンス(ESG)データや分析の質が低かったり、利用しにくいことが、インパクト投資やサステナブル投資が普及する上で最大の障壁となっていることが報告書で指摘されています。

グリーンボンド原則(GBP、グリーンボンドに関するステークホルダーを対象とするガイドライン)によると、グリーンボンドの発行者は、資金の使途、プロジェクトの評価・選定プロセス、資金の管理、投資家へのタイムリーな報告という4つの要素を明確にしなければなりません。

「グリーン」や「サステナブル」といった言葉に一貫した定義がなく、そのために結果のモニタリングや報告に透明性がないという声も、専門家からはあがっています。

ロバート・グリーンフィールド氏は、Forkast.Newsのインタビューに次のように答えました。

グリーンボンドが実際にその言葉通りのインパクトをもたらすかどうかを確認するためには、非常に複雑な追跡調査が必要です。その影響を測る方法として、トークン化がその一歩になると思います

ブロックチェーンがグリーンファイナンスを後押し

前述のグリーンフィールド氏は、ブロックチェーンが役立つ一例として、トレーサビリティを挙げています。

トークン化は、特定の商品がユニークなモノ(唯一であること)の証明として活用できます。トレーサビリティソリューションの一環として、トークン化は優れた方法です。

また、モノのインターネット(IoT)デバイスと人工知能を活用してリアルタイムのデータを収集し、トレーサビリティーと投資家への報告を改善することも可能です。

関連:初心者にもわかるNFT解説:「トークン化」の仕組みとは|Forkast寄稿

シンガポールを拠点とするデジタル証券取引所であるiSTOXのチーフコマーシャルオフィサーであるOi Yee Choo氏は、ブロックチェーン技術とデジタル証券についてForkastが送った質問に対し、以下のように返答しました。

(ブロックチェーン技術は)手動のプロセスを自動化し、証券をより小さな単位で配布し、取引所で自由に取引できるようにするため、すべての非公開市場での発行にとってゲームチェンジャーとなる可能性があります。

トークン化により、機関投資家や個人投資家などの小規模な投資家を呼び込むことができるようになります。

ブロックチェーン技術やスマートコントラクトを通じ、従来は債券市場へアクセスできる主体が大規模な発行体に限定されていた現状や管理コストを、大幅に改善することも期待できます。

ブロックチェーン技術採用によるコスト削減効果は、非常に大きなものになりえると、HSBC Centre of Sustainable FinanceとSustainable Digital Finance Allianceは報告しています。標準的なプロセスでグリーンボンドを発行した場合の推定コストは640万ドル(約1.7億円)だったのに対し、ブロックチェーンで自動発行した場合は、わずか69万2000ドル(約7,000万円)にとどまった、と報告書の中で述べました。

勢いを増すグリーンファイナンス

国連が掲げる「持続可能な開発目標」の取り組みは、2030年までの達成を目標としています。21年11月に、国連気候変動会議の開催が予定されていることから、グリーンファイナンスやフィンテックは、政府や民間企業からより一層注目されています。

元イングランド銀行総裁で、現在は国連の気候変動対策と金融に関する特使を務めるマーク・カーニーは、昨年12月に開催されたシンガポール・フィンテック・フェスティバルで次のように述べました。

例えば、年金基金、政府系ファンド、資産運用会社、銀行などについて、気候変動に関する情報開示を求めているバランスシートをすべて合計すると、170兆ドル(約1.7京円)にもなります。

ブロックチェーンやフィンテックの分野では、特にトークン化に関しては、アジアが欧米をはるかに凌駕しています。シンガポールはその完璧な例であり、米国ではまだ実施されていない様々なことを機関レベルで試行しています

アジアにおけるグリーンファイナンス・ハブ

アジアは、世界のグリーンボンド発行額の約4分の1を占めており、ここ数カ月の間に、この地域で多くのグリーンファイナンスの取り組みが発表されています。

東南アジア最大のグリーンファイナンス市場であり、ASEANのグリーンボンドおよびローンの累積発行額の約50%を占めるシンガポールは3月、公共部門のインフラプロジェクトを対象に140億ドル(約1.5兆円)相当のグリーンボンドを発行すると発表しました。政府は、グリーンファイナンス・アクション・プランの一環として、グリーンボンドの市場流動性を深め、グリーンな発行体、資本、投資家を誘致し、シンガポールおよび世界の持続可能な開発に向けた資本の流れを生み出すことを目指して動いています。

国際資本市場協会(ICMA)の報告書によると、香港はアジアの国際債発行を手配する最大の拠点となっており、2020年のアジアの国際債市場の34%、1,960億ドル(約20兆円)を獲得し、米国18%、英国17%、シンガポール5%と続いています。香港では、2019年末までに260億ドル(約2.6兆円)のグリーンボンドが手配・発行され、そのうちのかなりの数が本土や海外の事業体によって発行されています。

香港は2月、今後5年間でさらに226億ドル(約2.3兆円)のグリーンボンドを発行する計画を発表しました。これは、1月に政府が25億ドル(約2,500億円)のグリーンボンドを発行したのに続くものです。

香港金融管理局のハワード・リー副局長は最近の講演で、「グリーンボンド発行に国際基準を採用している香港は、この移行を支援するために国際的な投資家からグリーンキャピタルを調達するための理想的なプラットフォームであると考えており、特にグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)内でこの動きを促進する方法を検討しています」と述べました。

香港政府は、幅広い通貨やプロジェクトタイプ、および、発行チャネルでのグリーンボンド発行を試験的に行い、一般消費者向けのリテールグリーンボンドを発行する予定です。

香港の国際決済銀行イノベーションハブは、個人投資家向けに小額発行されるトークン型グリーンボンドの可能性を探求しています。このトークン型グリーンボンドにより、グリーンウォッシング(環境に配慮しているようにごまかすこと、および、そう試みること)を減らし、透明性を高めるためにこの技術がどのように利用できるかを実証する予定です。

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