はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

機関投資家が分散型金融(DeFi)への参入をためらう理由とは Forkast寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

DeFi参入をためらう理由は?

大口投資家がDeFi(分散型金融)に参入する一方で、参入をためらっている投資家もいます。

DeFiは、伝統的な銀行やベンチャーキャピタルから注目されています。しかし、多くの機関はまだ参入を見合わせています。Forkast.Newsがその理由を取材、まとめました。

DeFi利用者の急増

DeFi Llamaによると、DeFiのプロトコルのTotal Value Locked(TVL)は今月、1,570億米ドル(およそ1兆7,000億円)となり、過去最高額を更新しました。これは、仲介を必要としないブロックチェーンベースの金融アプリケーションを使っての、貸し借りのプラットフォーム、信用取引、決済への関心が高まっていることを示しています。

イーサリアム技術企業「ConsenSys」が発表した2021年第2四半期のDeFiレポートによると、機関投資家の資本が、従来の金融よりも利回りの高いDeFiに殺到しています。

DeFi産業は発展途上ですが、DeFiプロトコルへのベンチャーキャピタルへの投資、DeFiトークンの購入、DeFi上場投資信託(ETF)などへ、機関投資家は高い関心を示しています。

世界中の大手銀行がDeFiに注目

シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるAndreessen Horowitz(a16z)もまた、DeFiへの高い関心をもっています。同社は、Uniswap、Maker、CompoundといったDeFiのブルーチップを仮想通貨ポートフォリオに含めています。

アジアでは、タイ最大かつ最古の銀行Siam Commercial Bankが、軍資金として、1億1,000万ドル(およそ120億8,000万円)相当のブロックチェーン、DeFiなどのデジタルアセットを保有しています。

DeFiプロジェクトに投資している金融機関、Alpha Finance Lab、Anchor Protocol、Ape Board、AxelarのDeFiに対するスタンスは、DeFiへの投資は金融業界における破壊的革命のはじまりだというものです。

ゴールドマン・サックスも、顧客にDeFiを勧める意向をしめしています。同銀行は7月、米国証券取引委員会にDeFi取引所を申請しました。このファンドは、先進国と新興国市場へブロックチェーンおよび、DeFi分野の上場企業へのエクスポージャーを提供するようです。

関連:ゴールドマン・サックス、米SECにブロックチェーン関連のETFを申請

DeFiの活用法

アジアで最初にDeFiに投資した上場企業の一つであるタイ上場企業、The Brooker Group。同社はDeFiの保有は長期戦略と考えています。同社社長、バリット・ブラクル氏は以下のように語ります。

デジタルアセットネットワークは爆発的に普及しています。私達機関投資家が、クロスアセット投資やトークノミクスを、さらにポートフォリオに取り込む絶好のチャンスです。

同様にポジティブな見解を述べるのは、SEBA 銀行のアジアCEO、サム・リン氏です。

DeFiのプロトコルが、個人や中小規模の仮想通貨投資に広まりだして、まだ数年しかたっていません。世界はまだDeFiをどう使うべきか理解していません。今はまだ、新しいサービスを提供し、プロトコルの基礎が固め、機関投資家を受け入れる準備をしているところです。

DeFiの基礎が変化すると共に、DeFiユーザーの属性も変化します。当初は、開発者や仮想通貨通だけがDeFiのユーザーでした。そして次第に富裕層や個人経営者や、一部の仮想通過に興味をもつ人々も、DeFiのプロトコルを使い始めました。その結果、流通する資産が増え、商社や中央主権型プラットフォームがDeFiユーザーの多くを占める結果になりました。

機関投資家をDeFiへ参入させるためには

しかし、機関投資家がDeFiに参加するには、いくつものハードルがあります。マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)の強化は必須です。また、急速な進化も信頼性に欠けます。その結果、一般的に規制基準の厳しい大手金融機関は、参入を見合わせているのが現状です。

香港に拠点を置くデジタル資産のカストディアン、Hex TrustのCEO、アレッシオ・クアグリーニ氏はこう語ります。

DeFiプロトコルは、まだほとんど規制されておらず、金融機関の運用フレームワークに簡単に収まらないいくつかの問題点がありあます。さらに、匿名または偽名で運用されるDeFiプロトコルやブロックチェーンは、AML/CTFに与える影響が大きいです。

もう一つの課題は、投資対象としてのDeFiのボラティリティです。

ボラティリティーのレベルは、伝統的なアセット・クラスのものより、まだはるかに高いです。

その他にも、サイバーセキュリティや、ユーザーがデジタルアセットにアクセスするために、秘密鍵を使うシステムなども、多くの機関投資家をDeFiがら遠ざけています。また、多重のログインシステムも見直されるべきです。そして、DeFiへの投資が、がハッキングのよって失われる可能性や、悪用される危険性なども懸念されています。

しかし、ブロックチェーンのエコシステムは、すでにこの問題に対するいくつかの解決策を打ち出しています。ハッキングやある種の債務不履行に対するDeFi保険も登場しています。

機関投資家はどうDeFiへ投資すべきか

このような課題を乗り越えるため、仮想通貨業界は改善をくりかえし、問題点を解決し、機関投資家への参入口を広げてきました。

SEBA銀行のリン氏は、機関投資家がDeFiから簡単に利益を得る方法は、プロジェクトのトークンを所有することだと考えています。同銀行は顧客にもDeFiのトークンを勧めています。他にも、AAVE、LINK、 UNI、SNX、 YFI、 USDCを使った投資、カストディ、トレーディングなどもサポートしています。

DeFiファンドも選択肢のひとつです。リン氏はこう語ります。

そのいくつかは、機関投資家のみが参加できます。そして、業界をリードするDeFiプロトコルの数々に触れることができます。投資家は、トークンを直接買わなくても、DeFiを使うことができるのです。

世界最大のデジタルアセット運用会社、Grayscaleは7月にDeFiファンドを立ち上げ、機関投資がDeFiプロトコルに触れる機会をつくました。

DeFiプロトコルの許可版を利用することにより、機関投資家は、AML/CFTコンプライアンスそして、取引をモニターができる、流動性市場での直接取引をおこなえます。

Aave Arc and Compound Treasuryはコンプライアンスやリスク管理がきちんとしている上に、利回りのいいDeFiの一例です。

機関は、民間流動性プールを通して、DeFiの利回りにアクセスすることができます。Compound Treasuryは、顧客の米ドルをUSDCに変換し、4%の固定金利を提供することで、ボラティリティーの問題を解決しようとしています。

DeFiの未来

DeFi業界が成長し続けている今、業界関係者はDeFiの未来を前向きにみています。Brooker Groupのブラクル氏はこう語ります。

DeFi業界は成長していて、仮想通貨への投資は増えていることを、機関投資家は理解しています。私達はビットコインやステーブルコインと同様、DeFiへの投資が増えてきたのを見てきました。

サイアム商業銀行(SCB)ブロックチェーンファンドのように、DeFiに特化したファンドもあります。機関投資家、ベンチャーキャピタル、民間企業がDeFiや分散型アプリケーション(DApp)への投資を増やしています。2021年にはアジア市場、とくにシンガポールと香港で、高い投資リターンのDeFi運用が多くなると、私達は見込んでいます。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/14 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、トム・リーのイーサリアム相場分析やXRP現物ETFの連続純流入など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
来週の米雇用統計に注目、労働市場減速ならビットコイン相場に追い風か|bitbankアナリスト寄稿
BTC相場は1450万円周辺で推移。FOMCで利下げ決定、流動性供給再開で中期的な下支え期待。来週の米雇用統計で労働市場減速が示されれば、追加利下げ観測強まりBTCの追い風となるか。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|仮想通貨税制に関する国会質疑に高い関心
今週は、ストラテジーによるビットコイン押し目買い、仮想通貨税制に関する国会質疑、仮想通貨マーケットメーカー大手Wintermuteの市場分析レポートに関する記事が関心を集めた。
12/13 土曜日
14:05
米インタラクティブ・ブローカーズ、ステーブルコインでの口座入金を開始
ステーブルコイン入金を導入 ブルームバーグが報じたところによると、オンライン証券大手インタラクティブ・ブローカーズ・グループが、個人証券口座へのステーブルコインによる入金を可能…
13:35
仮想通貨業界団体ら、シタデルに反論 「DeFiは仲介事業者ではない」
DeFi教育基金など仮想通貨業界団体らが米SECに書簡を提出した。シタデル・セキュリティーズによるDeFi規制要求に反論し、自律的ソフトウェアは仲介者に該当しないと主張している。
11:55
ブラジル金融大手イタウ、3%のビットコイン配分を推奨
ブラジルの金融機関イタウがポートフォリオの1%から3%をビットコインに配分するよう推奨した。米国のバンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレーも最大4%の配分を提案している。
11:20
ファントムウォレットが予測市場機能を導入、カルシと提携
主要仮想通貨ウォレットのファントムが予測市場プラットフォームのカルシと提携し、ウォレット内で政治、スポーツ、文化イベントの契約を可能にする新機能を発表した。
10:25
Pyth Network、トークンの買い戻しメカニズム「PYTH Reserve」を導入
分散型オラクルPyth Networkが、収益の一部で仮想通貨PYTHを毎月買い戻す新メカニズムを導入する。DAOの資金残高の3分の1程度を購入に充てる予定だ。
09:20
テザー、イタリアサッカー名門ユベントス買収を提案
ステーブルコイン発行企業テザーがサッカークラブのユベントス買収を提案した。エクソール保有の65.4%株式を現金取得後、残る株式も公開買付けし、10億ユーロの投資を準備している。
08:30
テザー、自社株のトークン化や買い戻しを検討か
仮想通貨ステーブルコインUSDTなどを発行するテザー社は、自社の株式の流動性を確保するためにトークン化や自社株買いなどの手段を検討していることが報じられた。検討の背景が明らかになっている。
07:40
ソラナDEX大手ジュピター、7つの大型アップグレード発表 オンチェーン金融強化へ
ソラナ上のDEXアグリゲーター「ジュピター」がレンディングのオープンソース化、ステーブルコインジュプUSDローンチ、トークン検証システムVRFD拡張など7つの包括的アップグレードを発表した。
07:05
バンガード幹部がビットコインを投機的収集品と指摘、仮想通貨ETF取引解禁も慎重な姿勢
バンガードの責任者ジョン・アメリクス氏がビットコインを人気玩具ラブブに例え投機的資産と指摘。同社は仮想通貨ETF取引を解禁したが、独自商品提供や投資助言は行わない方針を維持。
06:35
ソラナ「ファイアダンサー」がメインネット稼働開始、100万TPS目指す
ソラナの新しいバリデータ・クライアント「ファイアダンサー」が3年間の開発を経てついにメインネット稼働を実現。1秒あたり100万トランザクションの処理を目指している
06:10
米ムーディーズがステーブルコイン格付けフレームワークを提案、準備資産評価へ
米大手格付け会社ムーディーズがステーブルコインを評価するための新たなフレームワークを提案した。ステーブルコインを裏付ける準備資産プールの各適格資産タイプを評価し、信用力に基づいて格付けを付与。
05:45
リップルやサークルなど5社、米連邦信託銀行免許の条件付き承認を取得
米通貨監督庁がリップル、サークル、ビットゴー、フィデリティ・デジタル・アセッツ、パクソスの5社に連邦認可信託銀行免許の条件付き承認を付与した。ステーブルコイン発行企業を連邦規制監督下に置く重要な一歩となる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧