ステーブルコインに対するアプローチを懸念
米国のPat Toomey上院議員は7日、Janet Yellen財務長官宛てに書簡を提出。ステーブルコイン規制に対する米政府のアプローチについて懸念を表明した。
現在、Yellen長官を中心とする米国の金融規制当局のワーキンググループが、ステーブルコインの規制枠組みを検討しているところだ。近いうちに財務省が、ステーブルコインの潜在的リスクに関するレポートを公開する予定がある。
また、米当局は、ステーブルコイン市場を「無秩序」と評しており、ステーブルコインに銀行規制を適用する法案を作成することを、議会に提案する見込みだという。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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「関係者と十分に話し合いの場を持つべき」
Toomey議員は書簡で、ステーブルコインのワーキンググループが規制枠組み策定プロセスを非公開のまま進めており、関連事業者からも十分に意見を聞いていないことを問題にした。同議員は、次のように述べている。
当局は、ステーブルコインについての報告書を作成するためのプロセスをほとんど明らかにしていない。私が理解するところでは、利害関係者はこのプロセスへほとんど参加できていないのだ。
わずか数社のステーブルコインプロバイダーが招待されただけであり、さらに、内容の詰まったプレゼンテーションを行うのに、各社たった5分しか時間を与えられなかった。
Toomey議員は、政府の政策立案者が、ステーブルコインという新たな技術がどのように機能し、社会に役立つのかを理解するために、その技術を開発した人々と話し合いを持つことが有意義だとしている。
さらに、ステーブルコインにも様々な種類があることを把握しておくべきだと続けた。Toomey議員は、米ドルなど法定通貨以外にも、コモディティ、現物資産などの資産クラスと紐付けられたコインがあることに言及。また、中央管理された貯蔵庫に準備金を保管しているプロジェクトもあれば、分散型の方法でステーブルコインを担保しているプロジェクトもあると指摘している。
金融リスクに指定することを懸念
Toomey議員は、ステーブルコインは国際送金の効率化、送金コスト削減、マネロン対策強化などの可能性を持つものだとした上で、次のように続けた。
もし今回の報告書が、こうした恩恵に注目する代わりに、金融安定監視協議会(FSOC)に対して、ステーブルコインの厳しい規制を推奨したり、ステーブルコイン発行企業を、金融システム上で重視するよう促すものであるなら、非常に残念だ。
同議員によると、そうした規制強化は、新興技術の発展に多大な損害を与えるという。また、従来型の決済に比較すると、現在ステーブルコインの決済量はごくわずかであり、金融システムの安定性を脅かしてはいないと論じた。
金融安定監視協議会(FSOC)は、米財務長官を議長とする組織で、ある企業や活動を、金融システムに対するリスクとみなす権限を持っている。そのように認識された対象には、規制当局による厳しいルール施行や積極的な監視が行われることが多い。
ブルームバーグが関係筋の話として9月に報じたところによると、連邦政府機関は、ステーブルコインのリスクについてFSOCによる審査を行うことを検討しているという。