インフレ率(BEI)から見るビットコイン相場、ETFの事実売りにも用心を 仮想通貨・週次市況(bitbank寄稿)

今週(9日〜15日)の仮想通貨相場

ビットコイン市場は今週も大きな価格上昇を見せ、一時6万ドルにも達した。またイーサリアムも40万円台に復帰するなどアルト市場も堅調だった。


目次
  1. 各市場の騰落率
  2. bitbank寄稿

各指標の騰落率一覧

15日の終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。

週間騰落率

月初来騰落率

月間騰落率

年初来騰落率

年間騰落率

(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)

(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)

9日〜15日のBTCチャート

Tradingview

bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

9日〜15日レポート(15日正午時点):

今週のビットコイン(BTC)対円相場は、5ヶ月ぶりの高値圏で揉み合いを演じた末、上値を追う展開となり、15日(金)正午時点で670万円台に乗せている。

週明けのBTCは、シカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物が窓埋めを完了すると反発に転じ、対ドルで節目の5.6万ドルの上抜けに成功。直後には相場が押す場面もあったが、同水準がサポートとなり、対円では650万円周辺まで上値を伸ばした。

一方、12日からは、国際通貨基金(IMF)が、暗号資産(仮想通貨)が金融システムの脅威になる可能性を指摘するレポートを発行、米連邦準備制度理事会(FRB)の複数メンバーが早期金融引き締めを支持、さらにはバイナンスが今年中の中国ユーザー向けサービスの停止を発表するなど、複数の悪材料が出て相場は5.4万ドル割れを試した。

ただ、週央の米時間には、Bloombergのアナリストがビットコイン上場投資信託(ETF)の承認が近いとの見方を示したことや、市場が織り込むインフレ率である米国のブレークイーブンインフレ率(BEI)が先週よりも一段と上昇したことを受け、BTCは反転上昇し660万円にタッチ。対ドルで2月高値の水準となる同エリアでは戻りが入ったが、15日の東京市場で「来週にもビットコイン先物ETFを承認し取引が始まる」とのBloombergの報道が転がり込み、相場は上値追いを演じ670万円台に乗せた。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】出所:bitbank.ccより作成

BTCは対ドル2月高値の上抜けに成功し、ついに過去最高値が射程圏内に見えてきた。インフレ高進懸念を背景に、米金融当局者からは政策の引き締めを求める声が上がり、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でも11月中旬のテーパリング開始が示唆されたが、今週は9月の米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が引き続き高い水準を維持したことが確認され、10年物のブレークイーブンインフレ率(BEI)は先週の2.46%から2.52%まで上昇した(第2図)。

こうしたBEIの動向とビットコイン相場の連動は今週も確認され、やはりインフレヘッジ資産としてビットコインが逃避マネーの受け皿となっている模様だ。

【第2図:米10年物ブレークイーブンインフレ率(左目盛:青)、BTC対円(右目盛:橙)チャート(日次)】出所:bitbank.cc、fred.stlouisfed.orgより作成

ビットコイン界隈が待ちに待ったETF承認の可能性も報じられ、市場のムードは一層改善した印象があるが、「噂で買って事実で売れ」という相場の格言もある。事実、今年のビットコインはこれまで、コインベースのナスダック上場(4月)、エルサルバドルのビットコイン法定通貨採用(9月)といった節目のイベントで事実売り的な相場の動きを見せていることから、来週、本当にビットコイン先物ETFが承認された際は事実売りが入る可能性に十分に注意したい。

目先では、祝賀的な買いも入るかと指摘され、上値余地はまだあると見ているが、「総楽観は売り」という格言もあることから、高いボラティリティーを伴った相場の上昇が起きた場合、急な相場のUターンには用心だ。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

関連:bitbank_markets公式サイト

前回のレポート:チャート上では上昇トレンドへの転換が示唆、ビットコイン最高値700万円も視野に

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