はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

『仮想通貨の問題と可能性』|60ヶ国の中央銀行が加盟する国際決済銀行が報告書を提出

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

出典:lucarista / Shutterstock.com

ブロックチェーンと既存金融システムの関係性
BIS(国際決済銀行)は、仮想通貨を構成するブロックチェーン技術は現時点では、金融システムの代替となるには不十分で、信用低下を招きかねないと懸念を表明。BISの関係者は、これまでも仮想通貨の発行に関して、懐疑的な姿勢を一貫している。
BIS(国際決済銀行)とは
1930年に設立された中央銀行相互の決済をする組織。通貨価値と金融システムの安定を目的として中央銀行の政策と国際協力を支援。2017年(平成29年)6月末時点で、日本を含め60か国・地域の中央銀行が加盟しており、日本銀行は、1994年(平成6年)9月以降、理事会のメンバーとなっている。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

ブロックチェーンは金融システムの代替になり得るか

BIS(国際決済銀行)は、Annual Economic Reprot 2018にて、送金や決済などの金融システムには、経済活動における需要の変化に対応できるようなある程度の柔軟性が必要であり、中央銀行は上記に挙げたような需要の変化に対応できるように、法定通貨の供給を準備しているなど効率よく決済システムを運営していると評価。

一方で、仮想通貨を構成するブロックチェーン技術は既存の金融システムに取って代わるには、まだ不十分であると指摘しております。

6/17(日)に発表されたBISの年度経済報告では、仮想通貨が決済効率を改善できる適所はあるものの、「無許可」状態にあるため、金融システムの基礎となり得ないと報告しました。

また、BISも他の中央銀行が模索しているように、独自の仮想通貨を発行する可能性にも言及しました。

分散型ネットワークのリスク

また、BISは同レポートで、「ブロックチェーンなどの分散型コンセンサス(仮想通貨トランザクションの認証の仕組み)が、既存の金融システムへの信用の低下を招きかねない」とも指摘しております。

もし、金融システムへの信用が低下した場合、決済のファイナリティへの信頼性も揺らぎ、金融システム自体が機能不全に陥り、通貨の価値も失われてしまうといったリスクシナリオについての言及をしております。

金融システムの信用の他にも、莫大なエネルギーの消費量に依存しているだけでなく、トランザクションが増えれば増えるほど、ネットワークの遅延や価格変動の影響を受ける事も同レポートでは問題視されております。

取引手段として使われる通貨を取引需要に応えたり、合わせていく為には供給量を増やしたり、減らしたりする必要があり、それをオペレーティングするような中央機関が必要であり、また中央機関は市場に起こった損失を吸収する為に、市場の取引の機能を持ち合わせていなければならないと説明。

その後、「分散型台帳技術すなわちブロックチェーン上では、仮想通貨の価格を安定させるような中央機関は存在しない為に、過剰なICOトークンの販売や流通、そして不安定な仮想通貨の価格形成が起こっている」と、同レポートで注意を促しました。

分散型台帳が金融システムに代わったとしたら

BISはさらに、「誕生した仮想通貨とその分散型台帳が、中央銀行や商業銀行などの決済システムに代わってすべての決済処理をする事になれば、個人のスマートフォンや、企業のサーバーもこの膨大な処理量に圧倒され、インターネットが止まりかねない」との指摘をしております。

ファイナリティに関する問題

現在クレジットカードや銀行の送金などで使われている主流の決済システムでは、その支払いが一度中央銀行の台帳に記録されれば、そこでファイナリティが発生し、取り消し不可能となります。

BISはこのファイナリティの点について、以下のように論じました。

「仮想通貨は分散型台帳上でマイナーの競争によってネットワークが維持されているが、仮に2人のマイナーが同時にトランザクションを承認し、ブロックを生成すると、2人のうちどちらかのトランザクションが覆されてしまう可能性が発生し、ファイナリティが確率的になる恐れがある。」

またハードフォークに関しても、分散型台帳技術への信用を弱める要因だと指摘。

BISが挙げた上記のような問題点は、プロトコルの更新で解決する事が可能ですが、そもそも分散型台帳技術がスケーラビリティの問題を抱えている事や、その他脆弱性を抱えている事が原因であり、分散型台帳技術の本質的な仕組みの部分での欠点が露呈した格好となっております。

アプリケーションとしての利便性

以上のような理由から、BISは仮想通貨、分散型台帳技術に対して「通貨」としては不適格であると評価しておりますが、クロスボーダーの決済システムとしての応用について、ブロックチェーンの方が大量の台帳を維持するコストよりも利点が勝っており、アプリケーションとしての利用可能性を同レポートで示唆しております。

将来の実用可能性としては、自動執行する仕組みと決済データを許可する仕組みを組み合わせた分散型台帳技術を用いた決済方法が想定され、この場合、貿易金融のような複雑な決済における事務プロセスをより簡素化できる事が、同レポートの中で期待されております、

規制の壁

今回のレポートでは、マネロン対策規制など仮想通貨が直面する規制の壁についても言及されておりました。

モネロやZキャッシュのような匿名通貨は、脱税や違法取引に利用されているかどうか見極める事は非常に困難であり、消費者保護の観点から見ても詐欺まがいのICOは深刻な問題であると改めて指摘されております。

仮想通貨に関する規制は、既存の規制の枠組みに該当しない為、規制当局の対応も各国様々であり、どのように基準を設けるか、規制をどう強化するか各国悩ませている模様です。

特にICOに関する規制は、全く独自の法的枠組みで考えなければならない枠組みでありますが、法律的準拠を定める事が不可能であり、間接的に規制を施すなどで対処しなければならないようです。

また、同レポートでは、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)について、「全く別の問題として考える必要があり、CDBCに現金の機能を持たせるほか、中央銀行の干渉なく銀行や消費者、企業などが使用する構想について」言及されておりました。

CoinPostの関連記事

国際決済銀行:中央銀行のデジタル通貨導入によるマイナス影響を指摘
ヨーロッパ中央銀行(ECB)と国際決済銀行(BIS)の支援されている、2つのワーキンググループにより提出されたレポートによると、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入による影響として、有害性効果がある、と指摘されています。
国際決済銀行の長Carstens氏がビットコインを激しく非難
国際決済銀行の長である「Carstens」氏が、ドイツにあるゲーテ大学の講演で、ビットコインを始めとする仮想通貨を酷評。銀行と密接に連携することで財政の安定を損ねる可能性があるとして、強い懸念を表明しました。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/23 木曜日
16:54
クオンタムソリューションズ、イーサリアム保有量で国内上場企業トップ
東京上場のクオンタムソリューションズが7日間で2365ETHを取得した。アーク・インベスト創業者ウッド氏も支持を表明。
15:32
ポリマーケット、米大手スポーツベッティングと提携 予測市場インフラ提供へ
予測市場大手ポリマーケットが米スポーツベッティング大手ドラフトキングスの清算機関に指定。競合カルシとの競争激化の中、B2C市場に加えB2B事業で新たな収益源を確保。NY証取の親会社から20億ドルの投資も受け事業拡大を加速。
15:17
アーサーヘイズのビットコイン100万ドル予想、高市政権の積極財政は市場の起爆剤になり得るか?
BitMEX創業者アーサー・ヘイズ氏が、高市新政権の物価高対策によりビットコイン価格が100万ドル(約1.5億円)に達すると予測した。同氏は景気刺激策の推進が、日銀の量的緩和(QE)への転換につながると見ている。
15:11
ルミス米上院議員、仮想通貨アプリを後押しするオープンバンキング規則設立求める
米ルミス上院議員がCFPBにオープンバンキング規則の策定を要請した。銀行口座と仮想通貨取引所を接続するAPI活用で迅速な送金を目指す。大手銀行の反対姿勢も指摘した。
14:50
リミックスポイント、株式希薄化を伴わない仮想通貨購入方針を決議
株式会社リミックスポイントは10月23日、2026年6月まで株式発行による暗号資産購入を行わない方針を決議。今後は手元資金等を活用し、既存株主への希薄化を回避する。
11:57
ビットコインは弱含みで推移、米コインベースとロビンフッドにBNB上場へ
ビットコインは10万8000ドル台で弱含みの推移。米大手取引所CoinbaseとRobinhoodが相次いでBNB上場を発表し、規制環境の変化を示す歴史的な動きとして注目を集めている。一方、トランプ関税ショックで巨額利益を上げた大口投資家が再び大規模なショートポジションを構築しており、市場は警戒感を強めている。
11:15
米民主党議員ら、トランプ政権中東特使に仮想通貨開示要求 利益相反を指摘
米民主党議員らがウィトコフ中東特使に保有する仮想通貨などについて情報提供を求めた。トランプ一族のWLFI関連で利益相反の可能性を指摘している。
10:45
ハイパーリキッド・ストラテジーズ、最大約1500億円調達をSECに提出 HYPEトークン購入含む
ナスダック上場のハイパーリキッド・ストラテジーズが最大10億ドル(約1,500億円)の資金調達を目指すS-1をSECに提出した。HYPEトークン購入を含む。7月設立後、早くも大規模増資計画。
10:30
計2600億円超相当のBTC、LuBian関連のウォレットから移動
計2600億円超相当の仮想通貨ビットコインが、マイニングプールLuBianに関連するウォレットから移動。トランザクションは4つに分けられて別々のアドレスに送金されている。
10:16
「ビットコインにとって2025年のゴールド高騰は好材料」Bitwise
Bitwiseは、ゴールドの価格上昇は仮想通貨ビットコインにとって好材料であるとの見方を示した。ゴールドの価格上昇の要因や市況を分析した上で、ビットコインにも同様のことが起きうると予測している。
10/22 水曜日
20:18
ソラナ(SOL)現物ETF、香港で初承認 10月27日取引開始
香港証券監督委員会がアジア初となるソラナ現物ETFを承認。ChinaAMC運用(香港)で10月27日取引開始。ビットコイン、イーサリアムに続く3番目の仮想通貨ETFとして、米国市場に先駆けた上場となる。
16:39
仮想通貨取引、米国で前年比50%増 トランプ効果鮮明に=2025上半期報告
TRMラボの最新報告書によると、トランプ政権下で米国の仮想通貨取引高が50%増の1兆ドル超に。日本は普及ランキング9位に上昇。ステーブルコインは前年比83%増で過去最高を記録。
16:30
注目の仮想通貨AI関連銘柄10選を網羅的に解説【2025年最新】
2024年注目のAI関連仮想通貨を10銘柄、時価総額・価格・年初来高騰率とともに解説。SUI、NEAR、TAOなど、AIとブロックチェーンを融合した主要プロジェクトの特徴について網羅的に紹介。
15:50
金融審議会、暗号資産のインサイダー取引規制と銀行の取扱要件が焦点に
金融審議会が暗号資産のインサイダー取引規制案を提示。DEX・P2P取引も対象に。銀行本体の取扱いは慎重に検討する一方、子会社には門戸を開く方針。無登録業者への罰則も強化へ。
14:30
「量子コンピュータはビットコインの最大リスク」、CoinMetrics共同創設者が警告
CoinMetrics共同創業者ニック・カーター氏が、量子コンピュータがビットコインの暗号セキュリティに及ぼす脅威について警告する論説を発表。ビットコインのセキュリティの仕組みについて解説し、量子技術の進化が現在の状況を変える可能性があると指摘した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧