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米FRB理事「一般人保護の仮想通貨規制が必要」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「幅広い一般ユーザーを守るため」規制が必要

米連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・ウォーラー理事は3日、「暗号資産(仮想通貨)市場のリスク」と題したスピーチを行い、仮想通貨をどのように規制すべきか見解を述べた。経験豊富な投資家よりも、それほど仮想通貨に詳しくない、より幅広い新規投資家を守るために規制が必要であると主張した形だ。

スピーチは、スイスで開催された仮想通貨と金融イノベーションについてのカンファレンスの席で行われたもの。ウォーラー理事は、現在の状況について「この5年間は、仮想通貨市場が驚異的な成長を遂げた時期」だとして言及した。

「プロトコルやプラットフォーム、商品、仲介業者など、あらゆる側面が拡大」し、国民の意識も、政府の関心も高まっていると指摘。また、様々な金融商品やサービスの代替となる分散型金融(DeFi)が発展していることにも触れた。

分散型金融(DeFi)とは

ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。

▶️仮想通貨用語集

ユーザー層の広がりを考慮

ウォーラー理事は、こうした中で、仮想通貨関連の商品や活動の多くは、従来の法的規制構造の隙間に入り込んでしまい、従来の金融セーフティネットなどが適用されないこともあると続けた。また、高いボラティリティ(価格変動)や詐欺・盗難の発生などもリスクとして挙げた。

規制はこうしたリスクからユーザーを保護するものでもあるが、ウォーラー理事は、その上で保護対象として、DeFiも含め仮想通貨の世界に経験豊富な投資家と、より幅広い仮想通貨利用者に分けて考えている。

現在は後者の、仮想通貨の世界にそれほど詳しくない新規ユーザーが増加している状況だという。

ウォーラー理事は、FRBの新たな調査を引用し、調査対象となった米国の成人の12%が過去1年間に仮想通貨を使用または保有しており、そのうちの90%以上が支払いではなく投資目的で保有していたと説明した。

こうしてユーザー層が広がっている状況では「好奇心、仮想通貨により誕生した億万長者の話」などにより、惹きつけられている新規ユーザーもいると指摘する。

例えば秘密鍵の使い方や、DeFiでの取引方法などを知らない新規ユーザーの活動を仲介するのが、取引所やウォレットプロバイダーなどの仲介業者である。しかし仲介事業者が、リスクを完全に排除することはできない以上、顧客の保護に関する、何らかの標準ルールを定めておくことは重要だという。

それに加えてウォーラー理事は、資金をそれほど多く持たない一般投資家の間で損失が広がった際に、その影響が社会に広がることを防ぐためにも、新たな金融商品を規制する必要があるとも論じた。

ウォーラー理事は、ステーブルコインUSTのディペッグにより損失を被った個人投資家の間で、補償を求める運動が起こっていることも、その一例として示している。

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ウォーラー理事は、スピーチを次のように締めくくった。

仮想通貨エコシステムへの幅広いアクセスを望むのであれば、問題はそのエコシステムの経験豊富なユーザーが何を望むかではなく、その他の一般人がエコシステムの安全性を確信するためには何が必要かということが大切だ。

この問題は、必ずしも明確な答えがあるわけではなく、現実的で難しいトレードオフを伴う。しかし、新しい金融商品や急成長している金融商品が長続きするためには、必ず取り組まなければならない問題である。

ウォーラー理事は、主要な市場参加者からは「規制はコストを押し上げ、参入障壁を作り、イノベーションを抑制する」との意見が挙がっていることも認識しつつ、より広い一般ユーザーの保護のため、適切な規制が必要であると唱えた。

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