仮想通貨市況
前週末の米株式市場では、NYダウは前日比292ドル(0.86%)安と反落した。
ドイツの生産者物価指数(PPI)が過去最大の伸びを観測したことに伴い、米債券市場で長期金利の指標となる米10年債利回りが3%に迫る1ヶ月ぶり水準まで上昇したことなどが背景にある。金利上昇局面では、割高感の意識されやすい高PER(株価収益率)のグロース株を中心に売りが先行しやすい。
10日発表のCPI(米消費者物価指数)にてピークアウトを示唆したことで利上げペースの緩和期待も散見されたが、ここへきてFRB(米連邦準備制度)関係者は積極的な利上げ姿勢を強調しており、リセッション(景気後退)懸念が強まっている。
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暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比2.7%高の21,400ドルに。
急落の反動で幾分値を戻した格好だが、金融市場の地合い悪化は顕著にあり、一時的なリバウンドの範疇に留まるとの見方が大勢を占める。
19日の暴落局面では、24時間で仮想通貨5.6億ドル(770億円)のロングポジションが強制清算(ロスカット)された。6月13日の6.8億ドル(930億円)に迫る水準となる。
特に直近高騰していたアルトコインの下落率が高く、前週比-11%のビットコイン(BTC)に対し、イーサリアム(ETH)は前週比-15.4%、エイダ(ADA)は-16.3%、ソラナ(SOL)は-17.1%となった。
デリバティブ(金融派生商品)市場では、The Merge(ザ・マージ)思惑でイーサリアム(ETH)など主要アルトのロングポジションが積み上がっており、これが一掃された格好だ。
米規制当局による暗号資産ミキシングサービス「Tornado Cash(トルネードキャッシュ)」への制裁を発端とするDeFi(分散型金融)市場の混乱も市場心理に影を落としたか。
これまで北朝鮮のハッカーグループなどが関与したと思しき数々の仮想通貨ハッキング事件などで、推定70億ドル超がTornado Cashを用いたマネロン(資金洗浄)で行われてきたとされ、米金融当局は「国家安全保障に対する脅威」として位置付ける。
これを受け、米ドルにペッグされたステーブルコインUSDCを発行する米サークル社は、Tornado Cashに紐づいたデジタルウォレットのブラックリスト化に踏み切り、7万5000ドル相当のUSDCを凍結。中央集権型ステーブルコインに対する過剰規制が強まるとの懸念が広がった。
12日には、DeFiプロジェクトMakerDAOの共同創設者が、ステーブルコイン「ダイ(DAI)」の担保資産からディペッグを防ぐためにUSDC除外を検討する考えを示し、代替担保資産としてイーサリアムを選択する可能性を示唆したが、いずれの選択肢もリスクが高いとして議論を巻き起こした経緯がある。
一方、非営利の仮想通貨政策シンクタンクであるCoin Centreは、「ミキシングサービスなど匿名化プラットフォームを中央集権的に全面規制することは正当化されず、米規制当局の取り締まりは法定権限を超えた越権行為に該当する疑いがある」と批判した。
ハッシュリボン点灯
資産運用会社Capriole Investmentsの創業者でハッシュリボンの開発者であるCharles Edwards(@caprioleio)氏は20日、Hash Ribbons(ハッシュリボン)の買いシグナル点灯を指摘した。
Hash Ribbon buy signal!
— Charles Edwards (@caprioleio) August 20, 2022
The #Bitcoin miner capitulation has officially ended today, making it the 3rd longest capitulation in history at 71 days.
This capitulation zone was longer than 2021, and just two days shorter than 2018's where price touched $3.1K pic.twitter.com/B3mMhKQPls
今回のマイナーの降伏期間は、ビットコインの歴史上で3番目に長い71日間に及び、これは前回の仮想通貨バブル崩壊時の2018年の弱気相場サイクル(72日間)に匹敵する長さに達していた。
ハッシュリボンは、BTCマイナー(採掘業者)のハッシュレート(採掘速度)における「30日移動平均線」と「60日移動平均線」を観測することで、相場のトレンドを予見するための指標の1つ。
マイナーの降伏シグナルを意味するデッドクロスを経てゴールデンクロス転換が確認された場合、採算割れを起こした弱小マイナーたちが淘汰され、効率的なマイナーが台頭するなど世代交代が進んだことを示唆する。
19年11月〜20年11月におけるハッシュリボン点灯時と相場の値動きは次の通りで、比較的信頼性の高い底打ちシグナルと言えるだろう。
中でも20年7月のハッシュリボン点灯時に1BTC=9,280ドルだったビットコイン相場は、その後21年4月に1BTC=64,899ドルまで上昇した。
一方、同シグナルはマクロ環境を考慮したものではなく、相場反転を保証するものではない。過去のデータでは点灯後に最大-45%のドローダウンに至ったケースも存在する。
株や暗号資産(仮想通貨)などのリスク資産動向は現在、FRB(米連邦準備制度)の金融引き締めの影響を色濃くしている。
26日23時頃(日本時間)に開催されるジャクソンホール会議のパウエルFRB議長講演や9月米連邦公開市場委員会(FOMC)における金融政策の見通し発表を前に市場は戦々恐々としており、万が一に備えポジションを縮小する動きが想定されそうだ。
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