今週(8日〜14日)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
8日〜14日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円は底堅い推移。一時は270万円を割り込む場面もあったが、14日正午時点では290万円を回復している。
今週のBTC相場は、連休明けの中国市場で株価が急落したことを受け280万円台で上値を重くすると、米バイデン政権が半導体の対中輸出制限を拡大したことを受けた米ハイテク株の下落に連れ安となり、280万円を割り込む転換で始まった。
その後は、米長期金利の低下や、GoogleとCoinbaseの提携、BNYメロンの暗号資産(仮想通貨)カストディ事業参入の報で持ち直し底堅く推移し、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)で想定外にハト派な意見があったことが明らかとなり、ジリ高基調が続いた。
ところが、週後半に差し掛かると、米消費者物価指数(CPI)の発表を控え警戒ムードが広がり、相場は失速。結果は市場予想をわずかに上回り、270万円を一時割り込んだ。
一方、CPI発表後に安寄りした米株がにわかに急反転を演じ上値を伸ばす展開となると、BTCも連れ高となり280万円を回復。14日東京時間には290万円をも回復している。
先月のCPI発表前は、インフレ鈍化期待からリスクオンムードが広がり、米株とBTC相場は上昇したが、今月は警戒感からCPI上振れに対する織り込みがある程度あったことや、インフレ頭打ちが意識されたこともあり、米株には押し目買いが入りショートカバーを誘発した。BTCは対ドルで年初来安値を目指す勢いで下落したが、これにより窮地を脱した格好だ。
また、9月のCPIは米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げを正当化する結果となったが、それでもリスクオンになったことに鑑みるに、長期的な高金利環境の継続に対する市場の折り込みは相応に進んだと言える。
勿論、本格的なトレンド転換はFRBによる利上げサイクルの折り返し地点、すなわち利上げペース減速のサインが明確になることが最低条件と言え、今後もBTC相場は方向感に欠ける展開が見込まれるが、目先ではCPIを控えたリスク回避姿勢の巻き戻しから底堅い推移となろう。
また、テクニカルの側面でもBTC相場は史上最高値と3月高値を基点とする長期加工トレンドラインの上抜けに成功しており、ダウ理論の下降トレンドから脱したと言える(第2図)。13日の相場下落時には、綺麗に同トレンドラインのサポートを確認しに行った格好となっており、ブレイクアウトからの値固めも順調と言えよう(第3図)。
FOMC議事要旨とCPIといった重要指標を無事に通過したBTC相場だが、来週は週央から米住宅市場関連指標と地区連銀景況報告(ベージュブック)の発表を控えている。来月2日には次回のFOMC会合を控えており、物価や労働市場について定性的な情報を広く得られるベージュブックには注目したい。
関連:bitbank_markets公式サイト
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