シリーズB+投資ラウンドの延長
国内暗号資産(仮想通貨)取引所ディーカレットの親会社Amber Groupが1億ドル(147億円)規模の資金調達を実施している最中であることがわかった。関係筋の情報としてブルームバーグが報じた。
企業の評価査定額は22年2月に完了したシリーズB+の資金調達ラウンドと同額の30億ドル(4,400億円)。同社は調達資金は「欧州や北米での人員強化」や「モバイルアプリの提供地域拡大」に活用すると説明していた。
2022年に本拠地を香港からシンガポールに移動したばかりの同社投資ラウンドには、シンガポールの政府系ファンドTemasekやFTXなどの業界大手も出資していた。
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追加出資する要因とは
匿名の関係筋によれば、今回の資金調達ラウンドは22年2月に実施した「シリーズB+の延長」。
Q2(4月〜6月)にも再度資金調達を試みたが、100億ドルの評価額でさらなる出資を募った際には、相場の低迷が影響して「フラットラウンド」の実施を余儀なくされた。フラットラウンドは前回の資金調達ラウンドと同額の査定額で資金調達を実施する投資ラウンドを指す。
追加の出資ラウンドは段階的に行う予定で、すでに半額程度の1億ドル(147億円)を募っていると説明。年内か2023年初頭をメドに、追加で1〜2つのラウンドを行う計画だという。
投資ラウンドを分割した格好での資金調達については、「相場の地合いを踏まえて、投資家の大きな投資ラウンドに対する警戒を考慮した措置」だと説明した。
また、22年2月には、子会社のWhaleFin Holdings Japanを通じて国内仮想通貨取引所ディーカレットでの買収を発表していた。ただ、積極的な取り組みの代償として、不況に生じやすい人件費の高騰が発生。
一時的には従業員数が900人に達していたため、45人から90人の人員削減(レイオフ)を実施しており、11月末にはさらなる解雇が敢行される予定だ。
Amber Groupとは
Amber Groupは2017年に設立された仮想通貨サービス企業。機関投資家のみならず、個人投資家向けなどにも幅広い投資サービスを提供している。
これまでParadigmやDragonfly、Pantera、Polychain、Sequoia、Tiger Globalなどの業界の著名VCから出資を受けてきた。2022年には国内暗号資産交換業者ディーカレットを買収したばかりだ。