有価証券問題で新たな裁判事例
米ニューハンプシャー州の連邦地方裁判所は7日、「LBRY社が、暗号資産(仮想通貨)ライブラリークレジット(LBC)の販売で証券法に違反した」という米証券取引委員会(SEC)の主張を認めた。
被告側の「LBCトークンはデジタル通貨である」という主張は認められず、証券法の対象になると判断。今後は、正式な事実審理を開始する前に、現状確認会議(Status Conference)が行われる予定だ。SECは最終的にトークンの販売停止、罰金と判決前利息の支払い、不正に所得した利益の返金を求めている。
LBCトークンは、デジタルコンテンツ向けの電子市場のネットワーク「LBRY」で使用される仮想通貨。このネットワークを提供しているのがLBRY社である。
SECが問題視しているのは、2016年7月から2021年2月までの間にLBRY社が行った販売。様々な投資家にLBCトークンを販売しており、この中に米投資家が含まれると指摘し、2021年3月に提訴していた。
この販売が有価証券の売買にあたり、事前にLBCトークンの登録をSECに行っていなかったことを裁判所に提訴。LBRY社はLBCトークンの販売で約17億円(1,220万ドル)の利益を、米ドルと仮想通貨で得たとSECは主張している。
公式ウェブサイトによるとLBCトークンは、BittrexやCoinExといった中央集権型取引所のほか、DEX(分散型取引所)にも上場。取引所での購入以外にも、他のユーザーを紹介したり、様々なタスクを行なったり、開発者としてプロジェクトに貢献したりすることでLBCトークンを入手することが可能だ。他にも、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)のマイニングでも報酬として得ることができると説明している。
DEXとは
「Decentralized EXchange」の略で、ブロックチェーン上に構築される非中央集権型取引所のこと。中央管理者を介さずに当事者間で直接取引を行うことが大きな特徴である。
▶️仮想通貨用語集
LBRY社のコメント
なお、LBRY社はこれからも反論していく姿勢を見せている。同社は、LBCトークンはデジタル通貨であるという主張に加え、SECの登録に必要である公正な通知を受け取っていなかったとも訴えていた。
今回はこのような主張が認められなかったことになるが、LBRY社は公式ツイッターアカウントで以下のようにコメントしている。
みなさんに謝りたい。今回我々は負けてしまった。しかし、LBRYは、すばらしいチームや多くのコンテンツとクリエイターを抱えており、世界で最も人気のあるアプリの1つだ。我々は諦めない。
今回の危険な前例で、イーサリアム(ETH)など多くの仮想通貨が米国で有価証券にされてしまう可能性がある。
We're going to lick our wounds for a little bit but we're not giving up.
— LBRY 🚀 (@LBRYcom) November 7, 2022
We've got a bright team, tens of millions of pieces of content, hundreds of thousands of creators, and one of the most popular web3 apps in the world.
The best is yet to come 🚀
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