融資非開示で、CEOが退任
米暗号資産(仮想通貨)メディアThe BlockのCEOを務めていたマイク・マカフリー氏は10日に辞任した。FTXの関連会社アラメダリサーチから数十億円規模の融資を受けていたが、それを公表していなかったことの責任を取った形だ。
The Blockは、社内でこの融資について知っていたのはマカフリー氏だけだったと説明している。後任としては、最高収益責任者(CRO)であったボビー・モラン氏がCEOに就任した。モラン氏は、次のように述べている。
この金銭的な取り決めについては、マイク・マカフリー以外の誰も知らなかった。私たち自身の日々の業務経験から、マイクが特にサム・バンクマン=フリード(SBF)氏、FTX、アラメダリサーチの報道に不適切な影響を与えようとした形跡はないと考えている。
融資の詳細
融資は3回に渡って行われていた。最初の融資は1,200万ドルで、2021年にThe Blockを再編成する際に、他の仮想通貨ニュースやリサーチプロバイダーを買収するために使われた。
さらに、2022年1月には2回目の融資1,500万ドルを受け取っており、日常業務の運転資金として使用された。これら合計約37億円(2,700万ドル)は、マカフリー氏が所有・管理する合同会社への融資という形で受け取っていたという。
また、2022年初めには別途約22億円(1,600万ドル)の融資が行われており、これはバハマで個人の不動産を購入するために使用されていた。
今後の経営
マカフリー氏は、CEO退任に加えて、同社の取締役会からも退く。なお、マカフリー氏は引き続きThe Blockの大株主ではあり続けることになるという。
The Blockは、「SBF氏からの融資を開示しないという前CEOの決断は、深刻な判断力の欠如を示す」「The Blockの評判や信頼性を損なう」として退任を求めた形だ。今後、マカフリー氏が経営や運営上の責任を負うことは一切ないとしている。
新CEOのボビー・モラン氏は、今後も客観的な報道を提供していくとして、次のように述べた。
このニュースが発表されることで、私たちの仕事は厳しく検証されることになるだろう。客観的な分析を一貫して提供することで、当社の仕事がこれまでも、そしてこれからも公正で、独立した、正確なものであることが示されると確信している。
多くの企業に出資
FTXは11月、米国でチャプターイレブンにより破産申請を行った。FTXグループはこれまでベンチャー始め、数多くの企業に出資しており、6日には、7,400億円規模の投資先リストが公開されている。
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FTXについては、これまでに様々な問題点が指摘されている。顧客資産の流用や、不適切な帳簿管理のほか、子会社を通じた不動産投資がFTX幹部のバハマにおける別荘購入に充てられていたことも判明している。
また、FTXが政治家へ寄付金を行っていたことで、規制当局がFTXを調査する動きに遅れが生じたのではないかとの見方も一部でされているところだ。
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米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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