CoinPostで今最も読まれています

破綻したFTXグループ、7400億円規模の投資先リストが公開される=報道

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FTXの投資ポートフォリオ

フィナンシャルタイムズは6日、破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTX.comとその関連会社の投資先リスト(ポートフォリオ)を公開した。情報の正確性など不明瞭な点もあるものの、過去の出資先の整合性などから一定の信頼性は認められる。

関係筋の情報として公開されたリストには、474件もの投資案件が並ぶ。アラメダリサーチやFTX Venturesを含む10社の関連会社から行ってきたFTXの「非流動的(流動性の不十分な)投資先」を含む出資額の合計は、約7,400億円(54億ドル)に上る。

なお、投資契約が明確ではない約1億ドルの約12の投資案件は、フィナンシャルタイムズによってリストから除外されている。同社はまた、「データの正確性や完全性を保証するものではない」ことを注記している。

FTXのポートフォリオで特に多くの割合を占めたカテゴリーはベンチャー投資だ。中でもビットコイン(BTC)の採掘会社Genesis Digitalへの株式投資は合計11.5億ドルに上る。次いで人工知能(AI)のリサーチ企業 Anthropicに5億ドルを、破産申請中の投資プラットフォームVoyager Digitalに1億5,000万ドルを出資してきた。

Genesisは厳しいマイニング市況にもかかわらず、「利益を上げ、無借金で、当社の拡張計画を継続」しており、「FTX破綻の影響を直接受けていない」とフィナンシャルタイムズに語っている。

また、FTXグループは約40のファンドに10億ドル以上の資金を投資してきた。米国の大手VC Sequoia Capitalに計2億ドルを出資したほか、米大手ヘッジファンドSkyBridge Capitalに1億4500万ドルを投じた。

著名なエージェント・投資家Michael Kives 氏が運営が率いるK5Globalには3億ドルを出資したが、これらの多くは宇宙開発のSpaceXやトンネル掘削会社Boring.などのイーロンマスク氏のベンチャービジネスに投資されている。

関連:FTXベンチャーズ、米VC大手SkyBridgeの株式30%を取得へ

フィンテック分野への投資も顕著だ。デジタルバンキングDaveの転換社債に1億ドル、およびPIPE(私募増資)に1,500万ドルを割り当てた。

FTX USは、米国法証券取引所を運営するIEXグループの戦略投資に2億7000万ドルを拠出。その他、Chipper Cashに3,500万ドル、Stocktwitsに1,800万ドル、DriveWealthに1,800万ドルと、出資額で上位に位置する。

関連:米国版FTX、SEC認可の証券取引所運営企業IEXと提携へ

仮想通貨分野への投資

FTXグループによる仮想通貨関連企業への出資で顕著なものは、Bored Ape Yacht Club(BAYC)などのNFT(非代替性トークン)コレクションを手掛けるYuga Labsへの株式投資。FTX Venturesを通して5,000万ドルを投資した。

仮想通貨プロジェクトの独自トークンへの投資について、FTXグループのポートフォリオ上位にあるのは、レイヤー1のブロックチェーンのニア(NEAR)の8,000万ドル、及び、アプトス(APT)の7,500万ドル。レイヤー2のPolygon(MATIC)にも5,000万ドルを投資した。

一方、HOLE Tokensという無名プロジェクトに6,750万ドルを出資しているが、プロジェクトが存在しているかどうかさえ怪しい投資案件と見られている。その他の主要なトークン投資は以下の通りだ。

  • MINA(L1ブロックチェーン) – 2,000万ドル
  • FUEL(L2) – 1,500万ドル
  • 1INCH(分散型取引所) – 1,000万ドル
  • SECRET(匿名ネットワーク)- 1,000万ドル
  • EULER(分散型金融) – 560万ドル)

以前、L1ブロックチェーンのソラナ(SOL)をサポートするソラナ財団は、過去3回に渡ってFTXグループに約6,000万SOLを販売してきたことを公表していた。しかし、フィナンシャルタイムズの公開資料におけるソラナに関する投資情報は、「Solana Restricted Token Purchase」に対する165万ドルだけとなっている。

関連:ソラナ財団、破綻したFTXへの仮想通貨SOLの販売量を公開

FTX破綻の投資先への影響

このポートフォリオは、FTXが11月11日に米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づいた破産申請を行う前に作成されたものと伝えられている。

FTX創業者で前CEOのサム・バンクマン・フリード氏(SBF)は、破産前に資金調達に奔走しており、「11月7日頃の時点では、マーク・トゥ・マーケット(M2M)でアラメダの保有資産は負債を上回っていた」と強調してきた。

関連:仮想通貨市場に激震、アラメダショックとFTX騒動の動向まとめ

約500件に渡る投資先から一体どれだけの資産を回収できるかによって、130社に及ぶFTXグループ全体の負債総額に影響を及ぼすと見られている。

FTXのバンクマン=フリード氏の後任としてCEOに就任したジョン・J・レイIII氏は、米エネルギー企業エンロンなどの破産を監督した経験を持つ人物。海外メディアEl Paisによれば、同氏の手法はあらゆる種類の人物や機関から債務者が出資した“貴重な資産”を回収・売却することで、債権者に一部資金を返済できるようにすることで知られる。

破産申請書類では、FTXの負債は100億ドル(約1.3兆円)~500億ドル(約6.9兆円)に上るが、流動性の低い資産を含む資産も100億ドル〜500億ドルあると申告されている。

関連:FTX、破産法適用を申請 対象はFTX Japan含む130社超

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/27 土曜日
21:00
OKCoinJapan 5月にオプティミズム(OP)取扱い開始へ
OKCoinJapanが暗号資産(仮想通貨)オプティミズム(OP)の取扱いを開始へ。イーサリアムのレイヤー2ソリューションとして、その技術はCoinbaseが支援するBaseやバイナンスのopBNBの基盤に使用されている。OPのユースケースや今後の展望も言及。
17:20
機関投資家のDeFiリスク管理を強化、Fireblocksの新セキュリティ機能
FireblocksがDeFi製品にdApp ProtectionとTransaction Simulationを追加。リアルタイム脅威検知と安全なトランザクション実現で、機関投資家のオンチェーン活動をサポート。
13:00
BAYCで知られるYuga Labs、事業再編でチームメンバー削減 
Yuga Labsは、事業再編の一環としてチームメンバーの一部を削減した。「より小規模で機敏でクリプト・ネイティブなチーム」にする意向だ。
10:30
米国で仮想通貨発行の推奨事項5ヶ条、a16z明かす
大手ベンチャーキャピタルa16zは、米国で仮想通貨トークンを発行する際の推奨事項を挙げた。特に証券性など米SECをめぐる対処を中心としている。
09:30
ビットコインRunesデビュー1週間、200億円以上の手数料生み出す
手数料については、ミーム仮想通貨取引への高い需要が原因で、4月初めの5ドルから平均40ドルまで高騰している。ビットコインのマイニング報酬が半減し、収益が大幅に減少する見通しとなっていた採掘業者にとっては朗報だ。
08:00
半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
07:30
円安で1ドル158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
05:55
パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。
09:40
フランクリン・テンプルトンの600億円規模「BENJI」トークン、P2P送信可能に
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは、米国政府マネーのトークン化ファンドFOBXXで資産のピアツーピア送信を可能にしたと発表した。
08:30
強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア