FTXの投資ポートフォリオ
フィナンシャルタイムズは6日、破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTX.comとその関連会社の投資先リスト(ポートフォリオ)を公開した。情報の正確性など不明瞭な点もあるものの、過去の出資先の整合性などから一定の信頼性は認められる。
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— Autism Capital 🧩 (@AutismCapital) December 6, 2022
関係筋の情報として公開されたリストには、474件もの投資案件が並ぶ。アラメダリサーチやFTX Venturesを含む10社の関連会社から行ってきたFTXの「非流動的(流動性の不十分な)投資先」を含む出資額の合計は、約7,400億円(54億ドル)に上る。
なお、投資契約が明確ではない約1億ドルの約12の投資案件は、フィナンシャルタイムズによってリストから除外されている。同社はまた、「データの正確性や完全性を保証するものではない」ことを注記している。
FTXのポートフォリオで特に多くの割合を占めたカテゴリーはベンチャー投資だ。中でもビットコイン(BTC)の採掘会社Genesis Digitalへの株式投資は合計11.5億ドルに上る。次いで人工知能(AI)のリサーチ企業 Anthropicに5億ドルを、破産申請中の投資プラットフォームVoyager Digitalに1億5,000万ドルを出資してきた。
Genesisは厳しいマイニング市況にもかかわらず、「利益を上げ、無借金で、当社の拡張計画を継続」しており、「FTX破綻の影響を直接受けていない」とフィナンシャルタイムズに語っている。
また、FTXグループは約40のファンドに10億ドル以上の資金を投資してきた。米国の大手VC Sequoia Capitalに計2億ドルを出資したほか、米大手ヘッジファンドSkyBridge Capitalに1億4500万ドルを投じた。
著名なエージェント・投資家Michael Kives 氏が運営が率いるK5Globalには3億ドルを出資したが、これらの多くは宇宙開発のSpaceXやトンネル掘削会社Boring.などのイーロンマスク氏のベンチャービジネスに投資されている。
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フィンテック分野への投資も顕著だ。デジタルバンキングDaveの転換社債に1億ドル、およびPIPE(私募増資)に1,500万ドルを割り当てた。
FTX USは、米国法証券取引所を運営するIEXグループの戦略投資に2億7000万ドルを拠出。その他、Chipper Cashに3,500万ドル、Stocktwitsに1,800万ドル、DriveWealthに1,800万ドルと、出資額で上位に位置する。
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仮想通貨分野への投資
FTXグループによる仮想通貨関連企業への出資で顕著なものは、Bored Ape Yacht Club(BAYC)などのNFT(非代替性トークン)コレクションを手掛けるYuga Labsへの株式投資。FTX Venturesを通して5,000万ドルを投資した。
仮想通貨プロジェクトの独自トークンへの投資について、FTXグループのポートフォリオ上位にあるのは、レイヤー1のブロックチェーンのニア(NEAR)の8,000万ドル、及び、アプトス(APT)の7,500万ドル。レイヤー2のPolygon(MATIC)にも5,000万ドルを投資した。
一方、HOLE Tokensという無名プロジェクトに6,750万ドルを出資しているが、プロジェクトが存在しているかどうかさえ怪しい投資案件と見られている。その他の主要なトークン投資は以下の通りだ。
- MINA(L1ブロックチェーン) – 2,000万ドル
- FUEL(L2) – 1,500万ドル
- 1INCH(分散型取引所) – 1,000万ドル
- SECRET(匿名ネットワーク)- 1,000万ドル
- EULER(分散型金融) – 560万ドル)
以前、L1ブロックチェーンのソラナ(SOL)をサポートするソラナ財団は、過去3回に渡ってFTXグループに約6,000万SOLを販売してきたことを公表していた。しかし、フィナンシャルタイムズの公開資料におけるソラナに関する投資情報は、「Solana Restricted Token Purchase」に対する165万ドルだけとなっている。
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FTX破綻の投資先への影響
このポートフォリオは、FTXが11月11日に米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づいた破産申請を行う前に作成されたものと伝えられている。
FTX創業者で前CEOのサム・バンクマン・フリード氏(SBF)は、破産前に資金調達に奔走しており、「11月7日頃の時点では、マーク・トゥ・マーケット(M2M)でアラメダの保有資産は負債を上回っていた」と強調してきた。
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約500件に渡る投資先から一体どれだけの資産を回収できるかによって、130社に及ぶFTXグループ全体の負債総額に影響を及ぼすと見られている。
FTXのバンクマン=フリード氏の後任としてCEOに就任したジョン・J・レイIII氏は、米エネルギー企業エンロンなどの破産を監督した経験を持つ人物。海外メディアEl Paisによれば、同氏の手法はあらゆる種類の人物や機関から債務者が出資した“貴重な資産”を回収・売却することで、債権者に一部資金を返済できるようにすることで知られる。
破産申請書類では、FTXの負債は100億ドル(約1.3兆円)~500億ドル(約6.9兆円)に上るが、流動性の低い資産を含む資産も100億ドル〜500億ドルあると申告されている。
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