電子マネー発行の実証実験
ウクライナの老舗商業銀行TASCOMBANKは12日、暗号資産(仮想通貨)ステラ(XLM)のネットワーク上で電子マネーを発行する試験についてレポートを発表した。ブロックチェーンを利用することの様々な利点を見出しているという。
TASCOMは、同国デジタル変革省の支援を受けて、2021年から「発行者による資産管理機能を備えた、オープン・ブロックチェーン上での電子マネーの発行」を検証するために実証実験を行ってきたが、その結果を報告するものだ。
TASCOMのSergii Kholod副会長は、「実証実験の一環として、ウクライナの市民や組織、その従業員や顧客、政府機関などのための、次世代決済手段となりうる電子マネーについて、その発行や管理方法を検討した」と述べている。
今後は、「規制要件を満たすことを考慮に入れながら、ブロックチェーン上の資産を使用した金融サービスを提供していくことが可能だ」とも続けた。
実験では、ピアツーピア(P2P)取引や商業的な決済、支払いなどに焦点が当てられた。レポートは、ウクライナ国立銀行やデジタル変革省にも情報を共有する目的がある。
ウクライナのOleksandr Bornyakovデジタル変革担当副大臣は、ブロックチェーンの利点について次のように説明した。
試験運用の結果、ブロックチェーンの主な利点が証明された。特に、取引における高速処理と費用効率性の高さ、システムの透明性、金融サービスへのアクセス方法がシンプルになることなどが挙げられる。
デジタル変革省とTASCOMBANKは、ブロックチェーンを土台とした決済手段を市場にさらに導入していくためのアプローチを検討しているところだ。
ステラ開発財団のDenelle Dixon CEOは、次のようにコメントした。
ステラは資産発行のために設計されている。今回のテストにおける調査結果は、企業や政府、市民にとって、この技術が利便性を提供するポテンシャルを示すものだ。
今回の実証実験は、ステラ上に構築されたソリューションが現実世界で役立つものであることを証明するもので、ウクライナが仮想通貨の採用を進めていくための土台となるとも考えている。
ウクライナのデジタル変革省は2021年1月に、ステラ(XLM)の開発を行うステラ開発財団(SDF)と覚書を締結していた。SDFがウクライナ政府に、デジタル通貨開発に関する助言を行い、国内の通貨や資産のデジタル化を推進するという内容だ。
今回の実証実験も、こうした提携関係の下で行われたものとみられる。
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CBDCの構想案
仮想通貨に積極的なウクライナは昨年11月、中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての構想案も発表している。法定通貨フリヴニャのデジタル版は、現金と非現金形態のフリヴニャを補完し、貨幣のあらゆる機能を効率的にすることを目的とするものだと説明していた。
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CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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