はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

イラン中銀発行、政府発行デジタル通貨の詳細が明らかに|米経済制裁措置迂回か

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

イラン政府発行デジタル通貨
米トランプ政権による、イランへの経済制裁が再開した中、イラン政府主導によるデジタル通貨発行は、さらに実現へ向けて着実に前進しており、その詳細がついに明らかにされました。

5月の米国の一方的なイラン核合意からの離脱に伴い、8月7日、米トランプ政権による、イランへの経済制裁が再開しました。 

イランの法定通貨であるリアルは、当局により、4月に対ドル統一レート(1ドル=4万2000リアル)が定められたものの、実勢価格は、7月末には1ドル=11万2000リアルと最安値を更新しています。

さらに、6月、自動車などを含む1339品目については輸入禁止、また必需品以外の輸入関税の引き上げなどにより、物価が高騰し、市民の生活を直撃しているようです。

そんな中、以前から報道されていた、イラン政府主導によるデジタル通貨発行は、さらに実現へ向けて着実に前進しており、8月25日、その詳細が明らかにされました。

経済制裁の中、政府主導のデジタル通貨発行

イランの経済関連情報メディアである、IBENAの報道によると、政府発行の仮想通貨は、次のような特性を持つとされています。

1. 法定通貨リアルに裏付けされている

2.イラン中央銀行傘下のInformatics Services Corporationsにより、Hyper-Ledger Fabric (注1) 技術を用いて開発されている

3. イラン中央銀行が発行し、発行量は中央銀行の裁量により決定される

4. プライベートブロックチェーンのインフラを利用して開発されており、マイニングはできない。

5.試験運用され、審議されたのち、イランの銀行と仮想通貨業界で活動している企業が利用できるエコシステムとしてインフラとなる予定。

(注1)オープンソース化されたブロックチェーンプラットフォーム:IBMが開発

Informatics Services Corporationsは、この仮想通貨、「デジタルリアル」を、第一段階では、トークンとして銀行間の決済に使用、第二段階で、国内の小売向けの決済手段とする計画であると発表しています。

イランの経済紙Financial Tribuneによると、このデジタル通貨は、ロウハニ大統領からの指示により開発されたものであり、国際送金の手段としての機能を持たせることが念頭にあったということです。

今回のアメリカのイランに対する制裁措置は、「二次的制裁」の形をとっており、先に発動した第一次制裁に加え、11月に発動する第二次制裁の中には、「外国金融機関によるイラン中央銀行およびその他の特定イラン金融機関との取引」が含まれるため、イラン政府としては、アメリカからの経済包囲網を迂回するための措置として、政府主導のデジタル通貨の開発に注力してきた背景がある模様です。

しかし、足元のイランの一般市民の間では、すでに価値保存の手段としての役割が確立しつつあるビットコインやイーサリウムなどの主要仮想通貨が、生活防衛のために積極的に利用されているようです。

イラン中央銀行が、仮想通貨が資金洗浄や不正送金に悪用される恐れがあるとして、4月に国内でのビットコインをはじめとする仮想通貨を利用した取引を全面的に禁止したにも関わらず、Forbesによると、5月には25億ドル(2750億円)もの資金が仮想通貨を使って国外へ送金されたと報道されています。

そのような現状を受けてか、中央銀行も仮想通貨に対する姿勢を軟化する可能性も浮上しています。 

イランの規制当局、最高サイバースペース会議(SCC)の副長官である、Saeed Mahdiyoun氏は、

9月末までに、イラン中央銀行が、ビットコインやイーサリウムの様な主要仮想通貨に対する正式な規制方針を明らかにする

と述べています。

アメリカの経済制裁への対抗措置として誕生した国家主導の仮想通貨には、ベネズエラ政府発行のPetroの前例があります。 しかし、極度のハイパーインフレが進む同国では、政府発行の仮想通貨よりも、既存の主要仮想通貨が支持される傾向にあり、直近では、匿名通貨として知られるDashの使用が広まりを見せ、世界第2位の取引市場となったと報道されています。

イラン政府発行のデジタル通貨は、現実的に、アメリカの経済制裁に対抗する武器となり得るのか、その答えは、政府の思惑とは別のところ、つまり、イラン国民が、その通貨を受け入れ、利用して行くのかどうかが、本当の鍵を握っているように思われます。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/02 水曜日
11:45
パクソス、ステーブルコインUSDGを欧州全域でローンチ サークルとの競争激化
パクソスが米ドル建てステーブルコインUSDGをEU全域で発行開始した。MiCA規制に準拠している。合計30か国に展開しており、ステーブルコイン時価総額ランキングでは15位だ。
11:10
ナスダック上場DeFi Development Corp、1億ドル転換社債発行 ソラナ蓄積戦略を拡大
米初のソラナ準備金戦略企業DeFi Development Corpが1億ドル転換社債の私募発行を発表。調達資金でSOL購入継続、バリデータ運営による複利成長を目指す。
10:50
上場企業のビットコイン購入がETF上回る、2025年上半期24万超BTC取得で4倍以上増
2025年上半期に世界の上場企業が仮想通貨ビットコインを24万5510BTC購入しETF保有数の2倍超。前年同期比約5倍増でマイクロストラテジー戦略が拡散、企業準備金としての位置づけが確立された。
10:30
米SEC、仮想通貨ETFの上場基準を策定か 審査迅速化に期待
米証券取引委員会が、ビットコインなど仮想通貨ETF向けの汎用上場基準策定を検討していると伝えられる。19b-4様式省略により審査迅速化が期待される。
10:20
ETH1万ドル到達は『義務』と表明、イーサリアムに新組織誕生
仮想通貨イーサリアムに、イーサリアムコミュニティ財団という新たな組織が誕生。公式サイトで、イーサリアムの価格に特化した組織であると説明している。
07:55
NYSE上場DDCが760億円調達完了、ビットコイン準備金戦略を本格始動
アジア食品ブランド運営のDDC EnterpriseがNYSE上場企業として最大規模の仮想通貨専用資金調達を実施。Anson Fundsらから総額5億2800万ドルでビットコイン準備金構築へ。
07:25
XRP戦略推進へ、ナスダック上場のWebusが1億ドル調達合意
ナスダック上場のWebusがリップル・ストラテジー・ホールディングスと1億ドルの資金調達契約を締結。仮想通貨XRPを活用した事業戦略推進により株価が日中130%上昇も最終的には8%反落。
07:15
「ビットコインが25年に20万ドルへ到達するとの予測は維持」Bitwise
仮想通貨運用企業Bitwiseは、2025年の10の予測に対する中間評価を公開。ビットコインが20万ドルに到達するとの予測は維持することなどを記載した。
06:50
ストラテジーのビットコイン循環戦略、NAV超プレミアムを正当化か=TD Cowen分析
ストラテジーの株価は純資産価値(NAV)を大きく上回って推移。継続的な株式発行が1株あたりのBTC保有を押し上げる構造が、投資家の注目を集めている。アナリストはその持続性とリスクに着目している。
06:12
ビットコイン利確が加速 第3四半期は過去最弱の季節性=アナリスト分析
仮想通貨ビットコインの利確が進む一方、市場は方向感に欠ける展開。第3四半期は過去最弱の季節性もあり、アナリストは地政学リスクや米金融政策の不透明感に警戒を示している。
05:50
トランプ大統領の「大きく美しい法案」上院可決も、仮想通貨少額免税案は見送り
トランプ政権が推進する大型予算法案に、仮想通貨の少額免税や報酬課税見直しの修正案は含まれず。ルミス上院議員は今後の再提出を示唆し、業界団体もロビー活動を継続する構え。
05:37
米SEC、ビットコインやXRPに投資するグレースケールの仮想通貨ファンドETF化を承認
米証券取引委員会(SEC)は、グレースケールのバスケット型ファンドのETF転換を加速承認。構成資産の約8割をビットコインが占めており、今後の仮想通貨ETF全体に追い風となる可能性も。
07/01 火曜日
16:00
UXLINKが実現目指すWeb3の大衆化、CEOが語る成長戦略|WebXスポンサーインタビュー
5500万人のユーザーを擁するWeb3成長支援プラットフォーム「UXLINK」。WebX 2025への参加を控え、同社CEOが日本市場への期待を述べた。
14:49
日本初の仮想通貨建てクレジットカード「Slash Card」が登場 β版の事前登録開始へ
日本初の暗号資産建てクレジットカード「Slash Card」がβ版の事前登録を開始する。米ドル連動型ステーブルコインUSDC担保サービスで物理・バーチャル両対応。ソラナやイーサリアムなどマルチチェーン互換性とトークン還元リワードを特徴とし、Web3技術を現実世界の決済に橋渡しする。
13:30
ビットコイン需要減少で市場脆弱性指摘、イーサリアム大口投資家は巨額含み損で売却継続=アナリスト
Cryptoquant分析によると、ビットコインのオンチェーン需要指標がマイナス転換し短期調整リスクが高まる。一方でETH大口投資家は3週間で9万5313ETHを償還、4260万ドルの含み損を抱える状況。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧