ブロックチェーン協会の批判に反論
米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は12日、ブローカーディーラーなどの規則に関する会議後のメディア対応中に、暗号資産(仮想通貨)についても話した。
ブロックチェーン協会が、ゲンスラー氏が仮想通貨業界について「公正な評価」を行っていないと批判したことに関して、ゲンスラー氏は「法律は明確だ」として、次のように述べた。
私はSECにおける同僚の委員たちとともに、議会が可決し、法廷がその解釈を行った法律を執行することを誓う。
結局のところ、一般の投資家を保護し、個々のトークンと、様々なプラットフォームをめぐる事実や状況を精査することが重要だ。
あくまでゲンスラー氏らは法律を遵守しているとして批判をかわそうとした格好だ。「議会が可決し、法廷が解釈した」というくだりは、証券法や、ハウイーテストによる証券性の解釈を念頭に置いていると考えられる。
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ハウイーテストとは
米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。SECのW. J. Howey社に対する訴訟事件に由来する。これ自体には法的拘束力はないが、SECはこのテストをもとに複数のICO(トークン販売)に対してリーガルアクションを起こした経緯がある。
▶️仮想通貨用語集
ゲンスラー氏は、仮想通貨業界に対する懸念を改めて表明した。
仮想通貨取引所は様々なサービスを提供しているが、それらにより利益相反が起こる可能性があるとの認識を強調した形だ。コインベースに対する訴訟の理論的根拠の一つでもあるとしている。ゲンスラー氏は、次のようにコメントした。
仮想通貨取引所は、顧客の利益に反する取引を行うことが可能である。つまり、ニューヨーク証券取引所やナスダックでは行われないような、マーケットメイキングを行っている可能性があるということだ。
ゲンスラー氏は、仮想通貨プラットフォームは市場操作の一形態であるウォッシュトレードについても「リスク監視が充分ではない」と述べている。
「ゲンスラー委員長は身を引くべき」との批判
米国の仮想通貨業界団体ブロックチェーン協会は6月29日、SECのゲンスラー委員長を批判する文書を発表していた。ゲンスラー氏は、仮想通貨が証券であるという理論を前提とした強制措置に関するいかなる決定からも身を引かなければならないと論じるものだ。
ブロックチェーン協会のジェイク・チェルビンスキー最高政策責任者は、次のように述べている。
ゲンスラー委員長が、仮想通貨業界を公正に評価できないことは明らかだ。ゲンスラー氏は、「ビットコイン(BTC)以外のすべての仮想通貨が証券である」という確固たる見解を持っている。
このことは、SECが守るべきウェルズ・プロセスや連邦法による公正な執行決定ができないことを意味している。ゲンスラー委員長は、仮想通貨関連の法的執行に関するすべての決定から身を引くべきだ。
さらにチェルビンスキー氏は、もしゲンスラー委員長が拒否した場合には、SECによる執行の対象となる者らが、ゲンスラー氏の退任問題を提起していくと続けた。
なお、ウェルズ・プロセスとは、証券法違反などに関して事実調査を行い、当事者に公正な審理の機会を提供するための手続きである。
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