セキュリティトークン商品を推進
イタリアを拠点とするサクロ・クオーレ・カトリック大学の研究センターから派生したコンサルタント企業Cetif Advisoryは29日、セカンダリー市場向けのセキュリティートークン金融商品を推進するために、セキュリティートークンのための機関投資家向けDeFi(分散型金融)プラットフォームを立ち上げると発表した。
暗号資産(仮想通貨)ポリゴン(MATIC)のネットワークを開発・普及を推進するPolygon Labs、デジタル資産カストディプラットフォームのFireblocks、技術開発企業Reply、法律・税務コンサルタントLinklatersと共同で行うプロジェクトとなる。
さらに、Mediobancaなどイタリアの大手銀行や資産管理会社、金融企業が参加。今後2か月間、さらに他の金融機関からも参加者を募集しているところだ。
機関投資家が規制遵守可能
Cetif Advisoryは、このプロジェクト「Institutional DeFi for Security Token」について、次のように説明した。
この機関投資家向けDeFiエコシステムは、機関投資家が規制ガイドラインと要件を遵守しながらこの環境で活動できるようにすることを目的としている。
同時に、DeFiエコシステムに典型的な金融サービスを顧客に提供し、関係者全員を保護しながら、セキュリティリスクと運用リスクを大幅に軽減し、大きなリターンを維持する。
背景としてCetif Advisoryは、現在DeFiサービスは保護や規制が充分ではない環境で、主に個人投資家が使っているものだと指摘。機関投資家が使用するためには、厳格な規制要件に従って取引できるプラットフォームが必要だという趣旨を述べている。
Cetif Advisoryのジェネラル・マネージャーであるイマニュエル・バハリエ氏は、規制要件には顧客身元確認やマネーロンダリング防止などに関するものも含まれると話している。
このプロジェクトの中心となる要素は、プロトコルで使用するセキュリティトークンの作成だ。イタリア最大の金融機関であるバンカ・メディオラヌムやプライベートバンクのインテサ・サンパオロも、これに関して協力していく。
作成されたトークンはまずプライマリー市場(企業が株式や債券を発行して資金調達する市場)に導入され、最終的にはセカンダリー市場(投資家が株式や債券を売買する市場)にも導入する計画だとしている。
現在は、このプラットフォームの設計に関わる初期段階のミーティングが進められているところで、今年9月以降には、エコシステム面で参加者による共同テストが実施される予定だ。
バハリエ氏は、2024年までにプラットフォームへ顧客がアクセスできるようにして、作成したセキュリティトークンを実際にテストできるようにしたいと述べた。
セキュリティトークンとは
セキュリティトークンは、「有価証券をトークン化してブロックチェーン上でやり取りするもの」である。有価証券は保有している資産を証明するものでなけれならず、その価値が法定通貨などで担保されることに基づき、セキュリティトークンとは「ブロックチェーン上で管理する、株式や債権など」と言い換えられる。
▶️仮想通貨用語集
Cetif Advisoryは、サクロ・クオーレ・カトリック大学のテクノロジー・イノベーション・金融サービス研究センター(CETIF)から派生した企業だ。銀行、保険会社、その他の伝統的な金融企業をデジタル化ソリューションでサポートする調査コンサルタント会社である。
Cetif Advisoryは、今回の機関投資家向けセキュリティトークンDeFiエコシステムについては、イタリア中央銀行がサポートする研究センター「Milano Hub」からも開発支援を受けていると述べた。
東京都の事例
セキュリティトークンは、新たな証券市場の創出につながる可能性が期待されるところだ。
最近の国内事例としては、東京都政策企画局が5月、セキュリティトークン発行支援事業の開始を発表。ブロックチェーンを活用してスタートアップ企業の資金調達を多様化するための取り組みとなる。
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