「Taproot Assets」立ち上げ
ビットコイン(BTC)の高速決済を可能にするセカンドレイヤー技術ライトニングネットワーク(LN)の開発を行うLightning Labs(ライトニングラボ)は18日、Taproot Assets(タップルート・アセッツ)の立ち上げを発表した。
Taproot Assetsは、ステーブルコインなど様々な資産をビットコイン(BTC)のネットワーク上で発行できるようにする新しいプロトコルだ。なお、以前には「Taro」という名前で進められていた。
ライトニングラボのライアン・ジェントリー開発ディレクターは、「ビットコインの新時代の幕開け」だとして次のよう説明している。
Taproot Assets v0.3は、開発者がビットコインをマルチアセットネットワークにするために必要なツールをすべて備えている。また、ビットコインの核となる価値の一つであるスケーラブル(拡張可能)な方法でこれを実現できる。
私たちは、ビットコインの新時代には、様々な世界の通貨がTaproot Assetsの資産として発行され、世界中の外国為替取引がライトニングネットワーク上で即時決済されることになると信じている。
Taproot Assetsで発行された資産は、ライトニングネットワーク上の経路に預けることが可能で、各ノードはビットコインをTaproot Assetsの資産へと変換できるようになる。
Taproot Assetsでは取引はネットワークのコアにある既存のビットコインの流動性を介してルーティングされ、ライトニングネットワーク上で行うことが可能だ。
ライトニングラボのエリザベス・スタークCEOも、この新プロトコルについて「ビットコインの新時代を表すもので、世界の金融システムにおけるビットコインの重要性をさらに強化するだろう」とコメントした。
ライトニングネットワークとは
ビットコインのトランザクション処理能力を解消するため、レイヤー2を利用したオフチェーン技術のこと。ライトニングネットワークを導入すれば、混雑しがちなブロックチェーンの外で取引を行うことができ、取引の高速化や手数料削減につながる。
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ステーブルコインへの需要
ジェントリー氏は、Taproot Assetsリリースの背景として、開発者からビットコインのインフラを使用してアプリケーションにステーブルコインを追加するツールを提供してほしいという要望があったと述べている。
ステーブルコインに対するユーザーの需要は高く、特に新興国などでインフレする自国通貨よりもステーブルコインの価格安定性が魅力になっていると続けた。
新興市場のユーザーは、スピーディーな決済時間や低い手数料を望んでおり、ライトニングネットワークはそうしたことを提供できるとしている。Taproot Assetsによりステーブルコインをビットコイン・ウォレットに提供することで、ビットコインの更なる普及に役立つとも説明した。
また、ゴールドや米国債、クーポン支払いプログラムを備えた社債など、様々な現実世界の資産のトークン化を試すプラットフォームにもなるとしている。その上で、ビットコインの世界的な流動性、分散化、セキュリティも魅力になると指摘した。
スマートコントラクト強化提案も
ビットコインの新機能提案については、ビットコイン関連の開発組織ZeroSyncの貢献者であるロビン・リーナス氏が9日、スマートコントラクトの実用性を強化する「BitVM」というコンセプトを論文で発表したところだ。
ビットコインのスマートコントラクト機能を拡張し、イーサリアムと同等のプログラミングを可能にするもので、DeFi、ゲーム、NFT市場など、多様なアプリケーションが開発可能になると論じられている。
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