- 機関投資家の動き
- 米DRWの仮想通貨部門責任者は、「仮想通貨市場全体が、プロの世界になりつつある。”西部開拓時代”は終わりを告げた。」と述べた。大口の最新傾向に、今まで知られざる一面も明らかに。
- 関投資家の主戦場は、取引所ではなくOTC取引
- 機関投資家の求めるコインの大量取引に取引所が応えるキャパシティがないため、OTC取引が盛んに行われている。 また、マイニングされたばかりの新品コインはマネーロンダリングに巻き込まれる可能性が低いため、20%ものプレミアムがついて取引されるとのことである。
- マイニングファームとは
- 企業や組織がマイニングのために設置した大規模施設、及び敷地のこと。 日本企業では、GMOインターネットやDMM.comが運用を始めている。
機関投資家は既に市場にいる
『機関投資家の参入はまだか』
新たな資産クラスとして仮想通貨規制が整備されるのを待ちながら、仮想通貨市場が乱高下する度、仮想通貨投資家たちは何度もこう叫んできました。
しかし、この2200億ドル(約25兆円)規模の巨大市場には、すでに複数の機関投資家が介入していると、米国Cumberland社トレーディング部門のグローバルヘッドであるBobby Cho氏(以下Cho氏)は指摘します。
同社は、OTC取引を扱うDRWホールディングスの仮想通貨部門です。
コインのマイニング自体については、既に中国など電気代の安いアジアを中心に企業が何百台・何千台ものコンピュータを揃えてマイニングファームを整備しています。
市場の様子を見たり、コインを保有したりせず、機械的に売りさばき、その部門自体も組織化されています。
「もはや仮想通貨市場全体が、プロの世界になりつつある。”西部開拓時代”は終わりを告げた。」
とCho氏は言います。
同氏によれば、仮想通貨の大口購入者は、すでに富裕層からヘッジファンドへ切り替わっており、10万ドル(約1100万円)を超えるような大口取引が取引所を介さずに行われています。
機関投資家の主戦場は、取引所ではなくOTC取引
機関投資家は、取引所で売買せず、ブローカーを介して大量保有者やマイニングファーム等とOTC取引を行っているようです。
機関投資家が取引所を好まない理由は幾つか挙げられます。
第一に、OTC取引であれば、市場の突発的な乱高下に振り回されることなく、取引相手と事前に条件を交渉できるというメリットがあります。
しかし、市場リサーチ企業のFundstrat Global Advisers社で役員を務めるSam Doctor氏によれば、 機関投資家が取引所を介さない最大の理由は、コインの大量取引に取引所が応えられない点にあるそうです。
「機関投資家が市場に参入して来ているから、さらに需要と供給のバランスは崩れていく」
また、OTC取引にこだわる興味深い理由として、機関投資家は、採掘されたばかりの”新品コイン”を好むという理由も挙げています。
ヘッジファンドIkigaiの創業者であるTravis King氏によれば、 新品コインはマネーロンダリングに巻き込まれる心配がないため、最大20%ものプレミアムが付くこともあると言います。
OTC取引量は順調に成長
Digital Asset ResearchやTABB Groupのリサーチによれば、 今年4月には、2.5億〜300億ドル(約280億〜3.4兆円)ものOTC取引が一日に行われたそうです。
CoinMarketCap.comによれば、最近でも150億ドルの取引が毎日あると言います。
仮想通貨を専門に扱うボストンのCircle Internet Financial社CEO、Jeremy Allaire氏によると、OTC部門のビジネスは3桁成長を記録しているとのことです。
背景として、「これまで懸念されていた、仮想通貨市場における過剰なボラティリティがここ数か月で落ち着き始めており、ようやく伝統的な金融機関が腰を据えて参入できる環境になりつつある。」とCho氏は述べています。
なお、Cho氏が所属するDRW Holdings LLCでは、取引量の1/3がアジアのビジネス時間帯に起こるとしています。