バイナンスの規制違反を指摘
フィリピン証券取引委員会(SEC)は28日、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは同国で認可を取得せずに有価証券を販売していると国民に注意を促した。
バイナンスの従業員だけでなくインフルエンサーらであっても、同社のプラットフォームでの投資を促すような行為を行うことは違法であると説明。こういった行為は最大で500万ペソ(約1,320万円)の罰金か21年の懲役、またはその両方が科されると伝えた。
SECは今回、何の銘柄やサービスが有価証券の提供に当たるかまでは述べていない。バイナンスはウェブサイトやアプリで利用できることや、同社が現物や先物の取引、ステーキングサービス、イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(ICO)のプラットフォームなどを提供しているとだけ説明している。
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ステーキングとは
仮想通貨を所定の期間、預け入れることで報酬が得られる仕組みやサービスのこと。仮想通貨を預け入れることでブロックチェーンネットワークの運営に貢献し、対価として報酬を得られる。
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そして、バイナンスは事業認可を得ている地域もあるようだが、フィリピンの法律が定める要件は満たしていないと指摘。具体的には、有価証券の登録申請、有価証券に関する詳細の提供、ライセンスのあるディーラーの有価証券発行などの義務を怠ったとした。
その上で、バイナンスは同国で積極的にプロモーションを行なっているが、未登録の投資プラットフォームを利用する前に注意するように国民に呼びかけている。
今回のSECの呼びかけを受け、バイナンスの担当者は「The Block」に対し以下のようにコメントした。
SECの声明は認識しており、重く受け止めている。
バイナンスは各国・地域の規制を遵守するように取り組んでおり、新たな首脳陣のもとでSECの懸念にも積極的に対応していく。
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アクセスを遮断か
フィリピンの仮想通貨ニュースを報じる「BitPinas」によれば、SECは関係組織に協力を要請し、バイナンスへのアクセスを遮断する模様。フィリピンの投資家がバイナンスを利用できないようにするという。
その場合、今回の注意喚起から3カ月後に遮断を実行する予定。その間にバイナンスのユーザーがポジションを閉じたり、出金したりできるようにするとした。
また、SECは、フィリピンでバイナンスの広告を表示しないようにグーグルやメタに要請するとも報じている。
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