9件目のイーサリアムETF申請
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンが12日、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)に基づく現物ETF(上場投資信託)の発売に向けて、米国証券取引委員会(SEC)へS-1登録届出書を提出した。
このファンドは、イーサリアムの価格動向を直接反映することを目指し、デジタル資産の保管にはコインベース・カストディを選定している。株式はCboe BZX Exchangeでの取引を目指している。
アークインベストやグレースケール、ブラックロックなどの資産運用会社がイーサリアムETFの立ち上げを目指しており、フランクリン・テンプルトンで9社目となる。
フランクリン・イーサリアムETFは、イーサリアムへの投資をよりアクセスしやすくすることを目的としており、エーサリアムの直接取得、保有、取引に関連する複雑さや運用負担を軽減する設計となっている。このETFは現金設定・償還方式を採用しており、投資家は現金でETFを設定し、償還時には現金で受け取ることになる。この方式はアーク&21シェアーズによるイーサリアム現物ETF提案にも見られる特徴である。
アーク&21シェアーズは、ファンドの構造にステーキング機能を取り入れる提案を行っており、フランクリン・テンプルトンの申請にも同様の特徴が見られる。この提案では、ファンドが信頼できるステーキング・プロバイダーを通じて資産の一部をステーキングし、得られる報酬をファンドの収入として扱うことが可能とされている。
関連:SCB銀 SECは5月にイーサリアム現物ETFを承認すると強気予想
重要な期限は5月に
1月26日、SECはグレースケールによるイーサリアム信託のETFへの転換申請の審査を延期し、パブリックコメントを募集している。また、インベスコとギャラクシーデジタルが共同で申請したイーサリアムの現物ETF申請案に関しても、2月6日に判断が延期されている。
これらの延期にもかかわらず、大手金融機関はイーサリアムの価格が今後数ヶ月で大幅に上昇すると予想している。投資家の間では、特にVanEckのイーサリアム現物ETF上場申請の最終決定期限に当たる5月23日がイーサリアムETFの承認に向けた重要な日と見なされている。
スタンダード・チャータード銀行が1月に発表したメモでは、「米国のイーサリアム現物ETFの申請中案件は、最初の最終期限である5月23日に承認されると予想している」、「ETH価格がビットコイン現物ETF承認までのBTC価格のパフォーマンスと同様のパフォーマンスを示した場合、ETHはその時までに4,000ドルもの高値で取引される可能性がある」と記述された。
同行は、SECがこれまで暗号企業に対してとってきた法的措置においてETHを有価証券として分類していないことや、すでにCME取引所にETHの先物が上場したことを承認の根拠としている。
さらに、グレースケールもまたETH投資信託を現物ETFに転換しようとしていることから、仮にそれが非承認されれば、GBTCが非承認された後の訴訟で敗訴になったことを、米SECは2度と繰り返したくないだろうと見ている。
一方、米投資銀行TDコーウェンは弱気な判断を示し、米国の政治環境を背景に承認が2025年後半から2026年初頭になるのではないかと予測した。
関連:米投資銀行TDコーウェン『イーサリアム現物ETFの承認は、来年後半以降になるだろう』