分散型ID・デジタル学生証の実装へ
周南公立大学は28日、分散型アイデンティティ(DID)として機能するデジタル学生証システムの開発と実証の計画を発表した。このプロジェクトでは、ブロックチェーン技術を条件とする分散型ウェブ「Web3」ではなく、別の切り口で分散型ウェブを実現する「Web5」を採用する。
この目的のため、周南公立大学は、Web5とその決済ツールとして適正の高いライトニングネットワークに精通した株式会社Diamond Handsと業務委託契約を締結した。ライトニングは暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の即時決済を可能にするピアツーピアのレイヤー2拡張ソリューションだ。
この共同プロジェクトは、学生が自らの在籍情報、氏名、生年月日、成績、履修履歴などの個人情報を管理し、第三者がこれを容易に認証できるデジタル学生証を目指す。学生は自身の個人情報や成績をデジタル形式の証明書(VC)として管理し、これらの情報のオンラインでの認証やパスワードレスログインなどが可能になる。
このプロジェクトは、大学だけでなく周南市とも連携し、デジタル証明書のさらなる発展を目指す。「Web5」プロトコルは、W3Cによって策定されたDIDとVCの標準に準拠しており、世界的な互換性を備える。
今後開発されるデジタル学生証システムは、実証実験を経て、再来年度には実際の学生の身分証明としての実運用を目指す。この取り組みは、国内外での広範な発信を予定しており、DIDを利用した先進的な事例として位置づけられる。
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ライトニングと相性が良い理由
Web5は、中央集権化されたインターネットの問題に対応し、特にプライバシー保護とプラットフォームの影響力制限を目的として、Block社の支援とJack DorseyのTBDによって2020年に発表された。
このプロトコルは、ユーザー間の直接通信を可能にするピアツーピア(P2P)ネットワークを使用し、中央のサーバーや管理機関を介さずに、ユーザーが自分の認証情報を管理し、安全に情報交換できるようにする。
ブロックチェーンとの主な違いは、ブロックチェーンが全てのトランザクションを公開し、不変の公開台帳に記録するのに対し、Web5のP2Pネットワークは、必要な情報のみを特定のノード間で直接共有する点にある。Web5のアプローチでは、ユーザーが自身の情報をコントロールし、必要に応じてのみ他者と共有するため、よりプライバシーを重視した構造となる。
Web5はブロックチェーン技術を直接使用しないが、ビットコイン・ブロックチェーンに決済記録のハッシュを記録するなどの応用が可能で、ライトニングネットワークとの親和性が高い。ライトニングも純粋なP2P技術で、取引後の状態データのみブロックチェーンに記録され、プライバシーを保護する。
周南公立大学とDiamond Handsの共同開発するデジタル学生証システムは、DIDとライトニング技術を組み合わせる計画だ。
将来的には、証明可能な個人の活動履歴と財産的価値の移転を関係づけて、何かの目標を達成した時に自動で金銭的な褒賞が獲得できるなど、分散処理技術と自動化を融合させたインセンティブスキーム設計や、学生証アプリからの実店舗への直接の支払いなどの先進的な機能を提供する。
Diamond Handsは日本を代表するライトニングの専門企業であることから、周南公立大学のパートナーとして選択された。Diamond Hands は特にライトニングの開発や運用経験が豊富で、国内だけではなく海外でも業界内で広く認知されている。
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