CoinPostで今最も読まれています

中国が仮想通貨の規制をして、裏では自国での仮想通貨発行を推し進めている理由とは?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

中国とロシアは経済の仕組みの変更しようと協力している
アメリカが経済において大きな仲介者であり、中国とロシアが仲介者の存在を無くそうとしている
中国が国際的に優勢的な国家になろうとしている
現在の閉鎖的な体制のままでは、成長することは難しく変化が必要である

仮想通貨コミュニティがまたもや中国の取り締まりによって強いショックを受け、次の一手を世界中が予想しようとしています。

中国の規制は未だ不透明なため、ビットコイン取引及びトークンセール(ICO)の新たな制限がどれくらいの期間続くのかについて沈思するしかありません。

なお中国の行動をより広い地政学的意図で見れば、暗号通貨とブロックチェーン産業のために作り出す長期的な問題や機会をイメージをよりわかりやすく見ることができます。

以下のことを考慮してください:

  • 中国人民銀行は地球上の他のどの中央銀行よりもデジタル不換通貨の発行に近づいています。独自のデジタル通貨研究所を始動していて、デザインの候補をすでに公表しています。
  • 中国はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の他のメンバーと同じようにUSドルの世界的優勢を終わらせたいという考えが強くなっています。ロシアのプーチン大統領は中国の廈門市で行われたBRICS会議ののち、BRICSは協力して「限られた準備通貨の行き過ぎた支配に打ち勝つ」と宣言しました。
  • 中国はビットコインに対する警戒心と裏腹にブロックチェーン技術にはコミットしています。政府ビジネス団体はDLTの発展と実行のために様々な高レベルなコンソーシアムを形成しています。中国のIT省が新しいブロックチェーン研究所をサポートしている事実がビットコイン取引の取り締まりの数日後に発表されました。
  • 65ヶ国もの国を取り巻く地上と海上のルートを網羅する貿易や資金の従来を促進する、およそ90兆円にも及ぶと予想されている「一帯一路イニシアチブ(習近平総書記が提唱した経済圏構想)」をもって中国は世界の最も包括的な国際取引及び基盤発達計画の先頭に立とうとしています。これは海外に経済的及び政治的影響を与えるマーシャルプラン(第二次世界大戦で被災した欧州諸国のために、アメリカ合衆国が推進した復興援助計画)のようなモデルになっています。

仲介者(アメリカ)を省く

中国政府は国際取引を自身の間柄で行うことでアメリカの財政、経済、政治主導権を終わらせたいということを望んでいます。

トランプ大統領の「アメリカ第一」保護貿易主義と外交に対する軽蔑感のせいでアメリカの同盟国が不満をもっている今、北京はグローバルリーダーシップを奪い取る機会だと見ています。

中国権威者がブロックチェーン技術は地域利権、特に貿易、に対して潜在的に便利な中抜き道具となると考えていることは明らかです。

その証拠としてスマートコントラタクト、トークンなどのようなブロックチェーン技術を情報共有と効率を向上させるサプライチェーンマネージメントシステムに応用しようと試みています。

今月香港で始動した一帯一路ブロックチェーン協会では中国のより大きい野望と技術を結びつける国際的な枠組みが発表されました。

中国にサポートされたハイテクなサプライチェーンロジスティックへのアップグレードはそれらのブロックチェーンソリューションをより実用的なものにします。

そのアップグレードの一つは廈門市のサミットで発表された「E-Port ネットワーク」です。これはBRICSが「国境を超えたものの移動や港レベルでの運送船の処理及び監視をブロックチェーン技術の応用でより正確かつ容易に実行するための結合電気的プラットホーム」と説明しました。

もう少し攻撃的な考え方では、中国はこの技術をもって直接アメリカの利権とドルの優勢をターゲットにすることも可能という捉え方もできます。中国とロシアがブロックチェーンに基づく証券決済に置いて、すでに協力を開始していることもわかっています。

この二つの国がそれぞれの輸入国と輸出国の貿易債務を直接的な通貨スワップ(ブロックチェーンを利用した複数国の通貨変換)で解決するために、ブロックチェーンソリューション(例えばスマートコントラクトと複数著名のエスクロー講座の組み合わせ)を調査しているということを想像することはそう難しいことではありません。

このことから輸出国や輸入国が貿易時外国での決済時に不利になるために利用されていた、ドルの仲介通貨としての役割を終わらせることができます。ウォール・ストリートの仲介代理銀行を省き、取引費用を削減することでアメリカの貿易が大勢力である元となっている三国間仲介貿易(ドルとして仲介に入り仲介手数料を徴収)を弱体化させることにもつながるでしょう。

これは中国ロシアがデジタル通貨を調査している唯一の理由というわけではないですが、デジタル不換通貨が2国間のスワップソリューションをより実行可能にすると言っても過言ではないでしょう。

アメリカにとってその結果は大打撃になりえます。

中国とロシアの企業が取引費用をドルで支払う必要がなくなれば、ドル紙幣を準備通貨として持っておく必要がなくなる可能性が出てきます。同時にこの中抜き貿易ソリューションがうまくいけば他の国もあとを追うでしょう。

そうなるとアメリカはドルの優勢とそれが過去70年間もたらした低金利などのアメリカにとっての有利な状態の経済に終止符が打たれることにもなりかねません。

中国の挑戦

つまり、これは中国が優勢な超大国ステータスを手に入れることを意味しますか?いいえ、そうとは限りません。

その一番の理由は中国の閉鎖的経済体制が革新の能力を自ら押さえ込んでしまっているからです。

中国の会社は他のアイデアを真似することは得意ですが、一般的に発明力に欠けています(ソーラー技術を除いて)。

閉鎖された計画経済は革新を促進しないため、政府の絶対的命令の元では創造性は存在できません。

そのため中国のICO及びビットコインに対する動きが期待に反した結果になる可能性があります。

これら仮想通貨分野は無許可革新の新グローバルシステムの一部、つまりなんでもありの無秩序なアイデアの集合体と言えます。そこでは開発者は制限された知的財産の保護に頼らずとも、新しい分散アプリケーションに法的価値を与え、協力することで利益を得ることができます。

中国の中心計画者がクラウドファンドアイデアが飛び交う一見無秩序な世界に気力を奪われていることは理解できます。それは中国のブロックチェーン研究のほとんどを政府主導で管理することができる許可元帳に集中している理由でもあります。

しかし、自由なオープンソース革新の力を縮小することで中国は欧米の一歩前に出るために必要な新しいアイデアやダイナミックなソリューションを自ら切り離してしまっています。

共産党の生存は継続的な経済成長と情報、マネーフロー、アイデアの制御に依存しています。

しかし後者を行なっていては前者は成し遂げられません。そして最終的に、中国はビットコインとそれら仮想通貨業界に競争するには無力であると言えます。

なぜならいつまでもとどまることができる無敵の革新を育てる検閲への体制がある分散取引システムを直接的に可能にしているからです。

現在のトランプ政権の政策優先順位から見るとアメリカはおそらく勝者にはなりません。しかし、今のままでは中国も同じです。

暗号通貨の時代はオープンアクセス、財政権、及び自由貿易システムのうちで活動している国、ビジネス、及び個人に利権を与えます。

これらはアメリカが主導権を得るときに元となった原則でもあります。

It’s Political: Why China Hates Bitcoin and Loves the Blockchain

Sep 27, 2017 by Michael J Casey

参考記事はこちらから

CoinPost考察

中国はブロックチェーン技術など最新の技術を用いて国際的経済国家の先頭に立とうとしています。

しかし、そのためには今ある社会の体制を変えなければ欧米諸国より優勢的な存在にはなれないでしょう。

しかし、ブロックチェーン技術を活用してアメリカという大きな国家が仲介に入る経済体制を変えることができる可能性があり、この手を逃すはずもなく、国家をあげて変革を進めていくでしょう。

この技術と深い関係のあるビットコインを中国は現在規制し禁止しているなど厳しい管理をしていますが、今後はどのように取り扱っていくのでしょうか。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/28 木曜日
17:35
分散型AIの3大プロジェクトが団結、新トークン「ASI」に統合へ
SingularityNET、Fetch.ai、Ocean Protocolが人工超知能連合を結成し、各プロジェクトの暗号資産(仮想通貨)を新トークンASIに統合する計画を発表。単一の分散型AIネットワークとしてリニューアルを目指す。AGIの父と呼ばれるベン・ゲーツェル博士が主導する。
15:58
ビットコインのレイヤー2「BEVM」ローンチ
BEVMがメインネットをローンチ。暗号資産(仮想通貨)ビットコインをガス通貨として利用するEVM互換のレイヤー2ネットワーク。シリーズAで数十億円を調達し、分散型ビットコインクロスチェーンカストディサービスを実現。
15:00
NEARプロトコル、マルチチェーン再ステーキング「LiNEAR」始動へ 
NEARプロトコルがChain Signaturesを導入、暗号資産(仮想通貨)の相互運用性を強化。ビットコインやイーサリアムなど複数のブロックチェーンをサポートする。オムニチェーン再ステーキングLiNEARが始動。
14:15
「イーサリアムが有価証券でもETF化は可能」ブラックロックCEO
仮想通貨イーサリアムに関しては、米国においてその法的ステータスが定かではない。CFTCは商品(コモディティ)と見做している一方、SECはETHに関係するスイスのイーサリアム財団を調査していることが先週報じられた。
10:45
Parallel Studios、VanEckやソラナベンチャーズから53億円調達
パラレルはイーサリアムメインネットおよびBaseチェーン上で稼働するものだが、先日発表された、コロニーのローンチ先がソラナのブロックチェーンであることや、今回ソラナベンチャーズが出資したことから、今後クロスチェーンでの展開が考えられる。
10:15
イーサリアム「BLOB」にデジタルアートを記録する方法 Ethscriptionsが導入
イーサリアムのチェーン上にデジタルアートなどを記録するEthscriptionsは「BlobScriptions」を発表。ブロブにデータを記録する方法となる。
08:10
21Shares、欧州でTONの上場取引型金融商品を提供
今月初めテレグラムは仮想通貨TONを正式に統合し広告収入をチャンネル所有者と共有し、TONブロックチェーン上でToncoinを使って報酬を支払うようになった。この動きが投資家からの需要を押し上げたようだ。
07:30
ブラックロック「BUILD」、一週間で240億円超の資金流入を記録
ブロックチェーン上でトークン化された現実世界資産(RWA)の運用を提供するOndo Financeからの10億円以上新たな資金もありファンドの規模は拡大中。
06:50
スクエニやソラナ財団、Elixir Gamesに21億円出資
Elixir Gamesは、ゲームローンチャー「Elixir Games Launcher」で、さまざまなWeb3ゲームを遊べるPCアプリを提供。また、Web3ゲームがNFTなどのゲーム内資産のセールを代行するローンチパッドで、ミントなどの機能を提供する予定だ。
05:50
SECに有利か、裁判官がコインベースの棄却申し立て認めず
その一方、裁判官は、コインベースが顧客が仮想通貨ウォレットアプリを利用できるようにしたときに、無登録ブローカーとして運営していたというSECの主張を取り下げることを決定した。
03/27 水曜日
17:25
Slash Payment、独自トークンのエアドロップ対象条件を発表
暗号資産(仮想通貨)決済サービスSlash PaaymentのエコシステムトークンSVLについて、エアドロップの参加条件が明かされた。分散型決済エコシステムの利益が、ステーキング参加者に還元。スナップショットまでに割り当てを増やすことも可能だ。
17:00
ビットコインなど仮想通貨投資の始め方|初心者が注意すべきリスクとおすすめ戦略
ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)投資の初心者向けスタートガイドを解説。基本戦略や知識、特に注意すべきリスクやセキュリティ対策を紹介し、「何歳から始められる?」のか、取引所ごとの年齢制限一覧も提供。
16:04
KDDIのNFT市場「αU market」、アニモカブランズとの連携開始
KDDIが展開する「αU market」で、『PHANTOM GALAXIES』の限定版NFT販売を開始。アニモカブランズが支援するブロックチェーンゲームとの連携施策の第一弾。暗号資産(仮想通貨)ウォレット「αU wallet」を接続して購入できる。
14:23
21Shares「半減期前のビットコインは、過去の歴史とは異なるダイナミクスを経験している」
スイスを拠点にする資産運用企業21Sharesは、仮想通貨ビットコインの半減期が市場に及ぼす影響について分析したレポートを発表。ビットコインは現在、過去3回の半減期とは、「異なる市場ダイナミクスを経験している」と指摘した。
12:23
ビットコイン7万ドル台で堅調推移、コインベース・プレミアムは強気から中立に
暗号資産(仮想通貨)市場では、半減期前のビットコインは過去最高値に迫る7万ドル台まで反発して堅調推移を辿る。米国の機関投資家動向を示すコインベース・プレミアムは強気から中立に転じた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/03/28 15:00 ~ 18:00
東京 東京日本橋タワーB2階
2024/04/06 ~ 2024/04/09
香港 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター3FG
2024/04/09 14:00 ~ 16:00
その他 オンライン
2024/04/13 ~ 2024/04/14
東京 東京都港区
重要指標
一覧
新着指標
一覧