
ソラナ対イーサリアム
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンの暗号資産(仮想通貨)研究部門は、最新のレポートで、イーサリアム(ETH)およびソラナ(SOL)上に構築された分散型金融(DeFi)プロトコルの評価を比較した結果をまとめた。
同社は、ソラナが最も広く利用され、収益性の高いプラットフォームの一つとして、注目を集めており、DeFi経済において確かな礎を築きつつあると指摘。同領域で、これまで圧倒的な存在感を示してきたイーサリアムのリーダーとしての地位が、大きく揺らぎ始めていると述べた。
24時間年中無休で自律的な取引が可能なDeFi市場は、大きな発展を遂げており、今年1月には月間取引量が6,110億ドル(約91兆円)に達し、同月末時点のTVLは1,230億ドル(約18.3兆円)を超えた。
イーサリアムは、DeFi市場で時価総額最大のスマートコントラクト・プラットフォームとして、TVL(総預かり資産)や分散型取引所(DEX)の取引量などで、他のブロックチェーンを圧倒してきた。しかし、1月にはソラナのDEXでの取引量が、イーサリアムエコシステム全体(イーサリアム、L2チェーン、その他のイーサリアム仮想マシン(EVM)ベースのDEX)の取引量の合計を上回った。

出典:フランクリン・テンプルトン
変化の影響
レポートでは、上記の変化がDeFiの勢力図に、以下の二つの影響をもたらしていると指摘している。
- SVM優位の時代へ:DeFiがEVMの歴史的支配から脱し、ソラナ仮想マシン(SVM)が主導する時代が到来する可能性。
- イーサリアムのモジュラー化: 金融活動の多くがレイヤー2(L2)やEVM準拠のレイヤー1に移行。
ソラナのDeFiトークンは過小評価されている
レポートは、5つの主要なETHプロジェクト(LDO、AAVE、ENA、MKR、UNI)のトークンと、ソラナの最も強力な5つのプロトコル(JTO、JUP、KMNO、MNDE、RAY)のトークンと比較した。
ソラナ基盤のプロジェクトでは、手数料が前年比で2,400%増加したが、評価倍率は9倍にとどまった。一方、イーサリアム基盤のプロジェクトでは、手数料の増加は150%だったものの、評価倍率は18倍となった。
この比較から、フランクリン・テンプルトンはソラナ基盤のトークンは大幅に過小評価されていると指摘した。
ソラナDeFiの評価倍率は、著しく高い成長プロファイルにもかかわらず、イーサリアムの同等のトークンよりも平均して低く取引されており、明らかな評価の非対称性が浮き彫りになった。
評価が低い理由と今後の展望
イーサリアムに比べてソラナDeFiトークンに対する評価が低い理由の一つとして、基盤となるソラナエコシステムの安定性とセキュリティに関する懸念が挙げられた。
しかし、2025年2月6日までの1年間、ソラナはダウンタイムもなく安定して稼働しており、今後予定されているFiredancerのようなアップグレードを考慮すると、ソラナエコシステムに対する懸念は軽減される可能性があると、レポートはまとめた。
ソラナが分散型コンピューティング・プラットフォームとしての回復力を実証し続けるにつれ、市場は近い将来、優良で土台となるソラナDeFiプロトコルに、相当するイーサリアムプロトコルと同等の価格をつけるようになる可能性がある。
ビットワイズ・ヨーロッパのアナリストらは、いわゆる「iPhoneモーメント」のような、爆発的なアプリ開発と採用の増加が、ソラナでも起きると考えているようだ。
ソラナブロックチェーンは2025年にイーサリアムを追い越し、SOLの価格は2030年までに3,000%上昇すると予想している。
関連:「ソラナは第3の主要仮想通貨になる」フランクリン・テンプルトン見解
イーサリアムに対する評価
ソラナを高く評価しているフランクリン・テンプルトンだが、イーサリアムを悲観的に見ているわけではない。
イーサリアムのメインネットから、DeFi活動がL2へと移行していることについて、「イーサリアムのスケーリング戦略が軌道に乗っていることを証明している」との見解を示した。