
海外企業への依存減らす米国産マシン
米国のブロックチェーン・AI(人工知能)インフラ企業Auradine(オーラディン)は25日、米国で設計された初の水冷式ビットコイン(BTC)マイニングマシンを発表した。トランプ政権による貿易問題や国産ハードウェア推進の意向などにも対処するものになるとみられる。
オーラディンは、高い計算能力の必要性、高騰するエネルギーコスト、および海外のマイニングマシン・サプライヤーへの依存といった問題を解決する画期的なソリューションだと述べた。
マイニングマシンのほとんどは依然として米国外で設計されており、米国内のマイナー(マイニング事業者)は、エネルギーなどのコスト上昇、サプライチェーンの遅延など、長期的なマシンへのアクセスに関して、不確実性に直面しているとも続けている。
関連:米SEC、仮想通貨PoWマイニングは証券法対象外と明言
オーラディンがリリースする「Teraflux AH3880」は、高性能な閉ループ水冷システムを用いており、ASICチップから循環する液体に熱を効率的に伝達し、冷却して再循環することで最適なパフォーマンスを維持する仕組みだ。
これにより、ハードウェアの寿命が延び、電力が最小限に抑えられ、計算能力も最大化されるとしている。具体的には、14.5 J/TH(ジュール/テラハッシュ)という低い効率で、600 TH/s(テラハッシュ/秒)のハッシュレートに達することが可能だ。
なお、テラハッシュ/秒とは1秒間に1兆回のハッシュ計算を行える能力のことである。
ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
関連:ビットコインの展望「2Qは過去最高のリスク資産パフォーマンス期間」 QCPが分析
米税関が押収強化 トランプ政権の意向か
ビットコインマイニングマシンの分野では、中国を拠点とするビットメインの市場シェアが80%以上という状況が長い間続いてきた。
トランプ政権に交代して2月、米国の税関・国境警備局が入国港でビットコインマイニングマシンの押収を強化していると報じられたところだ。MicroBTとCanaanのマイニングマシンなど500万ドル(約7.5億円)相当も押収されている。
税関・国境警備局は、現在中国のコンピューティング企業Sophgoを貿易制限対象としており、同社のチップが含まれていたために、昨年末ビットメイン製品の押収を開始した。
一方で、Canaanは中国を拠点とするが米国で上場しており、MicroBTも中国企業だが米国に製造パイプラインを持っている。この2社の製品も押収するようになった経緯は不明だ。
Blockspaceのウィル・フォックスリー氏は「シリコン関連の、こうした産業の多くを米国で行いたいとするトランプ政権の動きの一部であるようだ」と意見している。同氏は、押収により北米のビットコイン・ハッシュレートが影響を受ける可能性についても触れた。
今月初め、米マイニング企業Luxor Technologyのイーサン・ベラ最高執行責任者も、こうした押収の影響を受けていると話した。押収された貨物のうち、リリースされたのは一部分のみだが、状況は良い方向に向かっているとも報告している。
また、押収された背景には、米国製のハードウェアとファームウェアを推進するというトランプ政権の意向もあるのではないかと意見した。
トランプ大統領は、米国を仮想通貨の超大国にすることを掲げている。選挙キャンペーン中は、ビットコインマイニングについても推進し、米国産ビットコインを増やしたいと述べていた。
また、トランプ政権による関税政策の行方も注目されている。貿易戦争を引き起こしてインフレを進める可能性があるとの懸念があり、その発言が株式や仮想通貨の市場に影響を与えているところだ。マイニングマシンについても関税が引き上げられる可能性もある。