
VivoPower Internationalは28日、XRPに特化したデジタル資産戦略を発表し、1億2100万ドル(約180億円)を調達したと明らかにした。 同社は米ナスダックに上場する再生可能エネルギー企業であり、上場企業としては世界初のXRP主要保有企業となる。
今回の私募による資金調達を主導したのは、サウジアラビアのEleventh Holding Companyの会長であるアブドゥルアジーズ王子だ。
この他、元リップル取締役でSBIリップルアジアの元CEOを務めたアダム・トレイドマン氏(VivoPowerアドバイザリーボード会長に就任)、デジタル資産業界の著名な投資家や機関投資家、さらにVivoPower会長のケビン・チン氏の投資オフィスも参加した。
XRP市場への影響と背景
VivoPowerは今回の戦略決定の背景として、トランプ大統領が発表した「戦略的ビットコイン準備金および米国デジタル資産備蓄」計画を挙げている。VivoPowerの発表によれば、同計画では、米国政府が備蓄する5つのデジタル資産の一つとしてXRPが選定される見込みであり、これがXRPの長期的な価値向上につながるとの見方を示している。
ただし、トランプ大統領は当初、カルダノ、XRP、ソラナ、ビットコイン、イーサリアムからなる戦略的暗号資産準備金の創設を大統領作業部会に指示するとX(Twitter)で発表したが、業界から強い批判を受け、政権側が「深い意味はない」と釈明する事態となった。
VivoPowerは、上場企業として世界で初めてXRPに特化したデジタル資産トレジャリー戦略を実行し、XRPLエコシステムにおける実世界の分散型金融ブロックチェーンソリューションの構築に貢献することを目指している。
資金調達の詳細と今後の計画
VivoPowerは2000万株の普通株式を1株あたり6.05ドルで売却し、総額約1億2100万ドルを調達した。この価格は前日のナスダック終値6.04ドルを上回る水準となっている。
調達した資金は主に次の用途に充てられる。
- XRPの購入と保有、トレジャリー運営
- XRPレジャー(XRPL)のDeFiエコシステムへの投資と開発支援
- 既存債務の返済と運転資金
この戦略転換により、VivoPowerは再生可能エネルギー企業から、XRPを中心とするデジタル資産企業へと大きく舵を切ることになる。同社は現在運営している電気自動車事業のTemboと、電力活用型デジタル資産マイニング事業のCaret Digitalを、2025年第3四半期末までに分離・独立させる計画だ。また、Energi Holdings Limitedから受けている買収提案については、今後はTembo事業に絞って協議を進めていく。
なお、今回の取引完了には株主承認が必要となり、VivoPowerは2025年6月18日頃に臨時株主総会を開催する予定である。資金調達においてはChardanが単独の引受代理人を務めた。
VivoPowerは2014年の設立以来、英国、オーストラリア、北米、欧州、中東、東南アジアにグローバル展開してきた。今回の戦略転換は、持続可能エネルギー分野で培った事業基盤を活かしながら、成長著しいデジタル資産市場への本格参入を図るものとして注目される。