
通貨安のヘッジ手段
暗号資産(仮想通貨)運用企業Bitwiseのマット・ホーガン最高投資責任者は17日、個人投資家は法定通貨の供給量が増大していることに気づき始めており、その対策としてビットコイン(BTC)を購入していると指摘した。
ビットコインの現物ETFが米国で2024年1月にローンチされて以降、ゴールド(金)のETFよりも資金を集めていると述べ、デジタルゴールドとして広く認識されてきていると主張。法定通貨の価値低下のヘッジ手段として、個人投資家の間でビットコインが普及してきていると述べている。
今回ホーガン氏は最初に法定通貨の歴史に触れ、金本位制が終了した後にゴールドのような資産の裏付けがなくても政府が法定通貨を発行できるようになったことを問題視した。1971年に米国のニクソン大統領が米ドルと金の兌換(交換)を停止した後に何も裏付けがない状態でお金を刷れるようになったことは危険なやり方である可能性があると主張している。
その上で、フィナンシャル・タイムズの記事を引用しながら、中央銀行も法定通貨のリスクに気づき始めており、ビットコインを買う個人投資家とは違って金の購入を増やしていることに言及。2024年は金が世界の外貨準備に占める割合でユーロを抜いて2位になったことにも触れた。
そして、最近では特にロシアがウクライナに侵攻した後、中銀は法定通貨に対するヘッジ手段として以下の特徴を持つ資産を求めているとの見方を示している。
- 希少性がある
- 特定の国家に所属しない
- 政府による介入が困難である
- 自己で直接保有ができる
その上で、この特徴はゴールドだけでなくビットコインにも当てはまると主張した。
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中銀によるビットコイン購入の課題
一方で、個人投資家は法定通貨のヘッジ手段としてビットコインを購入しているが、中銀のような組織が投資するにはビットコインの流動性はまだ低いと指摘。2兆ドル(約290兆円)規模の時価総額では、一般的な投資家は売買できても、政府や中銀にとっては市場がまだ小さいとした。
他にも、株と債券を組み合わせてポートフォリオを多様化するという従来の戦略はリスクがあると主張。株と債券は完全に法定通貨のリスクにさらされていると指摘している。
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