
ウォール街の変化を予測
暗号資産(仮想通貨)イーサリアムの共同創設者ジョセフ・ルービン氏が、「イーサリアムは現在の価格から100倍に成長する可能性がある」との強気発言を行い、注目を集めている。
ルービン氏は8月31日、Xの投稿で、今後イーサリアム価格が100倍以上に上昇し、ビットコインの経済的基盤を追い越す存在となると主張した。
ルービン氏はイーサリアムの価値が急激に高まる理由として、米ウォール街での採用が進むだけでなく、「金融」というゲームをプレイするためには、ウォール街の金融機関が分散型金融を基盤とした運営へ移行する必要があると指摘している。
彼らは、分散型の基盤上で運用される伝統的金融企業(TradFi)へと変わる必要がある。それは、ステーキングを行い、バリデーターを運用し、L2/L3などを活用し、DeFi(分散型金融)に参加し、契約や業務プロセス、金融商品に関するスマートコントラクトのソフトウェアを書くことを意味する。
同氏は、伝統的金融機関が、サイロ化された非効率な旧来のインフラにコストをかけ続けるより、イーサリアムが提供する分散型インフラに移行し、ステーキングを行うことによって利益も得られる道を選ぶようになるとみている。
そう、ウォール街はステーキングを行うようになるだろう。なぜなら、彼らは現在、自社のインフラに対して多額のコストを支払っており、イーサリアムがそれらの分断されたシステム(スタック)の多くを置き換えることになるからだ。
例えば、JPモルガンは2014年〜2015年から、プライベートブロックチェーンの開発にイーサリアム基盤の技術を研究・活用してきているため、「イーサリアムへの移行は比較的容易だろう」と、同氏は指摘した。
JPモルガンはイーサリアムベースの「Quorum」ブロックチェーンを開発し、2019年に即時決済用の独自仮想通貨「JPMコイン」を発行。2020年にはQuorumを基盤に、新たなブロックチェーン部門「Onyx Digital Assets」を立ち上げ、正式にクロスボーダー決済でのJPMコイン利用を開始した。
2024年11月、JPモルガンはOnyxを「Kinexys」へとリブランディングし、同行のFXサービスと統合。今年8月には、Kinexysを活用したオンチェーンレポ取引も開始されている。
レポ取引とは
英語でRepurchase Agreementで、買戻し契約取引のこと。有価証券を一方が他方に売却し、一定期間後にあらかじめ決められた価格で買い戻す契約。実質的には、担保付きの短期融資とみなされる
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イーサリアムの無限の可能性
ルービン氏は、ETH保有量で世界トップのイーサリアム・トレジャリー企業「ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ」を率いるトム・リー取締役会会長のイーサリアムに対する評価に「100%同意する」と述べた。
しかしルービン氏によれば、リー氏の強気姿勢でもまだ控えめであり、イーサリアムの可能性を考えれば「強気になりすぎることは不可能だ」という。
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この地球上の誰も、完全に分散化された経済が、ハイブリッド型の人間と機械の知能に満たされ、分散型のイーサリアム基盤の“信頼のソフトウェア(トラストウェア)”上で動作する時、どれほど大規模かつ速く成長するかを現時点では想像できていない。
ルービン氏は、イーサリアム基盤の開発とソリューションを提供するConsensysのCEOであり、イーサリアムを「世界で最も信頼されるプログラム可能な資産」と評価している。
Consensysは、イーサリアム10周年を記念したレポートで、イーサリアムをデジタル経済における信頼の基盤「トラストウェア(Trustware)」として位置づけ、その役割と将来性を詳細に解説した。
イーサリアムは、市場シェアや経済的な安全性(1,000億ドル超のステーキング資本と100万人以上のバリデータ)、堅牢なネットワーク効果と継続的なアップグレードによる適応力、ブラックロックやJPモルガンをはじめとする機関投資家による採用において、他のブロックチェーンを圧倒していると、レポートは指摘した。
イーサリアムはすでに「信頼のマシン」として構築されており、信頼のデジタル化が進展すると考えるならば、イーサリアムへの投資はデジタル経済のインフラへの投資と同義であり、今後その価値が増大することは自明の理だとレポートは結論づけている。
ルービン氏は、「信頼は、新たな種類の仮想的なコモディティである」と主張。イーサリアムは、「最も高性能な分散型の信頼資産」であり、最終的には全ての他のコモディティを凌駕するだろうと、強気の見解を示している。
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