
9月は低迷する傾向
ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)は、「Red September(赤字の9月)」と呼ばれるパフォーマンス低迷月に入った。
あくまで過去の傾向ではあるが、「Coinglass」のビットコインのデータを見ると、2013年以降9月のリターンがマイナスになったことが8回ある。そして、リターンの平均値が他の月と比較して最も低い。一方で、2023年と2024年は2年連続でプラスだった点にも注目する必要がある。
以下の画像がCoinglassのデータ。9月については2017年以降6年連続でリターンがマイナスになったことや、2025年は現在ではプラスであることなどが示されている。

出典:Coinglass
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ビットコインのパフォーマンスが低迷するにはそれぞれ理由があり、毎年9月がマイナスになるというわけではなく、それは上記のデータからも明らかだ。
過去には、2021年9月に中国人民銀行や最高人民法院などの中央当局が本土でのあらゆる仮想通貨取引活動を禁止する通知を発表したり、2022年9月に米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を0.75ポイント(通常の3倍)引き上げたりするなどの要因があった。
また、9月にパフォーマンスが低迷すると指摘されているのは仮想通貨だけではない。例えば、株価指数「S&P500」は9月のパフォーマンスが最も悪いことが複数のデータで示されている。
金融市場で9月にパフォーマンスが悪化する理由としては、まずは四半期末で決算期であることが挙げられる。また、機関投資家の夏休み明けが重なるタイミングでもあり、4Q(10月から12月)に向けたポートフォリオ調整が行われやすいとの指摘もある。
アノマリーの確実性や弱気相場の継続期間
一方、9月にビットコインのパフォーマンスが悪くなるのは過去のデータであり、今後は、FRBが今月に利下げを行うか、それを裏付ける雇用統計などのデータが発表されていくかなどを投資家は注視していく必要がある。また、こういったアノマリー(変異性)は広まるにつれて織り込まれるようになり、効果が薄れるとの指摘にも注意が必要だ。
また、9月はパフォーマンスが悪い傾向があるが、上記画像の通り、10月以降はリターンが高くなる傾向が強い。マクロ経済や米トランプ政権の動向、企業購入やETFの資金フローなどが追い風になり、4Qになると相場が上昇する可能性もある。
クリプトクアントの登録アナリストCQ Ben氏は先月、半減期を根拠にしたビットコインの分析を公開。歴史的な傾向から、9月下旬から10月上旬頃の半減期後510日頃に回復し、新高値に向けた上昇の加速が期待できる可能性があるとの見方を示した。
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