
2027年公開、決済市場1%獲得へ
東証グロース上場の株式会社イオレは10月14日、暗号資産金融事業に関する戦略発表会を開催し、次世代金融インフラ構想「Neo Crypto Bank」の詳細を明らかにした。
暗号資産を単なる保有や運用にとどめず、決済や資産管理を統合したWeb3.0領域のスーパーアプリを2027年度に公開する計画だ。
同社執行役員CBO(暗号資産金融事業事業責任者)の花島晋平氏は、「暗号資産の保有、利用、運用をブロックチェーン技術で統合的に接続し、オールインワンでシームレスな活動ができる社会を目指す」と説明した。
既存の金融が銀行や保険など複雑な構成を持つのに対し、暗号資産金融は貨幣を持つのと同じように暗号資産を保有し、決済や証券に活用できる土壌を整えた上で、セキュリティトークンやNFTへと拡張していく戦略を示した。
開発中のスーパーアプリは、資産保管・保全、決済・送金、資産運用の機能を統合し、配送サービスやホテルのチェックイン機能など外部サービスとも連携。グローバルなマーケットへのアクセスも実現し、海外のDeFiや一般金融にも暗号資産から証券化を通じて簡単にアクセスできるという。
また、運用中の資産をダイレクトに決済に使用できるため、サブスクリプションなど日々の支払いにも活用可能になるとのこと。
具体的な目標として、日本国内のキャッシュレス決済市場の1%にあたる年間約4億回の決済回数、決済金額で1.2兆円決済の達成を掲げた。暗号資産からダイレクトに決済する仕組みのため、デビットカード的な性質を持ちながら、クレジットやコード決済の要素も含む包括的な決済手段となる。
財務戦略と事業提携
同社は10月7日から暗号資産トレジャリー企業として約2億円分のビットコイン取得を開始しており、2025年内に120〜160億円規模のビットコイン取得を目指している。
財務戦略については、初動として500万回の決済達成に必要な流動性担保として160億円規模の資金調達を進めている。2026年から2028年にかけて段階的に拡大し、最終的に1.08兆円規模のバックアセットを構築する予定。
事業提携では、適法に暗号資産をダイレクト決済に変えることができるハードウェアを提供するSLASH VISIONと連携し、資産保管・保全から運用、決済までをシームレスに繋ぐ。決済の上にWebサービスやアプリケーションサービスが連携し、ブッキングやペイメントが全てシームレスに繋がっていく世界を目指す。
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10月1日には国内最大規模の暗号資産レンディングサービス「BitLending」を運営するJ-CAMと戦略的事業提携に関する基本合意書を締結した。また、14日にはAnimoca Brands Japanを含む4社との事業提携を発表。
Animoca Brands Japanはイオレの暗号資産トレジャリーや運用を支援し、ステーキングやレンディング、DeFiイールドファーミングなどの積極的な運用をサポートする。イオレは今後も他社との事業提携を進めていくとみられる。
同社はAI技術者が多数在籍しており、Eコマースやブッキングサービスにおいて、AIが膨大なデータから最適な選択肢を提示し、決済まで導く仕組みも構想している。瀧野諭吾CEOは挨拶で「信頼をテクノロジーで再設計し、AIと暗号資産を軸に新しい社会インフラの形を提示することが使命」と述べている。
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