
金融政策で豊富な実務経験
10月21日、自民党の高市早苗総裁が新内閣の財務大臣に片山さつき元地方創生担当相を起用する方針を固めたと報じられた。
片山議員は財務省出身で、同省を熟知した人物として広く知られている。また、暗号資産(仮想通貨)規制においては、進行中の金商法移行に関する議論やステーブルコイン規制をはじめ、重要な改革に関与してきた実績がある。
片山さつき氏は、長年にわたり財務省で多くの重要なポストを歴任し、金融政策に深く関与してきた実績を有す。特に、1988年の証券取引法改正(インサイダー取引規制)や、1990年代後半の不良債権問題に対処するための貸付債権の流動化スキームの導入に関与し、金融市場の規制強化と健全性の確保に貢献。また、自民党金融調査会長を4期連続で務め、金融政策における実務経験も豊富だ。
マーケット関係者からは、高市総裁の方針に従い、財政政策を安定させる役割を担うとの見方が強い。片山議員は財政拡張に慎重な立場を取るとされ、過度な財政拡張には踏み切らないという見方が強まっている。
暗号資産政策に影響は?
片山議員は、暗号資産(クリプト)に関する政策にも深く関与してきた。自民党内で金融調査会長を務めた際には、暗号資産を金融商品として位置づけ、投資家保護を強化するための法改正に取り組んできた。
その一環として、暗号資産に対するキャピタルゲイン税の見直しを強く主張しており、現行の税率が最大55%に達する現状に対して税制改革の必要性を訴えてきた。8月のWebX2025に登壇した際、片山議員は日本の暗号資産市場における税制改革の重要性を再確認した。
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また、片山議員は金融のデジタル化を進めるための環境整備にも重要な役割を果たしてきた。特に、2022年に自民党金融調査会(会長・片山さつき参院議員:当時)合同会議で資金決済法改正案を了承し、これが現在のステーブルコイン規制の基盤となっている。
この改正案は、2023年6月1日に施行された改正資金決済法に基づき、ステーブルコイン(デジタルマネー類似型)を「電子決済手段」として定義し、法定通貨に価値を連動させたデジタル通貨の国内発行・流通を可能にした。
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