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ヴィタリック、分散化の原則を強化する「トラストレス宣言」を発表 中央集権化に警鐘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

トラストレスこそがイーサリアムの核心

イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏と他2人のイーサリアム財団研究者が、「トラストレス宣言」(Trustless Manifesto)を公開した。同宣言では、イーサリアムの核心であるトラストレス(信頼不要)の原則を強調。エコシステムが急速に成長しスケーリングが進展する中、利便性を優先した中央集権化のリスクに抵抗するよう開発者に呼びかけている。

宣言は、イーサリアム財団によってオンチェーン上に公開され、永続的に保存される形をとっている。

イーサリアムを構築する目的は、「盲目的な信頼よりも検証を選択する」ことであり、権力を信頼したり仲介者の許可に依存することなく、世界中の誰もが協調することで、「人々を自由にする」ためだと主張。また、トラストレスこそがイーサリアムの本質であり、信頼できる中立性を達成する方法だと述べた。また、トラストレスは後から追加可能な機能ではなく、設計段階から「数学とコンセンサスのみに正当性と公平性が依存し、決して仲介者の善意に依存しないシステム」を構築することが重要だと説明した。

それがなければ、効率性・UX・スケーラビリティといった全ては、脆弱なコアの上の飾りにすぎない。

成功の指標は、「1秒あたりのトランザクション数ではなく、1トランザクションあたり、どれだけ信頼を減らせたか」だとしている。

トラストレスの原則

トラストレスの定義は、「誠実な参加者が誰でも、許可なしに、恐れることなく参加し、検証し、行動できる状態」であり、以下の六つの核心的な要件を含む。

  • 自己主権:ユーザーが自身の行動を直接承認。
  • 検証可能性:公開データに基づく数学的検証。
  • 検閲耐性:合理的な時間枠内でブロック不可。
  • オペレーターの交換可能性:許可なく他が代替可能
  • 実用的なアクセス可能性:専門家や資本家以外でも利用可能
  • 透明なインセンティブ構造:明確なプロトコルルールで管理

これらの要件を一つでも満たさない場合、システムは「プロトコルからプラットフォームへ、中立的基盤から私有財産へ」変質すると警告した。

加えて、トラストレス設計では、単一主体が重要秘密を保持しない、置き換えできない仲介者を置かない、そして検証不能な結果を持たない、という三つの法則を明確にした。

このような法則に従うことはとても厳しく、冗長性、開放性、複雑さを必要とし高コストだが、トラストレス性を保証してくれる唯一のものだと強調。信頼を前提とした近道は、自由を犠牲にしてしまうと警告した。

分散化の侵食

宣言では、利便性によって、分散化がいかに容易く侵食されていくかを「信頼への依存への潮流」と表現し説明している。

  • ホスト型RPCがデフォルトとして機能
  • AWS、GCP、Cloudflare等への依存によって単一障害点が生じる
  • アップグレードキーの残存
  • 中央集権型取引所へカストディ委任
  • 多くのロールアップで、集中型のシーケンス処理が行われている
  • クロスチェーンの相互運用性が新たなゲートキーパーに

それぞれの選択は「無害で一時的なもの」であり、中央集権化とは異なる「単なる快適さ」に見える。しかし、それが習慣となり、習慣が依存へと変わっていく。気がついたときには、参加は一握りの人だけが動かせるインフラに依存し、検証は専門家だけの特権になると、ブテリン氏らは警告している。

分散化は乗っ取りではなく、便利さによって侵食される。それは自動的に、絶え間なく、信頼への依存へと流れていく。

今後の方向性と誓約

イーサリアムがスケールした今こそ、誠実さを保つことが重要だと宣言は強調。イーサリアムを重要たらしめた以下の特性を維持する必要があると述べた。

  • ユーザー自身が行動を開始
  • 誰でも検証・参加可能
  • 誰も密かに排除されることはない
  • 論理は信頼契約ではなくコードの中にある
  • 包摂は評判や許可ではなくインセンティブに基づく

トラストレスは完璧ではないが、失敗すらも公に、透明性を持って、回復が可能な仕組みだと付け加えた。

最後に宣誓宣言として、「困難であっても、トラストレスなシステムの構築を選ぶ」と言う強い意志を表明。トラストレスはコンセンサスだけでは守ることはできず、抵抗によって守られると強調した。

トラストレスは土台であり、その他すべてはその上に築かれる構造物だ。 デザインは変わるが、原則は変わらない。

関連:イーサリアム元開発者が財団批判 ヴィタリックの影響力と支配層の存在を指摘

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