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Arbitrum DAO、凍結済みの111億円相当イーサリアム放出を承認  被害補償へ前進も法的制約が浮上

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • Kelp DAO流出被害の救済へ、凍結済みの3万ETH放出を承認
  • 米裁判所の差し押さえ命令が障壁に、北朝鮮関連の判決が影響

被害者救済に向けた3万ETHの放出を承認

Arbitrum DAOは8日、ガバナンス投票を実施し、セキュリティ評議会によって凍結されていた30,765.67ETH(111億円相当)を被害者救済のために放出することを圧倒的多数で承認した。

この資金は、先月発生した仮想通貨ステーキングプロトコル「Kelp DAO」における不正流出事件の影響を緩和するため、Aave LabsやLayerZeroらが主導する救済イニシアチブ「DeFi United」へと送られる予定だ。

今回の投票では、全投票権の90.96%にあたる1億8,220万票が放出に賛成し、棄権は約9%にとどまった。この承認により、ArbitrumはDeFi Unitedへの最大の寄付者となる見通しであり、流出によって不足していたrsETHの裏付け資産を補填し、DeFi(分散型金融)エコシステム全体の安定性を回復させる重要な一歩となることが期待されている。

事件の背景には、2026年4月18日に発生したLayerZero基盤のブリッジを悪用した攻撃がある。北朝鮮のハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」の関与が疑われており、単一署名者構成の脆弱性を突いて116,500rsETHが不正に引き出された。攻撃者は奪取した資産をAaveに担保として預け入れ、多額のWETHを借り入れることで、プロトコルに約1億9,000万ドル(300億円相当)の不良債権を生じさせていた。

関連記事:アーベがケルプDAO攻撃者の資産を強制清算、2.9億ドルの被害回復が前進

分散型貸付プロトコルのAaveは5月7日、Kelp DAO攻撃者のrsETHポジションを清算したと発表した。DeFi United主導の救済計画に基づき、確保された約3.2億ドルの資金を用いて被害を受けたユーザーへの補償と市場の安定化が進められている。

米裁判所の差し押さえ命令と法的リスクの懸念

しかし、承認された30,766ETHの移転は、米連邦裁判所が出した資産移動の制限命令によって阻まれる可能性が浮上している。

5月1日に下されたこの命令は、北朝鮮に対するテロ被害賠償を求める複数の原告団による申し立てに基づくものであり、凍結されたETHを北朝鮮関連資産として差し押さえ、賠償金に充当することを目的としている。

仮想通貨弁護士のガブリエル・シャピロ氏は、裁判所による資産剥奪に関する公聴会が開催されるまで、Arbitrum DAOは対象資金に対して一切の操作を行うことができないと指摘した。

これに対し、Aave LLCは連邦裁判所に緊急動議を提出し、攻撃の実行犯がラザルスであるという証拠が不十分であることや、盗難資産の再取得は所有権の取得と同義ではないと主張し、命令の無効化を求めている。

DeFi Unitedには、すでにConsensysのジョセフ・ルービン氏による3万ETHの拠出や、Mantleによる3万ETHの融資などが集まっているが、Arbitrumによる大規模な資金拠出の行方は司法判断に委ねられることとなった。被害者救済と国際的な賠償請求が対立する異例の事態となっており、今後の裁判の進展が被害補償のスピードとDeFi市場の信頼回復に大きな影響を与えることになる。

関連記事:DeFi(分散型金融)とは?仕組み・始め方・リスクを完全解説【2026年版】

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