はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨を有価証券の対象外に 「米トークン分類法」へなぜ業界から批判?|法律の概要と重要性

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

米有識弁護士、「トークン分類法」法案に対して厳しい声
仮想通貨を「デジタルトークン」と明確に位置付け、米国証券法の対象外とすることを目指した法案「トークン分類法」 。米議会に再度提出され、規制の明瞭化を促進するものだとして、有価証券に悩む仮想通貨業界を変える法律として大きな注目を集めたが、業界専門家からは厳しい評価が出てきているという。それはなぜか?法律そのものはどのような概要か?解説を行う。

米有識弁護士、「トークン分類法」法案に対する厳しい評価

仮想通貨を「デジタルトークン」と明確に位置付け、米国証券法の対象外とすることを目指した法案「トークン分類法」 。米議会に再度提出され、規制の明瞭化を促進するものだとして、有価証券に悩む仮想通貨業界を変える法律として大きな注目を集めているが、米ワシントンDCの弁護士で仮想通貨や有価証券訴訟関連に詳しいJake Chervinsky氏は、この法案に対して厳しい評価を下した。

悪いが、私は新しいトークン分類法が好きではない。

どのようにデジタルトークンを規制するかを明確にする法律が必要だと強く思うが、この法案は効果的ではない。この法案は規制の不明瞭性を増すことはあっても、減らすことはない。次のような理由からだ。

トークン分類法案(TTA)は、1933年の証券法および1934年の証券取引法を改正し、証券の定義を修正することで、新しい資産クラスとして分類される「デジタルトークン」が有価証券の対象外となるようにしようというもの。

現行の証券法では、有価証券の発行者には、米証券取引委員会(SEC)への登録が義務づけられており、有価証券に該当するかどうかの判断には、Howey テストといわれる規定が用いられている。

問題は、仮想通貨が有価証券の一種である「投資契約」とみなされる可能性もある中で、Howeyテストには、判断基準に曖昧な部分も多く、仮想通貨業界は、常に規制上の不確実性に悩まされてきた。

トークン分類法は、仮想通貨を新しい資産クラスである「デジタルトークン」と定義し、証券法の範囲から明示的に除外することで、この問題を解決しようするもの。そのため、トークン分類法のデジタルトークンの定義を満たしている限り、仮想通貨の発行体や企業は、Howeyテストの判断基準に憂慮することはなくなる。

しかし、Chervinsky氏は、そのデジタルトークンの定義の曖昧さは、Howeyテストの上をいくものだと主張している。

少なくとも、Howeyテストには、完ぺきではないものの、これまで長年にわたり積み重ねられた多くの判例や解説という、判断のよりどころとなる法的基準も存在するが、新しいトークン分類法におけるデジタルトークンの定義には、それが全くないと同氏は指摘している。

「トークン分類法」の不明瞭さとは

仮想通貨が有価証券にあたるかどうかの判断には、Howeyテストの「トークン購入者の利益に対する期待が『他人の努力に基づいている』かどうか」が焦点となり、そのため、「十分に分散化された」 事実が重要な判断要素となってきたという。「ビットコインとイーサリアムは有価証券に該当しない」という見解をSECが示したのは、この事実に基づいている。

Chervinsky氏はデジタルトークンの定義に関して次のような曖昧な言い回しを指摘し、疑問を投げかけている。

・「共同統制下にある人が、変更することはできない…作成および供給の規則に従って」作成されたトークン

ー「統制」とは? 「影響」とどう違うのか?

ー「共同」とはどのような関係を指すのか?

・「改変または改ざんに強い」データ構造にトークンを記録すること

ー最も集中化された非ブロックチェーンデータベースでさえも、何らかの形で「改ざんに抵抗する」のでは?

 

ープライベートサーバー上のパスワードはどうなるのか?

・「会社または共同経営に対する経済的な利益」を表すトークンは除外する

ー「会社」「共同経営」という言葉の意味する範囲が広すぎる

Chervinsky氏は、これらは一部の例に過ぎないとして、次のように結論を下している。

このトークン分類法案がHoweyテストに関する不確実性を解決するとは思わない。その不確実性を、単に、何年もの訴訟を必要とする異なる要素に置き換えているに過ぎない。

Chervinsky氏 は、他の仮想通貨を支援している弁護士も、同様な懸念を持っていると述べ、数々の例を挙げている。

デジタルトークンの定義が、非常にあいまいになっている!

全くのたわごとだ!

Chervinsky氏は現行の証券法は、仮想通貨特有の課題に対処するためには十分ではなく、仮想通貨業界を前進させるため、証券法の改正の必要性を強調している。しかし、現在の規制の曖昧さを、今提案されているトークン分類法により新しい曖昧さに置き換えることだけは、避けるべきだと結んでいる。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/03 木曜日
12:04
ビットコイン反発で11万ドルに接近、Bitfinex分析ではQ3の季節性要因を警戒
仮想通貨取引所ビットコインは前日比+2.6%の108,733ドルまで上昇。Bitfinexレポートによると、4月安値から50%反発後は10-11万ドルのレンジ相場に移行し、第3四半期の季節性要因で平均リターン6%の「最弱四半期」を警戒する。一方、米国初のソラナステーキングETFが取引開始し初日3,300万ドルの好調なスタートを記録。
09:50
「ビットコイン保有者の大多数が含み益、HODLが主流に」Glassnode分析
Glassnodeの週次レポートによると、仮想通貨ビットコイン投資家の大多数が含み益状態で、長期保有(HODL)が市場の主要メカニズムになっている。
09:31
米SIFMA、証券トークン化の規制作りでSECに要望書簡送付
米SIFMAはSECに対し、RWAに分類される株などの証券のトークン化に対する規制整備について提案を行った。オープンで透明性の高いプロセスを通して、ルールを作るべきだと主張している。
08:55
米テック富豪ら、仮想通貨向け銀行「Erebor」設立を計画=報道
ピーター・ティール氏らテック投資家が仮想通貨企業向け銀行Erebor設立を計画。全米銀行免許を申請、シリコンバレー銀行の後継を目指す。
08:20
米上場の中国系アパレル企業アデンタックス、ビットコインを最大12000BTC買収へ
ナスダック上場の中国系企業Addentaxが最大1万2000BTCの買収で基本合意。約13億ドル相当を株式交換で取得予定、5月発表の8000BTCから規模拡大。
07:55
ブラックロックのIBIT、手数料収入が「S&P500ETF」超え
ブラックロックの仮想通貨ビットコインの現物ETF「IBIT」は、同社のS&P500のETFよりも手数料収入を生み出していることがわかった。IBITはビットコインETFの資金フローを主導している。
07:30
ドル指数が2022年以来の安値に、ビットコインや金に与える影響と今後の見通し=Cryptoquant分析
Cryptoquantが2日に発表した分析によると、ドル指数が2022年来安値を記録する中、ビットコインは膠着状態が続く。長期保有者の含み益減少も指摘。
06:55
ビットコイン、2025年後半に20万ドル到達目標を維持=スタンダードチャータード銀
スタンダードチャータード銀行のケンドリック氏がビットコイン20万ドル予測を維持。ETFや企業購入の拡大により2025年後半に史上最大の上昇を見込むか。
06:10
リップル、米国銀行ライセンス申請 サークルに続く動き
リップルが米通貨監督庁に国家銀行免許を申請。RLUSDステーブルコイン規制対象化とサークルとの競争激化が注目される。
05:50
オープンAI、ロビンフッドの株式トークン化サービスとの提携を否定 未承認でトークン発行か
OpenAIがロビンフッドの株式トークンサービスへの関与を公式否定。未上場企業トークン化における先買権問題が浮き彫りに。
05:35
米SEC、BTCやXRP投資のグレースケール仮想通貨投信のETF転換承認を再検討
米証券取引委員会がグレースケールの仮想通貨信託「Digital Large Cap Fund」のETF転換承認決定を再検討。NYSE Arca上場承認が一時停止状態に。
04:24
仮想通貨のサイバー攻撃にどう備える?|実例から学ぶ取引所の対策と自己防衛法
暗号資産のサイバー攻撃リスクと、取引所のセキュリティ対策、個人で実践できる防衛策を初心者向けにわかりやすく解説します。
07/02 水曜日
18:40
BITPOINT、カルダノ(ADA)保有者向けNIGHTエアドロップを検討開始 
ビットポイントジャパンがMidnight財団と国内初連携。カルダノ(ADA)保有者やステーキング参加者に「NIGHT」トークンのエアドロップ参加機会を提供。2025年7月開始予定の「Glacier Drop」メカニズムの詳細と参加条件を解説。
13:45
トランプ大統領、イーロン・マスクに対する批判を再び展開、 『大きく美しい法案』巡る対立が再燃
「大きく美しい法案」をめぐり、トランプ大統領とイーロン・マスク氏の対立が再燃している。マスク氏の痛烈な法案批判に対し、トランプ氏は、マスク氏が率いる企業の政府補助金受給について政府効率化局(DOGE)で調査すべきと発言し、かつて盟友だった両氏の関係は緊迫感を増している。
13:20
アリゾナ州知事、押収仮想通貨の準備基金法案『HB2324』を拒否権行使
アリゾナのホブズ知事が犯罪捜査で押収した仮想通貨管理法案を拒否。地方自治体の協力阻害を懸念と声明。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧