- 仮想通貨取引所ErisXのがCFTC清算機関ライセンス取得
- ErisXが米商品先物取引委員会より「清算機関ライセンス(DCO)」を取得。年内に現物受渡し先物を機関投資家に向けて開始する。ビットコイン以外の先物提供の可能性にも注目が集まっている。
ErisX、現物決済ビットコイン先物提供可能に
米機関投資家向けの仮想通貨取引所ErisXは2日、米CFTC(商品先物取引委員会)より「清算機関(クリアリングハウス)ライセンス(DCO)」を取得したことを、公式に発表した。このライセンスの取得により現物決済の仮想通貨先物商品をサードパーティに頼らずに自社提供することが可能になった。
ErisXの現物決済先物ローンチに関する重要性のひとつには、ビットコインだけなく、アルトコイン(具体的な銘柄は明記されていない)に紐づいた先物が提供される可能性もある点にある。
ErisXは、ナスダックやフィデリティ等の米大手企業や日本のマネックスグループから30億円以上の出資を受けた仮想通貨取引所であり、4月にもBTC、BCH、ETH、LTCとの4つの現物取引サービスを機関投資家に向けて開始している。
ErisXは、CFTC規制下の「指定契約市場ライセンス(DCM)」の取得を行なっていたため、先物の提供自体の認可はおりていた状況にあったが、清算機関ライセンス(DCO)を取得したことによって、仮想通貨現物決済先物を自社提供することが可能となった。ローンチ日時を年内を予定している先物の提供に大きく前進した格好だ。
指定契約市場(DCM)とは
指定契約市場として認定された取引所は、先物商品とオプション商品を自主認定する権限を持つ。例として、以前CMEとCboeがビットコイン先物を開始する際も自主認定を利用し、サービス開始直前にCFTCに商品の申請を行なっている。(事前申請が必要ない)
もちろん自主認定にも制限があり、CFTCのルール・商品取引法を違反してはいけないが、指定契約市場にはその権限が付与されているため、新たなコントラクトの追加ハードルが低く、CFTCに認定される可能性が高いという。
つまり、清算機関ライセンス(DCO)と指定契約市場ライセンス(DCM)を確保したErisXは、ビットコイン先物を提供するCMEや、NYSEの親企業「ICE」のような既存の金融機関に等しい規制を遵守し、仮想通貨の関連商品を提供する金融企業になる。機関投資家の参入をより容易にするファウンデーションを築いている。
米初の現物決済BTC先物を提供する企業はどれかBakkt
先週、CFTCが、米仮想通貨デリバティブ商品を提供するLedgerX社を指定契約市場(DCM)として認可した。よって、すでにDCOを取得しているLedgerX社もErisXのように、現物決済ビットコインの先物取引を取り扱うことが可能となった企業の一つとなる。
LedgerX先物の具体的なローンチ日時は明らかにされていないものの、COOのJuthica氏は「Bakkt」よりも先に、米国で初めて現物決済のビットコイン先物を提供したいと、強い意欲を見せており、半年を切った2019年も、新たな現物決済ビットコイン先物の誕生は間近との見方も強まっている。
一方、Bakktは現在NYにおけるカストディのライセンス申請を行なっており、以前から示唆していたビットコインの先物商品を、7月22日よりユーザー受け入れおよび取引のテスト(UAT)を開始している。
先物の提供予定が三つ巴の状況にあるビットコイン市場だが、2019年の年初にかけて、多くの先物提供が現実味を帯びてきた。
すべての先物において正式ローンチはわかっていないが、CME出来高推移で需要拡大が見えてきている米国の先物商品なだけに、機関投資家向けに初めて米国で取引される現物決済先物の提供は、市場に対する起爆剤として期待されている。
これら3社の現物決済先物で、もっとも早く提供に乗り出す企業はどれか、市場からの関心は非常に高まっている。