ワールド(WLD)とは
ワールド(WLD)は、米OpenAIのCEOであるSam Altman氏が共同創業者として設立したプロジェクト。個人認証技術を基盤としたベーシックインカムの構築を目指していて、生体情報と引き換えにトークンを受け取ることができるユニークな特徴がある。
ワールドチェーンはイーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンで「Orb(オーブ)」と呼ばれる虹彩をスキャンする生体認証デバイスを利用してWorld IDを取得し、WLDトークンを獲得することができる。
ゼロ知識証明技術を活用し認証済みのユーザー情報を非公開かつ安全に保持される。
価格
- 現在価格(2024年10月30日時点):2.083ドル(約320円)
- 年初来高値(2024年3月):11.95ドル(約1830円)
- 年初来騰落率(YTD):-42.38%
- 過去最高値(2024年3月):11.95(約1830円)
価格予測
24年2月:ワールドコイン(WLD)急騰、OpenAIの動画生成AI「Sora」発表で思惑上げか
24年7月:仮想通貨ワールドコイン高騰、開発チームによるアンロック期間の緩和発表で
時価総額|関連銘柄
ワールド(WLD)の時価総額は2024年10月時点で約12億ドル、「アイデンティティ(DID)」セクターの中ではトップに位置する。同セクターで2位のGAL(Galxe)の時価総額は約2億4千万ドル。以降は、G(Gravity):約2億3千万ドルが追従する。
主な出来事
- 2023年10月:仮想通貨ワールドコインの分散型ID、RedditやMinecraftなどで利用可能に
- 2024年9月:ワールドコインのワールドID、ソラナブロックチェーンで利用可能に
- 2024年4月:ワールドコイン、ベーシックインカム向け仮想通貨WLDのトークンセールを計画
- 2024年9月:ワールドコイン、アプリユーザー向けの顔認識技術を試験導入へ
エコシステム支援組織
Toold for Humanity: 構成な経済システムを確保するために設立されたテクノロジー企業。ワールドの開発、プロジェクトの推進を行なっている。
ワールドコイン財団: ケイマン諸島に設立された財団法人でワールドネットワークを管理、運営を行なっている。2020年にOpenAI CEOのSam Altman氏と量子情報科学と機械学習の専門家のAlex Blania氏によって設立された。理事会はケイマン諸島を拠点とする4人によって運営されている。
World Assets Ltd.: ヴァージン諸島に設立された事業会社。ワールドネットワークのコミュニティに割り当てられたWLDの75%を配布する責任を負っている。
トークンアロケーション
WLDトークンの割り当ては、コミュニティに75%、TFH Invester(初期投資家)に13.5%、初期開発チームに9.8%、TFH Reserve(準備金)に1.7%が配布される。
発行上限は100億WLDトークン。共同創業者の一人であるAlex Blania氏によると100億WLDの内80億WLDは世界中に配布され、残りの20億WLDはワールド財団と投資家のために確保される。
ワールドプロジェクトの目的の一つに「地球上のすべての人間にWLDを提供する」を掲げており、今後の流通量増加が予想される。
- 資金調達総額:約2億4千万ドル
- 大規模な投資ラウンド:(2023年5月、1.15億のシリーズC資金調達ラウンド)
- リードインベスター:Blockchain Capital
- フォロー投資家:Andreessen Horowitz(a16z)、Distributed Grobal、Bain Capital Crypto
ワールド(WLD)の将来性
期待される今後の動向
2024年10月18日にワールドコインからワールドネットワークに名称を変更し、World Chainが正式にメインネットとして稼働した。
2024年10月現在、1500万人のWorld ID保有者とWorld Appユーザーがワールドチェーンに移行をしている。個別に認証された人間の数が最も多いブロックチェーンで、今後は更に多くのDID(分散型ID)を活用したプロダクトが展開されることが予想される。
World ID 3.0
人間の生体情報でプロトコルの証明を行う際のプライバシー、セキュリティ、スケーラビリティの性能を向上させる新機能が導入された。
今回のアップデートでNFC対応の物理的なパスポート情報をデバイス上のワールドアプリにオプションで保存できるようになった。保存されるデータはデバイス外に保存されず、ワールド財団、TFH、その他第三者がアクセスすることが出来ないとのこと。このアップデートによって、実際の身分を明かすことなく年齢や国籍、パスポートの固有の所有権を証明することが可能となった。
その他のアップデート内容としては、ディープフェイクの脅威への対抗としてWorld ID Deep Faceが導入される。一般的なビデオ会議やビデオチャットアプリとして動作し、リアルタイムのオンライン上のやり取りで実際に通信している人物を検証し、ディープフェイクであれば検出される。
ワールドプロジェクトではプロダクトのアップデートが継続的に実行されておりエコシステムの拡大が期待される。
提携の増加
2024年10月9日にワールド中核企業であるTools for Humanityと株式会社博報堂が業務提携をした。今回の業務提携により個人認証システムの「World ID」の日本における普及拡大が見込まれる。
また、ワールド財団とTools for Humanityがマレーシア政府と覚書(MoU)を締結し、覚書の一環としてマレーシアでの新規事業の立ち上げによるオーブを使用した個人への人間性認証へのアクセスを可能とした。
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投資リスク、懸念材料
プライバシー保護の観点から問題視されることがある。2024年5月22日には香港の個人データプライバシー委員会から香港の個人データ条例に違反していると認定された。オーブを使用し、人々の虹彩データや顔の画像収集を行うことは不必要・過剰であり条例違反であるとされ活動の即時停止を命じられた。
2023年12月に「World ID 2.0」では、虹彩データを提供しなくてもIDが作成可能になり、自分のデバイスにデータを保管できるようになるなど今後も情報保護の強化が期待される。
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