- 仮想通貨取引所バイナンスが資金洗浄疑惑の口座を凍結
- 大手取引所のバイナンスが約20億円相当とされる93000ETHを資金洗浄した疑いでロシアの仮想通貨取引所WEXの口座2つを凍結した事を発表。
- 浮き彫りとなる業界の課題
- 今回の事件は仮想通貨業界の発展のために力を尽くす企業の努力を踏みにじるものだが、仮想通貨業界全体として悪いイメージを払拭するかが今後の課題と言える。
バイナンスが資金洗浄疑惑の口座を凍結
ロシアの仮想通貨取引所WEXが約93000ETH (約20億円相当)の資金を仮想通貨取引所バイナンスで資金洗浄していた事が判明した。
Wexはロシアを拠点とする仮想通貨取引所で、ビットコインやイーサリアムの顧客資産の出金を7月から停止しており、問題視されていた。
WEXは十分な説明も与えないまま出金を停止したことから、被害にあったユーザーは今月ロシア当局に事件を申し出ており、WEX詐欺の被害者サイトも立ち上げられているほどだ。
Wexのアカウントを監視していた被害者ユーザー団体からの申告を受け、バイナンスは8月から10月にかけ25回に渡り、総額93000ETHを移動した2つのアカウントを25日に凍結していた事を公表した。
またツイッター上でロシアの仮想通貨取引所Wexのコールドウォレットから大量の仮想通貨をマネーロンダリングされている事を指摘されるとバイナンスのCEOであるCZ氏は以下のように返答を出した。
the identified accounts are frozen, please report to law enforcement and have a case number. We will work with LE. This is part of centralization we hate too, dealing with other exchange's mess (we don't even know the details). But we will do what we can. https://t.co/tgyYI5ptqx
— CZ Binance (@cz_binance) 2018年10月30日
指摘された口座は凍結されたので、警察に届け出てください。我々は全面的に協力する。
我々もこの事情を知らなかったが、できる最善は尽くすつもりだ。
Wexの拭いきれない疑惑
仮想通貨取引所WEXは実は以前から問題視されていた。
WEXのインフラの元となっているのは昨年7月にMt.GOXから盗難されたビットコインを資金洗浄していた事からアメリカ政府に運営停止させられたBTC-eだ。
またBTC-eの元運営者であるAlexander Vinnik氏は2013年に世界を揺るがしたMt.Gox事件から流出したビットコインを所有していた疑いでギリシャで逮捕させられている。
そのような過去を一新しようと、BTC-eを買収し、再発進する形でWEXとなった取引所は一時期順調に進んでいたが、取引ペアにおける価格の乖離が生じていた。
そして今回WEXが資金洗浄をしている疑いが高まっているというわけだ。
浮き彫りとなる今後の課題
今回の事件に対して全面的に協力を示しているバイナンスやニューヨーク州のビットライセンスを取得している取引所コインベースを皮切りに、多くの仮想通貨企業は業界の正当化、仮想通貨の悪いイメージ払拭に尽力してきている。
事実、仮想通貨やビットコインのイメージはMt.Gox事件直後やシルクロードが話題とされていた数年前よりは格段と向上しているといっても過言ではない。
またコインチェック事件などがありながらも、日本では10月24日に日本仮想通貨交換業協会が金融庁から自主規制団体として認定を受けており、各国政府からも仮想通貨およびブロックチェーンを正当な業界として規制していく姿勢を見せてきている。
しかし、このような事件は信頼性を築こうと努力している多くの仮想通貨企業の努力に泥を塗っているのと変わりない。
仮想通貨業界全体が今後克服し続けなければならないのは、WEXのように一部の企業が築くイメージとどう差別化を図り正当性のあるブランドと印象を築くかである。
そうした意味でバイナンスのCZ氏が規制当局への「全面的な協力」をする姿勢を示している事は評価に値すると言ってよいだろう。