はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「仮想通貨税制に関して国の政策はどうするか?」仮想通貨税制を変える会・第3回公演レポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨税制を変える会、第3回講演会
藤巻健史議員が会長を務める「仮想通貨税制を変える会」の第3回講演会が議院会館で開催され、コインポスト編集部も参加した。今回は、ゲスト登壇したTAOTAOの創業者、尹煕元氏の講演を含めたレポートをお届けする。
藤巻健史議員プロフィール
参議院議員。「日本維新の会」政調会長代行。元モルガン銀行東京支店長。ジョージ・ソロス氏アドバイザーを歴任。

金融知識に精通し、仮想通貨市場を盛り上げるべく活動する国会議員。「仮想通貨の税制改正」について国会で問題提起するなど、仮想通貨及びブロックチェーン業界の発展に尽力している。

▶️Twitter:藤巻健史(@fujimaki_takesi)

仮想通貨税制を変える会、第3回講演会

10日、参議院議員の藤巻健史議員が会長を務める「仮想通貨税制を変える会」の第3回講演会が参議院会館で開催され、コインポスト編集部も参加した。今回はTAOTAOの創業者、尹煕元氏の講演を含めたレポートをお届けする。

(会場が撮影・録音禁止のため、写真掲載はなし。発言内容には一部意訳が含まれます。)

藤巻議員は講演会の冒頭、悪天候の中、大勢にお集まり頂いたと謝辞を述べ、国会での取り組みなど、仮想通貨税制を変えるための活動に関する進捗状況を会員に向けて報告した。

同会は、国会に国民の声を届けるためには「数の力が必要」だとしてサポーターを募集しており、無料で登録することが可能だ。4月12日時点で会員数7,300人を突破しており、第一目標として10,000人超えを目指している。

藤巻議員が発足させた『仮想通貨税制を変える会』のサポーターが5000名突破|税率20%の分離課税を政府に提言
藤巻議員が『仮想通貨税制を変える会』を発足させた。ビットコインなど税制改正に関して以下の4点を掲げ、サポーターを募っている。 ●最高税率55%の総合課税から20%の分離課税へ ●損失の繰越控除を可能に ●仮想通貨間の売買を非課税に ●少額決済を非課税に

税制改正に関して以下の4点を掲げている。

・最高税率55%の総合課税から20%の分離課税へ

・損失の繰越控除を可能に

・仮想通貨間の売買を非課税に

・少額決済を非課税に

関連記事

仮想通貨に関する「日本の課税制度」4つの問題点|ビットコイン高騰を受け、関心高まる
藤巻健史議員が発足した「仮想通貨の税制を変える会」の活動と現行の課税制度の問題点についてファイナンシャルフィールドが報じ、Yahoo! JAPANに掲載された。ビットコインなど仮想通貨市場の高騰や、JR東日本のSuicaの導入検討でも関心が高まっている。

藤巻議員のお話

「税制を変える会」の活動としては、良い方向に進んでいる手応えがある。

国会で質問を繰り返しているが、国会議員や役人は、きちんと国会で答弁できないと問題視されるため、事前に勉強する必要がある。

また、議論の下地が出来始めたことで、学者の先生たちが議論してくれるのは大きなメリットだ。

第2回公演で千葉商科大学の泉先生は、「国税当局が、暗号資産を”雑所得”ではなく、”譲渡所得”であると認識しているのは、暗号資産の資産性を否定しているのでは?」 という問い掛けがあり、これを国税にも追求している。

日本の所得税は10種類に別れている。その中でも、9に含まれないのが最高税率55%で、繰り越しもできない雑所得であり、これは納税者にとって一番不利な範疇にある。

税区分におけるポイントは、他の9つに入らないことだ。すなわち、暗号資産の税制に関して国税当局は、「譲渡所得」でないことを証明する必要がある。

税務当局は、財政金融委員会などで、資産であるということは認めてきたが、譲渡所得に入らないと主張している。

なぜ、この主張がおかしいか?

租税法の最高権威である金子弘先生が、学説上は「仮想通貨ビットコインは、譲渡所得に起因する資産になり得る」と定義している。

国税当局側に、暗号資産が譲渡所得であるとの認識がなかったとしても、租税法の大家の先生の主張とも食い違っているため、国税当局は、この学説を否定する必要がある。

「学説的に『雑所得、譲渡所得、一時所得』という様々な見解がある中、最も納税者に不利な税制にするのは日本の将来のためにはならない。」と、安倍総理や麻生財務大臣ら、日本政府に進言している。これは、日本の将来を踏まえて決定する政策的な問題だ。

税制改革は1年に1回なので、日本政府には経済を良くする税制を目指すため、「源泉分離課税か、最低でも仮想通貨(暗号資産)は譲渡所得である」と認識させたい。

TAOTAOの創業者が登壇

ヤフー100%子会社であるZコーポレーションが出資する仮想通貨交換業者「TAOTAO(旧:ビットアルゴ東京)」の創業者であり、金融関連研究会社(株式会社シーエムディーラボ )の代表である尹煕元氏が、第3回講演会のゲストとして登壇。

お金や経済の話から、仮想通貨(暗号資産)税制に関する貴重な見解を述べた。

尹煕元氏のお話

私たちが普段使っている”お金”の定義を再認識するきっかけとなったのが、仮想通貨だと考えている。

あくまで一つの学説になるが、「21世紀の貨幣論」という本を参考にすると、お金はギリシャ時代に端を発する。生物の本能は「弱肉強食」で、物を奪うということだが、知能の高い人間は「物々交換」という手段を覚えた。

交換の記録のために帳簿を使用し始め、帳簿を使用しなくても、財産権を交換しようというのがお金だとされている。仮想通貨(暗号資産)は、これまでの『財産の交換手段であるお金の在り方』を問うテーゼだと認識している。

2008年に公開された「サトシ・ナカモト」の論文は、仮想通貨のバイブルだが、論文の中にブロックチェーンという言葉はない。

通貨の管理をインターネット上のプログラム、アルゴリズムで行ったらどうか?方法論として、暗号技術を使用すれば上手くいくのでは?といった手段の提示であり、「誰がお金を管理するべきなのか」という事を、哲学的に考えさせる論文である。

お金(コイン)を帳簿の補助として使い、その移転の記録を維持させるつけるためのインセンティブ設計に上手く組み込んで、コスト維持の問題を解決している。この大いなる実験を始めているのがビットコインだ。

通貨と資産の概念

今までの仮想通貨は、改正資金決済法で通貨の機能が規定されていた。

お金に関する「通貨の機能(カレンシー)」と「資産の機能(アセット)」は、今すぐ使うのか、1年後に使うのかという時間の尺度であり、その両方を併せ持つお金の構造には、ある種の矛盾が生じている。

日本の法律は、以下のように規定されている。

通貨資産
通貨の機能(決済、貸付)資産の機能(運用・ヘッジ)
資金決済法 銀行法 貸金業法金融商品取引法 保険業法
金利のような将来のリターンなど決められたプロトコル:守るべきは「約束」の履行不確かの収益化:守るべきは「正しい情報」の流通(見せ玉などは禁止)

ここに、サトシ・ナカモト論文によって、クリプトの概念が覆いかぶさってきた。(クリプトカレンシー、クリプトアセット)

税をどうするかによって、仮想通貨取引所などが海外に逃げて、ビジネスチャンスを外に逃してしまうかも知れない。逆に、インセンティブが国内にあれば、世界中の技術を国内に持って来るかも知れない。

税は公平でなければならないが、富は偏っている。そのため、経済の財の分布の構造を考えて税制をデザインする事は、有効な方法論の一つと思える。

例えば、所得でボリュームゾーンに対して課税すれば良いかというと、事はそれほど単純ではない。『現在と将来』の公平性を被せて考えていかないと上手くいかないのではないかと考えている。

ブロックチェーンと仮想通貨の関係性

「ブロックチェーンは良くて、仮想通貨はダメだ」という主張は、目的と手段を間違えているのではないか?

記録簿としてのブロックチェーンを維持するためには、インセンティブを持たせる必要があり、その手段として仮想通貨/暗号資産が活用されている。

暗号資産は、お金のあり方を問う技術。これに対する税制は、お金の流れに対して甚大な影響を及ぼす。

であるとするならば、「仮想通貨税制に関して、国は政策としてどうするのか?」という議論が日本にとって非常に重要であり、(将来的な)お金の流れを大きく変えられる可能性を秘めている。

未だかつて、そのようなことはなかった。

CoinPostの関連記事

仮想通貨に関する「日本の課税制度」4つの問題点|ビットコイン高騰を受け、関心高まる
藤巻健史議員が発足した「仮想通貨の税制を変える会」の活動と現行の課税制度の問題点についてファイナンシャルフィールドが報じ、Yahoo! JAPANに掲載された。ビットコインなど仮想通貨市場の高騰や、JR東日本のSuicaの導入検討でも関心が高まっている。
米国納税期限が15日に迫る中、米議員らがIRSに「仮想通貨税制度」の明確化を再要求
20人以上の米議員が、日本の国税庁にあたるIRSに対して、仮想通貨税制度の明確化を再要求した。米議会での「トークン分類法」の提出など、米国内で法整備に向けた動きが活発化している。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/17 月曜日
20:08
暗号資産の金商法移行が本格化、分離課税実現へ最終局面=ブロックチェーン議連
金融庁が暗号資産を金商法に位置づけ、インサイダー取引規制を整備する方向を明示。業界団体は20%申告分離課税を要望。来年の通常国会での法整備を目指す。第31回ブロックチェーン推進議員連盟で議論。
17:41
IG証券、仮想通貨ETF CFD取引を終了へ 金融庁の新指針受け
IG証券が仮想通貨ETF CFD取引の終了を発表。金融庁が「望ましくない」との見解を示したことを受け、12月1日から新規建て停止、2026年1月末までに既存ポジションの決済が必要に。
16:43
ステーブルコイン取り付け発生ならECB金利再考も、オランダ中銀総裁が警告=FT報道
欧州中央銀行の政策委員がステーブルコインの取り付け騒ぎ発生時にはECBが金融政策見直しを迫られる可能性があると警告。米ドル建てステーブルコインの急拡大が欧州の金融主権に及ぼすリスクについて、ECB当局者や専門家の懸念が高まっている。
14:32
ハーバード大のビットコイン投資が急増 IBIT保有を前期比257%拡大
ハーバード大学がブラックロックのビットコイン現物ETF(IBIT)保有を257%増加し、685億円相当を保有していることが明らかになった。これによりIBITがポートフォリオ最大の銘柄となった。
12:15
金融庁、資金調達目的の暗号資産発行者への情報開示義務化へ=報道
金融庁は資金調達型暗号資産発行者に年1回の情報開示を義務化する方針。金融審議会では継続開示の必要性や頻度をめぐり議論が展開。ICO・IEOの構造的課題も指摘され、2026年の金商法改正案に盛り込まれる見通し。
11:40
デッドクロス形成のビットコイン、市場心理は「極度の恐怖(総悲観)」水準で推移
ビットコイン急落に伴いテクニカル指標は弱気のデッドクロスを形成している。FRB利下げ期待の後退を受け、投資家がリスク資産から安全資産へシフト。市場心理は「極度の恐怖(総悲観)」を示す水準まで悪化した。デリバティブ清算が連鎖しETF大規模償還につながったが、専門家は感謝祭後の回復を予測している。
11:30
「ビットコインは底値圏に達した」金融大手JPモルガンのアナリストらが見解
JPモルガンが、仮想通貨ビットコインの価格を生産コストの観点から分析。底値に到達したとの見解を示している。同社はビットコインの目標価格を17万ドルとしている。
10:45
カードン・キャピタル、888BTC取得完了 不動産とビットコインの融合プロジェクト
不動産投資大手カードン・キャピタルが「101 Mizner Boca Bitcoinプロジェクト」向けに888BTCの取得を完了。年内で3,000BTC超を購入し、不動産収益でビットコインを継続購入する独自の融合モデルを展開。マイクロストラテジー戦略を不動産に応用した新たな投資手法として注目を集める。
09:49
アーサー・ヘイズ、保有していたアルトコイン大量売却か 実際の価値提供が必要との意見も
著名仮想通貨アナリストのアーサー・ヘイズ氏がイーサリアムやエセナなどのアルトコインを大量売却している。専門家は4年サイクル論の終焉と実需の重要性を指摘している。
11/16 日曜日
16:22
金融庁、暗号資産105銘柄の「金融商品」扱いを検討 金商法適用へ=報道
金融庁は暗号資産に金融商品取引法を適用し、交換業者が取り扱う105銘柄に情報開示とインサイダー取引規制を導入する方針。税率は最大55%から株式と同じ20%への引き下げを検討。2026年の通常国会で改正案提出を目指す。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、XRP現物ETFの米上場や世界初のZcash保有企業の91億円調達など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナ、ジーキャッシュといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン、下値余地残すも反発は時間の問題か|bitbankアナリスト寄稿
今週のBTC相場は1530万円周辺で推移。米政府機関閉鎖解除後もハイテク株軟調で上値重い展開。12月FOMC前の経済指標不足が懸念材料に。一方、STH損失レシオが95%超となり売られ過ぎの水準。オプションOI分析では9.5万ドルがターゲットに。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|米史上最長の政府閉鎖終了に高い関心
今週は『金持ち父さん貧乏父さん』著者ロバート・キヨサキ氏によるビットコイン・金・銀の価格予想、堀田丸正のBitcoin Japanへの社名変更、米政府の閉鎖終了に関する記事が関心を集めた。
11/15 土曜日
13:55
続落するイーサリアム、長期保有者が1日4.5万ETH超を売却=グラスノード
グラスノードによると、イーサリアムの3年から10年保有者が1日あたり平均4万5000ETH超を売却している。イーサリアム現物ETFも13日に2億6000万ドルの純流出を記録し売圧を高めている。
13:20
リミックスポイント決算発表、仮想通貨評価益で売上高が大幅増加
リミックスポイントが2025年4~9月期決算を発表した。仮想通貨評価益で売上高が大幅増加している。同社はビットコイン、イーサリアムなどの仮想通貨を財務資産として蓄積している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧