はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

『XRPの利用拡大とデジタル通貨の流れ』アフタービットコイン中島先生が語る|XMJ2019

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

XMJ:中島先生 講演内容
「XRP MEETTUP JAPAN 2019」に送金・決済領域のプロ、中島真志先生が登壇。銀行がODL利用を避ける理由や、仮想通貨リップル(XRP)の利用拡大に向けて何が必要かを解説した。

XMJ:中島先生 講演内容

今月10日に、都内で開催された「XRP MEETUP JAPAN」。

当日は、国内外の豪華ゲストを招いたイベント模様を、CoinPost Youtubeチャンネルよりライブ配信でお届けした。

本記事では、「アフター・ビットコイン」で知られる、麗澤大学で経済学部教授を務める中島真志先生の講演内容についてお伝えする。中島先生は、日本銀行に長年勤務(BIS:国際決済銀行にも勤務)しており、「SWIFTのすべて」などの著書がある、送金・決済分野のプロフェッショナルだ。

以下、中島先生のお話

リップルは、国際送金をブロックチェーンを使って、速く、安くかつ効率的に行うことを目的とした、SWIFTと競合するプロジェクトである。リップルが提供するプロダクトの中でも、XRPを使うサービスを「xCurrent」、XRPを使うサービスを「xRapid」と言い、それら2つのサービスを総称したものが「RippleNet」となる。

また、ここ最近では、XRPを使うサービスを「ODL(On Demand Liquidity)」としてリブランディングを行った。それに伴い、リップルネットのメリットとして、これまではスピードを強調していたが、流動性の節約をより押し出すようになった。これは、「SWIFTの送金スピード向上 を意識したものだ。

SWIFTの逆襲

SWIFTは、2017年から「SWIFT GPI」というものを開始する。このSWIFT GPIは、以下の4点を目標に掲げたものだ。

  • 国際送金の即日着金
  • 手数料の透明化
  • 送金の追跡可能性
  • レミッタンス情報の統一性

また、SWIFTは「トラッカー」という機能の導入もスタートする。これによって、送金ごとに番号が付けられるようになり、それらがクラウド上で管理されることで、どこの銀行を経由しているのかといった送金ステータスがリアルタイムで把握出来るようになった。

なお、現在約660行がGPIのライブ行になっており、クロスボーダー送金のおよそ60%がGPIを利用。GPIの利用予定行を含めると3660行になり、これはSWIFTの全ユーザー11000行の3分の1が、GPI利用の意向を示していることとなる。

GPI利用によって、送金全体の36%が5分以内、54%が1時間以内、24時間以内でみると全体の96%が着金が完了するようになり、送金速度で大幅な向上を遂げた。なお、24時間以内に着金しない4%については、着金国の規制によるものである。

そのようなSWIFTの大幅な機能向上は、競争がないところには改善は生まれない。「競合としてのリップルの登場が大きい」。リップルが流動性を強調するようになった点についても、SWIFTの機能向上が影響している。

銀行がODL利用を避ける理由

現在、リップルネットのユーザー行は200行以上にも上る。最新のリップル社レポートでは、300行を超えたとの発表もあり、ここ1年で約100行の増加を遂げているが、一方でODLの利用行は10行程度に留まっているのが現状だ。

なぜ、サービスの利便性にも関わらず、銀行はODLの利用を敬遠するのか。銀行に尋ねたところ、いくつかの理由が挙げられた。その理由を検討するにあたって、ODLの大まかな仕組みについて説明したい。

ODLを利用した送金の流れは、送金銀行から仮想通貨事業者A、仮想通貨事業者AからXRPレジャーを通じて仮想通貨業者B、そして仮想通貨事業者Bから受け取り銀行へ着金する形となる。

また、事業者Aから事業者Bへの送金時間は30秒程度で、銀行にとってその間のXRPの価格変動リスクがあるようにみえるが、事業者AB間でレートが固定される取り決めになっているのでリスクをとるのは事業者となる。

では、価格変動リスクもないとなると、なぜ銀行はODL利用に二の足を踏むのだろうか。その1つ目の理由が、「インターバンクの外に出すことに対する抵抗感」だ。

本来は、送金銀行から着金銀行への送金の流れはインターバンクの中で行われるが、ODL利用の場合は仮想通貨事業者を経由するため、インターバンクの外に一度出ることとなる。

口座開設リスク

2つ目の理由が、「仮想通貨事業者に口座を開設することのリスク」である。

例えば、経由する事業者がマネーロンダリングなどに関与していた場合、その事業者を利用する銀行の口座が使われていたことになるため、そうなると銀行に対して高額の罰金が課される可能性がある。そのリスクを踏まえると、特に大手の銀行は仮想通貨事業者との取引を避けるようになる。

以上の理由からは、仮想通貨事業者の信頼が、まだ銀行が取引をするに足りていない現状と、それがODL利用拡大の障壁となっていることが伺えるだろう。

XRP利用拡大に向けて

XRP利用拡大のためには、銀行が安心して使える仮想通貨事業者が不可欠である。課題解決の1つの施策として、銀行が共同で株主となり、インターバンク間での取引に特化した仮想通貨事業者を銀行間で設立することが考えられる。

ただ、そこで課題となるのが、採算がとれるのかという点だ。そして、そこを考慮した場合、現在よりリップルネットの参加行が増えることは前提となる。

したがって、XRPを使うことで、これまで両替のために置かれていたドルの預金(ノストロ口座の預金)が必要なくなり、その点でコストが削減されるため採算をとれる可能性がある。

国際送金のブリッジ通貨という目的の下では、銀行にとって使いやすくする仕組みを構築していくのが最重要だと考えている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/24 月曜日
11:47
ソラナのインフレ率を下げる改善提案 今後6年で2,230万SOLの発行量削減見込む
仮想通貨ソラナのコミュニティがインフレ減少率を引き上げる改善提案を公開した。目標インフレ率への到達が6年から3年に短縮する見込みだ。
10:25
「仮想通貨市場の弱体化、背景にマーケットメーカーの機能不全」トム・リーが指摘
ビットマイン会長が仮想通貨市場の下落が続いている要因を分析した。10月10日の清算イベントがマーケットメーカーを機能不全にしていると見解を示している。
11/23 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、ヴィタリック紹介のイーサリアム新ツールやXRPのステーキング導入案など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン売られ過ぎでも反転せず、12月FOMCの据え置きが現実味を増す|bitbankアナリスト寄稿
今週のBTC対円相場は1400万円割れまで下落。ヌビディア好決算後も1400万円割れが続き、米雇用統計の強弱まちまちな内容が見通し悪化を助長。12月FOMCでの金利据え置き観測が強まる。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|金融庁の暗号資産規制方針に高い関心
今週は、金融庁の仮想通貨規制方針、ビットコイン採掘割合の95%到達、ビットコインとイーサリアムの市況分析に関する記事が関心を集めた。
11/22 土曜日
13:45
ANAPホールディングス、企業向けビットコイン戦略支援「ビットコイン道場」を開始
ANAPホールディングスが企業のビットコイン活用を支援する継続型プログラム「ANAPビットコイン道場」の提供を開始した。会計や税務などの実務を専門家が包括的にサポートし、参加企業がコミュニティ形式で課題解決に取り組む仕組みを提供する。
13:02
コンヴァノがビットコイン戦略から本業回帰、AI・ヘルスケア事業に注力へ
コンヴァノが仮想通貨ビットコインを最大約2万BTC取得する計画を取り下げ、成長中の事業へ軸足を移す。業績予想を上方修正しており本業成長を重視する戦略転換となる。
10:55
米当局がビットメイン製品を国家安全保障リスクで調査、トランプ関連企業も1万6000台使用
米国土安全保障省が中国メーカーのビットメインを調査し、機器がスパイ活動や電力網破壊に使用される可能性を指摘。トランプ大統領の息子たちの会社アメリカン・ビットコインも1万6000台を購入した。
10:05
コインベース、ソラナのミームコイン取引所「ベクター」を買収
コインベースがソラナ基盤SocialFiプラットフォーム「ベクター・ファン」を買収すると発表した。年内に取引完了予定で、ソラナエコシステムへの参入を拡大し、すべてを取引できる取引所の構築を目指す。
09:35
ベセント米財務長官、ビットコインバーにサプライズ訪問 仮想通貨業界への影響は
スコット・ベセント米財務長官がビットコインバー「Pubkey DC」を訪問し、仮想通貨コミュニティで話題になっている。業界関係者の反応と今後の影響を解説する。
08:25
NYSEがグレースケールのXRPとドージコインETF承認、25日上場予定
NYSEがグレースケールのドージコインとXRP ETFの上場を承認し、11月25日に取引を開始する。今週はビットワイズのXRP ETFやフィデリティのソラナETFも上場し、アルトコインETF市場が急拡大している。
07:45
「仮想通貨財務企業などの上場後の事業の大幅変更について対応を考える必要」JPXのCEO
日本取引所グループの山道CEOは、ビットコインなどを保有する仮想通貨財務企業への規制強化は現時点では検討していないと説明。一方で、事業の大幅変更については対応を考える必要があるとも述べている。
07:05
個人マイナーがビットコイン採掘に成功、1億8000万分の1の確率を克服
極めて小規模な個人マイナーがわずか6TH/sのパワーでビットコインブロックの採掘に成功し、約26万5000ドル相当を獲得した。確率は1億8000万分の1で、近年最も幸運なソロ採掘となった。
06:25
トム・リー率いるビットマイン、初の配当実施もイーサリアム保有の含み損は6250億円超 
イーサリアム最大の企業保有者ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズが11月21日、2025年8月期通期で純利益3億2816万ドルを計上し、大手仮想通貨企業として初めて配当を実施すると発表した。しかしイーサリアム価格下落で含み損は40億ドル超に達している。
06:02
金持ち父さん著者キヨサキ、3.5億円分ビットコインを売却し広告事業投資へ 以前の姿勢から一転
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏が11月22日、約225万ドル相当のビットコインを売却し、外科センターと看板広告事業に投資すると発表した。以前の「売らずに買い続ける」発言から一転した。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧