はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

富裕層御用達のBTC保管サービスXapo:推定1兆円のビットコインを貯蔵か

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコイン保管サービスのXapo
ビットコイン保管サービスを提供する「Xapo」は、推定1兆円を超えるビットコインをスイスアルプス山中のシェルター内の保管庫に保管しているとされ、名の知れた富豪や、大手法人の顧客を多数抱えています。保管場所は5大陸に分散されており、さまざまな世界最高峰のセキュリティ対策を講じています。
秘密鍵とは
口座の所有権を証明するプライベートキー(暗号)。 サイバー上の実印のようなもので、漏洩した場合はハッキングリスクが増大するため、厳重に管理する必要がある。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

世界規模の貯蔵庫

世界最高峰の厳重なセキュリティにあるその施設では、警備員の後ろにある鉄筋コンクリートの廊下と爆風を防ぐ扉の奥に、暗号化されたコンピュータサーバーが設置されています。

オフラインにあるそのサーバーには、莫大な額のデジタル資産における”秘密鍵”を格納しています。

アルゼンチンの起業家「Wences Casares」氏は、過去数年間に渡り、シリコンバレーの億万長者に対し、「ビットコインこそが、将来的な国際通貨になり得るため、購入すべきである」と説得を続け、購入したデジタル資産を保護すると主張していました。

同氏の運用するスタートアップ企業「Xapo」は、5大陸それぞれに地下貯蔵庫ネットワークを構築しています。

同社は、顧客リストを複数のファミリー・オフィスに分散管理しており、時には、ジャーナリストを招聘・視察させることで、いかに強固なセキュリティで運用されているかを拡散させています。

しかし、彼らがどれほどの額のデジタルキャッシュを管理しているかは、未だ明らかにされていません。

Xapoのクライアント2名は、約100億ドル(約1兆円)相当のビットコインを貯蔵していると予測しており、Xapoに近しい関係者は、正確な予測だと回答しています。ただし、市場価格によって大きく変動するため、その貯蔵価格は一定ではありません。

保管サービスの先駆者

注目すべきは、仮想通貨業界において、Xapoの貯蔵量がビットコインの国際的な供給量の約7%を占めているとされることでしょう。

設立されて4年足らずの企業が、アメリカに存在する98%以上、5670社以上の銀行よりも多くの”預金”を保持していることになります。

しかし、証券保管機関的な側面では、彼らは異なる規制下で運営されています。

一方で、スイスの子会社は、アンチマネーロンダリングに関する規則に則っているかを監査することを目的とした自主規制機関であるFinancial Services Standards Association(VQF)によって監督されています。

Xapoは、アメリカ財務省の金融犯罪捜査網(FinCEN)に認可されており、複数の州にも認可

されているデラウェア州法人を介して、同国の顧客にサービスを提供しています。

その多額の所有資産は、連続起業家でシリコンバレーでビットコイン旋風を巻き起こした”先駆者”としての異名を持つCasares氏の信念を象徴し、彼の支持者を始め、Grayscaleや、CoinSharesのような大手仮想通貨投資企業などによって集められました。

Xapoに5億ドル(約545億円)以上のビットコインを預けている、CoinSharesのRyan Radloff氏は、以下のように述べています。

「秘密鍵を自分たちで管理していない人々は、Xapoに格納してある。」

Xapoに資産を預ける億万長者の中には、LinkedIn社の共同創業者であるReid Hoffman氏や、ウォール・ストリートの元トレーダーで、自身で仮想通貨商業銀行を設立中のMike Novograt氏も含まれています。

彼らの予想は、ビットコインのさらなる成長シナリオであり、最大のリスクが資産の盗難なのです。

ビットコインを保有する際の大原則が、仮想通貨を自由に動かすことのできるコードとなる「秘密鍵」を安全に管理することです。

もし、この秘密鍵を悪意のある第三者に盗られた場合、暗号資産を奪われ、基本的に取り戻すことはできません。

よって、秘密鍵をインターネット接続されているオンライン上のデバイスに保存しておくのは、便利であると同時に危険であると言えます。ハッカーは、遠隔操作で秘密鍵を奪うことに長けていることが、すでに証明されているからです。

代替となる保管方法が、秘密鍵をUSBメモリのようなオフラインデバイスに保管しておく、コールド・ウォレットです。

しかし、それでもリスクを完全になくすことはできません。

ハッカーは、フィッシング詐欺などコンピューター上に罠を仕掛け、コールド・ウォレットがインターネットに接続された瞬間に端末へのアクセスを行うことも出来るからです。

そのほか、自宅に泥棒が入る物理的なリスクや、誘拐などが行われる可能性もあります。そのため、一部のビットコイン長者の中には、身元を隠す、自宅のセキュリティを強化する、護身術を身につける、などの防衛策を講じています。

Xapoの取引デスク

Xapoの解決策は、コールド・ウォレットとして機能するデバイスを山間部の施設に埋め、周囲を電子セキュリティで保護するという方法です。

2014年にCasares氏の勧めを受けて、2,000万ドル(約21.8億円)の投資を行なったベンチャーキャピタル企業のGreylock PartnersのHoffman氏は、以下のように語りました。

「Xapoは、仮想通貨の保管・管理において、セキュリティが最重要ポイントであることを最初から理解していた。」

Xapoでは、電子金庫からビットコインを引き出すのに約2日間要します。

複数の金庫で複数の秘密鍵を使用し、手動で署名を実行する前に、顧客の身分証明書(ID)を確認・検証し、リクエストを慎重に承認するという万全なプロセスを踏むからです。

承認プロセスには、3箇所以上の金庫からの承認が必要になります。

さらに同社は、顧客がビットコインの売買を行えるよう”取引デスク”を設置。ビットコインを使用することのできる最初のデビットカードも作成しました。

44歳になるCasares氏は、コメントを控えています。

仮想通貨カンファレンスでは今でも多くの聴衆を惹きつけていますが、Xapo設立の際に行なった短期間での宣伝以後、メディアインタビューを避けるようになっています。

しかし、彼が桁違いの説得力を持っていることに変わりはありません。

同氏はシリコンバレーでビットコインの普及に努め、Hoffman氏がファミリーオフィスに問い合わせを行なった際、いつCasares氏と話をしたのかを問い返されたことを明らかにしています。

Xapoの顧問には、現時点で前アメリカ財務長官のLarry Summers氏、Citigroupの前CEOを務めたJohn Reed氏、VISAインターナショナルの創業者であるDee Hock氏が在籍しています。

このような売り込み手腕は、Xapoの成功に繋がっていることに疑いの余地はありません。

まず、カナダの認可済み仮想通貨企業であるFirst Block Capitalが、スイスの金庫の視察を含む数ヶ月の調査活動を行った後、Xapoを保管場所として選定しています。

「彼らのDNAの全ては、セキュリティに集約している。」とFirst Block Capitalの創業者Sean Clark氏は述べています。

さらに彼は、Xapoの金庫にて、指紋認証で切断された指が使われることのないように、心拍数の読み取り機能も備わっていたことを明らかにしています。

「多額の送金を行う際には、彼らはFaceTimeを求め、万が一脅迫されている際の合言葉も用意している。もし一定基準以上の額であれば、直接面会をするため、海を越えて会いに来てくれるんだ。」

同社のCEO「Ted Rogers」氏は、UBS Group AGやスコットランド王立銀行にて勤務しており、新興市場取引ベテランとなったPeter Najarian氏と共に、年金ファンド、プライベートバンク、資産マネージャー、ファミリーオフィス、ヘッジファンドなど機関投資家への働きかけを行い、法人顧客の獲得に向け、リスク覚悟で取り組んでいます。

資金流入の津波

ビットコイン保管に関する安全性が、機関基準まで達していないという先入観が、多くの金融マネージャーの”新しい資産クラス”への投資を躊躇させています。

しかしXapoは、すでにその保管方法の最適な解決策を提供していると述べています。彼らにメリットを提示し、説得することができれば、ビットコインへの影響は計り知れないものとなるでしょう。

Najarian氏は、「莫大な資産を保有する”機関投資家”による資金の一部が、この業界に流入するだけでも、津波のごとき規模に匹敵する。」と述べました。

Casares氏は、ビットコインの普及を自身の使命であると考えています。

彼は、アルゼンチンのパタゴニア地方の羊牧場を営む家庭に生まれ、自身の少年時代にインフレーションの影響を身に染みて実感しています。

その影響もあって、ビットコインに出会うまでにフィンテックスタートアップを連続で起業し、何百億円も手中に収めることに成功しました。

同氏は、2000年にラテンアメリカの金融サービスウェブサイトであるPatagonの75%を5.3億ドル(約577億円)で売却、デジタルウォレットスタートアップのLemonも、仮想通貨に専念するため、その13年後に4300万ドル(約46.8億円)で売却しています。

Nathaniel Popper氏によって執筆された”Digital Gold”によると、Casares氏はLemonの役員であるEric O’Brien氏に対し、「私は、ビットコインの将来を心から信じており、純資産を際限なくビットコインに投じている。」と語っています。そんな彼は、2年前にPayPalの役員となりました。

高い敷居

ビットコインのここ数年間の急激な高まりによって、イーサリアムやリップルなどの数十億ドル規模のライバル通貨も台頭して来ました。

しかしXapoは、最終的に1通貨のみが生き残ると予想しており、ビットコインの保管にのみ焦点を当てています。このような独断主義は、ライバル通貨の保管方法を模索するXapoの潜在顧客を突き放してしまっている現状もあります。

また、その他の主義者は、Xapoのようなベンチャーがビットコインエコシステムでの居場所はなく、本来の”透明性の取引”を阻害していると指摘しています。

矛盾の衝突については、Xapoも感じているようで、Rogers氏は、以下のように述べました。

「投資家が自身で秘密鍵を所持するようにならなければ、ビットコインはメインストリームとして普及することは難しい。」

「ただ現実的な問題として、銀行同様のセキュリティを個人で確保するのは、技術的に困難を極めるだろう。」

CoinPostの関連記事

カナダの銀行:仮想通貨デジタル金庫「VersaVault」を提供へ
デジタルアセットセキュリティーに注力している「VersaBank」は、6月までに利用可能な「仮想通貨のデジタル金庫」サービスを提供予定。銀行側は金庫の中身にアクセスできず、顧客のプライバシーは保証されます。

考察

ビットコイン全体の時価総額は、現在17兆円を超えています。

その内1兆円がXapoという1企業のもと管理・保管されていると予測された今回のニュースは、衝撃を受けた方も多いでしょう。

更にビットコインは、秘密鍵の紛失などで行方不明となったBTCが、全体の14%という調査結果も出ているため、この1兆円という数字はさらに重要度を増します。

Xapoは、最早仮想通貨業界にとってなくてはならない存在になっていると言えます。

CoinPost関連記事

BTC全体の14%が行方不明/仮想通貨を安全に保管する方法とは?
ハッキングから身を守るために、投資家は仮想通貨を安全な取引所で購入し、ウォレットで管理し、パスコードを厳重に保管する必要があります。The Ledger Nano SやTrezoのパスコードを、CryptoSteelなどで保管しましょう。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/09 火曜日
08:15
PLUMEとJUPITERがコインベースに新規上場、機関投資家向けアクセスも提供
米コインベースが12月9日にプルームとジュピターの現物取引を開始する。RWAトークン化のプルームとソラナ系DEXアグリゲーターのジュピターが新規上場し、機関投資家向けアクセスも利用可能になる。
07:55
SECがOndoへの捜査を訴追なしで終了、トークン化証券のハードルをクリア
トークン化プラットフォームのオンド・ファイナンスが、バイデン政権下で開始されたSECの捜査が訴追なしで終了したと発表した。トークン化証券が米国資本市場の中核となる時期が到来したと同社は期待。
07:15
仮想通貨投資商品、先週は1110億円超の資金が純流入
仮想通貨投資企業CoinSharesは、デジタル資産投資商品全体の先週の資金フローは約1,116億円の純流入だったと報告。ビットコイン、XRP、チェーンリンクの投資商品の需要が高かった。
07:02
ビットコイン担保をデリバティブ市場で使用、米CFTCがトークン化パイロットプログラムを開始
米CFTCがビットコイン、イーサリアム、USDCなどのデジタル資産をデリバティブ市場で担保として使用するパイロットプログラムを開始した。トークン化担保に関する新たなガイダンスも発行している。
06:25
ストラテジーが約1500億円でビットコイン押し目買い、7月以来の規模に
マイケル・セイラー率いるストラテジーが先週約10億ドルで10624BTCを追加購入した。7月以来の大口購入となった。
06:02
リップルの780億円資金調達、異例の年10%リターン保証で株式売却 投資家ヘッジに応じて=報道
ブルームバーグによると、リップルが11月に実施した5億ドルの株式売却で、投資家に3〜4年後に最低10%の年間リターン保証で未上場株式を売却する権利を提供していた。企業価値は400億ドルと評価されている。
05:35
ブラックロックもステーキング商品提供へ、イーサリアム現物ETFで
世界最大の資産運用会社ブラックロックがステーキング機能を備えたイーサリアムETFの登録届出書をSECに提出した。グレースケールやフィデリティなど他の発行体も仮想通貨ETFにステーキング機能を追加している。
12/08 月曜日
16:57
マクロン仏大統領、米仮想通貨規制緩和に警鐘 「金融不安定化のリスク」と指摘
フランスのマクロン大統領が米国のステーブルコイン規制緩和について警告を発し、金融不安定化のリスクを指摘。欧州中央銀行に金融政策の見直しを求め、欧州の金融主権維持を主張。ステーブルコイン市場は3000億ドル超に急拡大。
16:42
決済データDePINのSyFu、Finverseと提携しアジア5カ国のオープンバンキング展開へ
決済データ活用プロジェクトSyFuが、オープンバンキングプラットフォームFinverseと提携。香港、シンガポールなどアジア5カ国の約40金融機関と接続し、日常の支払いデータをトークンやNFTに変換できる仕組みを構築。欧州とアジアで世界規模のネットワークを確立。
14:58
トランプ大統領支援者所有の米Monet Bank、仮想通貨サービス事業に参入
トランプ大統領支援者アンディ・ビール氏所有のモネ銀行が仮想通貨特化型金融サービスに参入する。トランプ政権下での規制緩和により、エレボール銀行やN3XTなど仮想通貨対応銀行が相次いで誕生する中、資産60億ドルの小規模地域銀行がデジタル資産の保管・融資を提供開始する。
14:23
トランプ政権の国家安全保障戦略、仮想通貨に言及せず AI・量子技術を優先
トランプ政権が発表した最新の国家安全保障戦略で仮想通貨への言及がゼロ。AI・量子技術を重視する一方、「仮想通貨大統領」を公言してきた経緯との整合性をめぐり議論が起きている。
11:44
FOMC控え不安定な展開続くビットコイン、前週末は大口の協調売りか
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが一時9万ドル割れで3.4億ドル規模の大量清算発生。クジラによる協調売りの可能性が浮上し、週末の薄い板で2000ドルの乱高下が見られた。一方でマイナー降伏を示すハッシュリボン反転で底打ちサインも。FOMC利下げ観測と円キャリー巻き戻しが市場を揺さぶる。
11:30
ソラナDEX「ジュピター」の再担保に関する議論 「伝染リスクゼロ」主張を疑問視
仮想通貨ソラナ基盤のジュピターが「伝染リスクゼロ」と主張したことについて、競合Kaminoなどが再担保の実施を指摘し批判した。ソラナ財団プレジデントは両者に協力を呼びかけている。
09:11
フランスの大手銀行BPCE、仮想通貨4銘柄の取引サービス開始
フランスの大手銀行BPCEが約200万人の顧客向けに仮想通貨取引サービスを開始する。ビットコインなど4銘柄が銀行アプリで売買可能になる。
08:54
韓国、取引所に無過失損害賠償責任を導入へ アップビットのハッキング事件を受け
韓国金融当局が仮想通貨取引所に無過失損害賠償責任を導入へ。アップビットの445億ウォン不正アクセス事件を受け、2段階立法で規制強化。課徴金も売上高3%まで引き上げの方針。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧